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食べ物のウラミ

得体のしれない不気味な音が近づいてくる。


いったい何なんだ?

カリュードさんがいきなり叫ぶ。



「逃げろ、ウォームワームだ!!!」

その声でハンターの人たちは青ざめ、一斉に一目散に走る。

慌ててオレたちもカリュードさんたちと逃げる。

あぁ、、せっかく作ったオレのパンたちが、、。

ウルが頑張って作ったホットドッグが、、、。

リッチが苦労して作ったサンドイッチが、、。

朝からみんなで苦労して作ったお弁当たちが振動による揺れで荷物の下敷きになってつぶれてしまった。




くそっ、絶対に許さん!!!!




そうはいってもまずは安全確保が最優先。

危なくない距離まで逃げる。


「ハァハァ、、ウォームワームってなんですか?!」

走りながらカリュードさんに尋ねる。


「そいつはな、地面の中を移動するバカでかい蛇みたいなミミズだ。

デカイだけじゃなくて火を吐くんだ。だから厄介だし、遭遇したら必ず逃げろってのがハンターの常識なのさ」



そんなにヤバイやつが近づいているなら逃げるしかないな。

ひたすら走って、なんとか音のしないあたりまで逃げてきたが、肝心の収穫がすべてパァになってしまった。それに馬車やいろんな荷物も置いてきてしまった、、、。

もったいないが仕方ない、命が大切だもんな。



しかし、手ぶらで帰るのもなんだかシャクだな。

それにパンの恨み、、。

息を切らしながらウルが

「店長、われわれも貴重品をすべて置いてきてしまいましたが、どうしましょう?

正直、道具や装備などないと今後困るものばかりです。」

と伝える。

マジか、それはまずい。なんとか回収できないかな?



「ウォームワームってこのあたりではよく見かけるんですか?」


「いや、ごく稀に見かけるくらいで、老ハンターの中にも見たことがないという人がいるくらい珍しい魔物だ。それを見かけたのは運がいいのか、悪いのか、、、。」


「え、えと、、ソーセージラフとどっちが価値あるんですか?」

リッチが「珍しい」という部分に興味を持ったのか、素朴な質問をぶつけている。


「う~ん、、、そうだなぁ。

発見しづらいという珍しさの価値はウォームワーム。

食材としての使用可能部位の豊富さと上質な味という価値ではソーセージラフかな。」

なるほど。



「つまり。

味とかの食用ではなく、ウォームワーム自体に価値があるということですよね?」


「まぁそうなるかな」


「、、、これだ。」



今日の収穫が悪いなら、邪魔した「ヤツ」に償ってもらおう。

食べ物の恨みが恐ろしいということを、思い知らせてやる!!!



「すみません。カリュードさん、オレは戻ります。

道具や貴重品はやはり取りに行きたいのです。

それに



「ヤツ」はオレに対する最大の侮辱と怒りを覚えさせてくれたので何としても、その罪を償わせます。



、、邪魔しないでくださいね?」


ひぃっ!っとその場にいる全員が身をすくめた。

ウルとリッチもお互いに抱き合いながらガチガチと震えている。

それほどオレの怒りが前面に出ているのだろう。

無理もない、これほどの怒りを覚えるのはいつくらいか、記憶にないからな。



さて、、いくかな。

大切なパンたちの仇を取らせてもらうぞ、蛇ミミズ!

ふわっと風魔法で体を浮かせる。

ハンターの中には初めて見る人もいるようで、おぉ!と驚いている人もいる。

逃げられたくないので、全速力で風魔法による飛行で元いた場所に向かう!



いた!地面から体を出している!

紫色の巨大なミミズが蛇のような大きな口を開けオレ達が狩った魔物たちを食べていた。

もうほとんど食べ終わっていたようで、あと残り少しといった具合だ。

これでなおさら、あのミミズを狩らないと今日の収穫がゼロになってしまうことに。

何としてもそれは避けたい!


着地してミミズに向き合う。

気づいたミミズはオレを食べようとして大きな口を開けて向かってくる。




「ミミズが、、!!


オレのパンと、ウルのホットドッグと、リッチのサンドイッチと、みんなの努力になにしてくれとんだあああああぁ!!!!!!」



全力で氷漬けにしようと両手で大地に力を込める!

普通の魔物なら凍っていただろうが、暴れて抵抗されたせいか、巨体の半分を凍らせたくらいで勢いが止まってしまった。


「くそ、、、」


そしてミミズは自分の体躯の凍ったいる部分に向かって火を吐いて溶かそうとしている。

まずい、このまま溶けたら逃げられてしまう!



「だったらこれでどうだ!!」

そういいながら、覚えたばかりの重量操作でミミズの動きを鈍らせる。


「ぐ、、、くく、、」

ダメだ、やはり体がでかすぎて上手く抑えきれない、、!

意気込んできたもののこのままじゃ、、。



「「「「「うおおおおおおおおっっ!!!」」」」



苦戦しているところにみんなが駆けつけてくれた。



「独り占めするなよ!」

「こいつがなければオレたちは飯が食えなくなるしな」

「野郎ども!今日の大一番だ、絞まっていくぞ!!」

「「「おおおお!!」」」



そして合流した皆が足止めや注意を引いている間に、オレが力を振り絞りヤツをなんとか氷漬けにし、力を合わせた結果なんとかミミズを倒すことが出来た。

よかった、これで荷物が回収できる。



それに、これでパンたちの恨みは晴らせたな、、。


いつもご愛読ありがとうございます。

評価、ブックマークもありがとうございます。


食べ物の恨みは恐ろしいということで書いてみました。

主人公が無双しすぎないように書くのが難しいです。もっと研鑽を積んで参ります。


今後も少しづつ更新してまいりますのでどうか異世界ベーカリーをよろしくお願いいたします。

また感想もまだまだ未熟ですのでご指摘、ご指導も含めてお待ちしております。

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