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黒いパン

ウォームワームを狩って氷漬けにしたあと、待ちまで戻ってきたオレたちを王様の使いが待っていた。

とりあえずはオレだけ、とのことでウルとリッチにウォームワームの処理を任せ、城に向かうことにした。



「待っていたぞ、コムギ。

国境付近ではいろいろあったようだな、報告は聞いておるぞ。」


「はあ、そうですか。

大物だらけの相手で大変でしたよ。


前にも言いましたがオレは《パン職人》でハンターじゃないんで、そろそろ物流が元に戻って欲しいですね」

と嫌味を込めて返事をしてしまう。

王様には悪いがそれなりにストレスと負担がかかっているのは事実なんだからな。



ははは、、と苦笑いする王様。

ぐうの音も出ないというのが本音だろう。



「で、今日はなんですか?

国境付近から帰るなりの呼び出しなので大変な案件なら疲れてるので帰ります」

ピシャリと釘を刺しておく。

でないと、また厄介事に巻き込まれかねない。



王様が片手を上げ、合図に従い、セバスが先程から持っていた白い布で覆われた何かを、コトリ、とテーブルの上においた。


「うむ、今日わざわざ来てもらった要件はこれだ。

先ほど届いてな、、。コムギに見てもらわないとわからないという話になって呼び出したのだ。」


そう言ってその白い布から現れたのは

「黒いパン」だった。

焦げているわけではない。

正しくは焦げ茶色と灰色が混じったような色の丸く網目模様のあるパンだ。


「これは、まさか、、?」


「わかるのか?

メロンパンに似ているがまるで違う。

こんなパンを俺様たちは見たことがなくてな。

うちの職人の2人、ほれ面倒見てもらった2人にも聞いたが見たことがないというからな。

パンならばコムギだと思い、呼び出したのよ」


あの2人とは以前指導したクラムとクラストの双子、この城のパン職人だ。

この世界のパンの知識は俺よりあるはずの彼らが

わからないなら、「この黒いパン」は最近産み出されたのか、それともこの国のものではないのか?


うーん、と考えていると

「その顔から察するに、お前の推理は当たっているぞ。これはこの国のものではない。


ベッカライ帝国から届いたものなのだ」



「あの帝国からなぜこれが届いたんですか?」



「うむ、あの国の皇帝バカとは幼少期からの腐れ縁でな、、、。同い年でお互いに王になるものとして何かと張り合ってきたのだ、今でもその関係は変わらないのだが。

どうやら今回の騒動もそれが原因らしいのだ。


それにヤツは、アンに惚れていてな、、何度フラれてもアタックする根性ガッツはいいのだがアンにはその気がないので迷惑がっている。

そこも関係があるらしくてな、、。


全く迷惑なヤツだよ、、。」

はあー、、、、と大きなため息をつく。



やっぱりそうなのか。

市場で聞いた噂通りだ。

改めて聞くと子供みたいなヤツなのかな?


「今回は手紙も一緒に届いた。

読んでみろ、お前にも関係があるからな」


「オレになんの関係が?!」


いいから、と手紙を受けとる。

読み書きはウルからリッチと一緒に習っているのだが、所々読めないところはセバスがフォローしてくれる。



・・・えっ!?

読み進めて思わず目を疑ってしまった。

内容はこうだ。


『メロンパンは兵器である』


『人々を魅了、誘惑し、微弱な中毒性のある大衆兵器だ、そんな危険なものを野放しにはできない』


『対抗のため、われわれもその兵器を遂に完成させた』


『小麦粉の供給を止めた今、貴国に勝ち目はない』


『降参するなら、アンを嫁に寄越せ』


とのことだ。

ダメだ、、震えが止まらない、、。



「な、、なんですか!!?


これえええええぇぇぇぇ!?!!?!?」



荒唐無稽すぎてつい叫んでしまった。


「つまりはそうゆうことだ。

お前にも責任はあるということだ。」


「そんなバカな!」


「だから言ったろう、皇帝バカだと」



皇帝バカカイザーゼンメル、つまりは

『バカイザー』だな。よし。



「バカイザー、、パンをバカにしやがって、、

そもそもこれはメロンパンじゃないっつーの!」


「え、そうなのか?」

王様も知らないからキョトンとする



そう、色の違いもあるがそもそも原料や製法がまるで違う。

このパンは



ドイツパンだ。

いつもご愛読ありがとうございます。

バカイザーのネタはどうしてもやりたかったんです。すみません。

感想、評価もありがとうございます。

引き続き頑張って参りますのでどうかよろしくお願いいたします。

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