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再会の曲がり角

「褒美は保留でお願いいたします。もしかしたら何か今後困ったときに御力を借りるかもしれませんからその時に」


これからまたなにか起きり足りなくなった時にお願いできるのは選択肢として間違ってないだろう。

「よし、わかった。

なにかあれば遠慮なく言えよ?」


「その際にはよろしくお願いいたします。」


「で、だ。

お前たちがいない間の話をしてやろう。ショーニには少し話したが、改めて子細を含めて伝えよう。


今回の小麦粉の不足は、不作も原因だが、他にも要因がある。

最近やっと突き止めたのだが、、ベッカライ帝国の妨害だ。」


「ベッカライ帝国?」


「そうだ、海の向こうにはワフウ、反対側にはベッカライ帝国があるのだが、その帝国が妨害工作として小麦粉の流通を止めたらしい。

忌々しいやつらよ、、おかげでいま国境付近はピリピリしておる」


「なぜそんな妨害をするんですか?」


「わからん、だが疑問に思った関係者が物流を辿るとそうなるらしいのだ。」


「その関係者って?」


そんな重大な事を調べるなんて余程なにかあったんだろうな、思わず興味から聞いてみる。


「我が王族につらなる公爵家だ、そこでは物流運搬と貿易を任せている。そのなかでの荷の流れに疑問を抱き、今回の報告に至ったらしい」


「そうなんですか、ちなみに小麦粉は他国からどれだけ輸入しているんですか?」


「約6割だ、我が国の土壌はあまり小麦の生産に適していないのでな、、米のおかげで代用はできるが限界はやはりある。」


半分以上を外国からの依存か、それは確かに厳しいな。オレにも責任の一端があると思えばなおさら気が重くなる話だ。


「だが米粉のおかげでかなり事態が好転しそうだからな、本当に助かった。」


「お役に立てたなら良かったですよ」

ショーニさんと頭を下げる。


「ではオレはもういいですかね?米粉パンの販売に向けて試作したいので」


「ああ、わかった」と執務室を出る。

えーと、出口はどちらかな、、。

相変わらず広い城だ、迷ってしまうな。

あの角を曲がるんだったかな??



タタタ、、ドンっ!!


あたっ!

曲がり角で誰かとぶつかる。

「キャッ!?」

「おっと!」

ぶつかった女性が転ばないように素早く身体を支える。思わず抱き抱えるような体勢になってしまったが許してもらいたい。


その女性は高貴な身分と一目でわかるオーラと装飾品を身に纏っていた。芯の強さを感じられるような眼差しだが、今はそれよりは驚愕の表情の方が先に見てとれる。


「大丈夫ですか、すみません。

お怪我はありませんか?」


「いえ、大丈夫です、こちらこそ申し訳ありませんでした。」


と2人ほぼ同時に平謝りする。

そして顔を上げると至近距離で見つめ合うような形になる。


「っ!!」

と女性が口元を押さえながら、先程とは違う戸惑いを含んだ驚愕の表情になる。


「まさか、、こんなところで、、」


「えっ?」


「再びお会いできて嬉しいです、コムギさん!」

いつもご愛読ありがとうございます。

新章突入です。

ベッカライとはドイツのパン屋を指す言葉です。

いろいろ考えながら上手く描けるよう頑張っていきたいので、評価、感想、ブックマークもよろしければお願いいたします。

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