めでたし?
イーストがない!
意気込んだもののこれは予想外だ。
ショーニさんもそっぽを向いている、てっきりあるものだて失念していたようだ。
誰かわかる人はいないか、厨房にいる人達を含め周囲に尋ねる。
「え、ええとイーストというのは発酵させるために必要なものでして。」
「「「発酵?」」」
皆一様に首をかしげる。
だめだ、イーストがなければ他のもので代用するしかないが、なにかないだろうか、、。
すると
「発酵なら酒麹がありますが?それではダメなのですかな?」
酒麹?
「それだ!!」
よし、それなら時間は倍以上かかるが作れるはずだ。
イーストより麹は発酵時間を長くしつつ、前もってぬるま湯で作った種を作っておく必要があるが、小麦アレルギーの人でも食べられるパンが作る事が出来る。他には問題がなさそうなのでさて、じゃあ取りかかるか。
そして、ながーく、じっくり発酵させた麹を使った米粉パンが出来た!
イーストならば、さらにふっくらできるのだが、麹は風味がイーストより出るのでこれはこれでありだと思う。
「さ、出来ました!どうぞ召し上がってください!この米粉パンが両国の架け橋になれば良いのですが、、」
見た目は真っ白な丸いロールパンだ。
飾り代わりにまっすぐに一本筋のカットとすこし表面に米粉をかけてある。
「で、では、、、」
ワフウの人達は初めて見るパンを恐る恐る手に取る。軽さや匂い、五感に訴える新しい刺激に戸惑いながら口に運ぶ。
ふわ、もっち、、ぷつん、、。
これが米粉パンか。
ほのかに甘い、噛めば噛むほどに甘くなる米の風味、麹のほのかな酸味が鼻を通り、食感は餅のようでもあり、空気のような軽さもある不思議なもの。
美味い!
異国にはこのようなものがあるのかと一同興奮していた。
「どうでしたか、これがパンです。お口に合ったなら良かったですよ」オレは皆の笑顔をみて安心した。上手くいったようだな。
「いや、感動しました、米粉でこんな味が出るとは。この米粉を上手く使って国の危機をどうか救ってください」とショーニさん。
「うらやましいですな、今度はまた別のパンをぜひともお願いいたします!」
殿様やワフウのみんなにも受け入れてもらえたようだな。
これでめでたしめでたし、、かな?
しかし、まだ終わらなかった。
それは突然の報告!!
「大変です!!囚人たちの大量脱獄です!!」
いつもご愛読ありがとうございます。
麹を使う際には半日近くぬるま湯を使った生地を使えば綺麗に作りやすいです。しかし安定しないのでイーストを使う方が断然安定し、ボリュームがでてふっくらします。よろしければ評価、感想、ブックマークもお待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。