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ソーセージを求めて

「今日は星が綺麗だな」


アンさんの言葉が気に掛かりながら、オレは帰路についていた。

結局、今後どうするかはアンさんとお父君の公爵が話を進めるらしい。


いろいろな人の思惑が渦巻く今回の小麦粉の件、オレの出る幕は無いだろう。

まずは米粉を使ったパンのバリエーションを考えることに集中して、しっかりとお客様の胃袋を満たして上げないといけないしな。



オレの仕事はパンを作って売ること。

それ以外の仕事はオレの領分を越えているからパスだ!


何がいいかな?

シンプルに米粉と相性が良いのは金時豆や黒豆。あとは小豆だ。

それであんぱんを作ってもいいな。


あとは惣菜パンもいいな。

元は米だから、大体なんでも合う。味付けの濃いものなら特にだ。

照り焼きにした肉、変り種で漬物とかもイケたりする。

惣菜パンの定番、ソーセージってそういえば市場で見たな、ちょっと明日見に行ってみるか。


やはりパンのことを考えていると気分がリフレッシュされる。

今日はゆっくり眠れそうだ!




そして快眠した翌朝。

オレは市場にいた。なんだかいつもより人が少なく活気もないように感じたが気のせいかな?

昨日考えたレシピに必要なものを探すために来たが、ほとんどのものが手に入りそうなのでまずは一安心。あとはソーセージだ。

肉の加工をしているニックさんに聞けば大丈夫だろうと、市場の隅にあるニックさんのところへ向かう。



「っかぁ~!!まずいなそりゃあ!!」


あれ?ニックさんの声だ。地声が大きいからすぐにわかる。

なにやら市場の皆、作業の手を止めて話をしているようだ。


「どうしたんですか?」

ひょいと顔を覗かせてみる。


「おぉ!久しぶりだな、あんちゃん。

聞いてくれよ、えれえことになったぜ。

なんでも小麦粉だけじゃなく他の食材も手に入らなくなるかもしれねぇんだとよ」


「えぇ!!??どうしてそんなことに!?」


せっかくこれからいろいろやろうと思っていたのに、、。


「なんでもベッカライで物流が止まってるらしいぜ?

あの国から流れてこなけりゃ他所から運ぶしかないが、間違いなく量が少なくなるから価格が上がっちまう。そうなると商売してるみんなが損をしちまうってことよ」


「まずいぜ。こりゃぁ、、、」

いつも元気なニックさんや市場の皆が明らかに意気消沈している。

そりゃそうだ、死活問題なのだから、、。もちろんオレも他人事じゃない。


「たしか公爵様がいろいろ動いてるんですよね?

足りなくなる前に間に合わないんですかね?」

期待をこめて、という意味で聞いてみると思ってもない答えが返ってきた。



「そりゃまず間に合わねぇだろうな。

可愛い一人娘を帝国に嫁に出すなんて、公爵様も王様も絶対にしねぇだろうからよ」


「え?

え??

どういうことですか、さっぱりわからないんですが??」

完全に混乱してしまう。

まさかこれが「とある事情」なのか?嫁入りが条件、ということで荷止めが行われているのか?


「そういやあんちゃんは公爵のお嬢様と知り合いだったな、知らないのか?

有名な話だぜ、カイザーゼンメル皇帝はあのお嬢様に昔からぞっこんで何回か求婚してるって話だ。まぁその度に断られてるっていう話の方が有名だがな。」

その場にいるみんながカラカラと笑う。

「そうだったのか」と一人納得する。昨日も確かにどこか前向きになれないという話をしていたとき、アンさんは暗い表情だったし。

ある意味では人身御供になるわけだから、そりゃ気が進まないだろう。



そうなると今回の件はアンさんの言うとおり「イヤガラセ」なのかもしれない。

求婚を断られての腹いせなのか、皇帝なんて高い身分の男がこんな大勢を巻き込む手段に出るなんて器の小さな男だ。

なんだかオレも憤慨してきた。

せっかくのやる気をそがれた気分を「発散」したい。


「あ、で悪いな。忘れてたぜ、あんちゃん今日は何の用だ?」


「なんか聞きづらい雰囲気ですけど、ソーセージってありますか?」


「あぁそれはまさにダメなやつだ、帝国からの輸入品だから品切れだ」


マジかよ、、がっくり、、。

どうにか手に入らないかな、、。


「手に入れたいなら、国境付近に住んでいるヤツを狩るしかないが、大変だぜ?」

嫌な予感がする。


「ソーセージラフっていうその帝国領内にしか住まない魔物がいるんだが、ごく稀に国境あたりに出てくる。そいつの腸がそのままソーセージになるってもんなんだが、こいつが大物でな、なかなか手に入らないんだよ。


ただその苦労の分、味は申し分ないからやる価値はあるかもな!

それにもしかしたらだが、国境付近の宿場町で珍しいものが見つかるかもしれないぜ?

時々あるんだよ、掘り出し物やら珍品とかがな。」


へぇ、そうなのか。

仕方ない、ダメもとでとりあえず行ってみるかな。

無駄かもしれないけど何も無いことを祈ろう、、。


いつもご愛読ありがとうございます。


少しずつ身体も良くなってきましたので更新頑張りたいと思います。


感想、評価も励みになりますのでブックマークとあわせてよろしければお願いいたします。


寒くなってきましたが、みなさま体調にはくれぐれもお気をつけ下さい。

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