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合流

母、許嫁とこれまでの事を全て話す。

そして、今の自分の事を。

2人の師に出会い、その2人と米粉を手にするためにこの国に来たことも。


「まあ!パンというのはそんなに美味しいのですか!私たべてみたいです!」


「ええ、興味ありますね、パンにも2人の師匠様にも。お礼を申し上げなければいけませんし。

今はどちらに?」


「今は別行動をしております、私の事情に巻き込んでしまってはいけませんから。」

そう暗い笑顔で答えるウルを母が一喝する。


「いまさらなんですか。私達はすでに貴方と運命共同体なのです、あの日、あなたがいなくなったあの時から。

それを今さら誰もとがめませんよ、お父様も咎めなかったのではありませんか?

なにを悲劇の主人公ぶるのですか。

素顔の貴方で堂々としていなさい。

お師匠さまたちも同じ風にきっと言うでしょう。」


ふん、と鼻息を荒くして積年の鬱憤を晴らすかのように叱った。


母上には敵わないな、、。

だが、その通りだ。なにを今さら、格好をつける必要も理由もないのだ。当たり前の言葉だが、目が覚める想いだ。

そう考えると、今までの胸のつかえが取れた気がした。


「ありがとうございます」


素直な、素顔の自分で2人にウルは感謝を述べた。『あの2人』にも伝えなくてはいけないだろうな。ならば善は急げだ。


「母上、ハナ、また後で来ます、師匠たちのところに戻ります。」

言うが早いか、ウルは屋敷を後にする。


「そうだ、自分はここになにをしに来たのか。

なすべき事のために向き合わなくては。」

そう心から強く意思を固め、2人を探す。

きっとそろそろ使者を父上が派遣するころだろう。今回の商談には必ず自分が役に立つはず、いや立って見せる。

少し軽くなった心を弾ませ、ひたすらに駆ける。

そんな彼の口元にはわずかだが笑みがこぼれていた。



そして、街を駆け抜け、城のそばにある茶屋に2人を発見する。

コムギ、ショーニの2人もウルの姿を捉えると再会の合図に笑みを交わす。2人から見たウルの笑顔には影もなく、素直な、もう大丈夫という気持ちが溢れていた。ほっとする2人。


「さあ、ここからが本番だ。

締めてかかりましょう!」


ウルはしずかに燃えていた。

今までの自分を清算するために。

そして2人の師匠と皆のこれからの未来のために。

いつもご愛読ありがとうございます。

米粉編もあと少しです。頑張って更新致しますのでどうかお付き合いください。評価、感想、ブックマークもよろしければお願いいたします。

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