商会にて
いつもご愛読ありがとうございます。
パン屋の設備はどんどんハイテク化してます。
でも電気がないと使えないものばかりなので停電したら大変なんですよね、、。
――よし、準備できた。
「で、商会はどこにあるんだ?」
「はあ~……しゃあわせ……」
あんぱんを頬張りながら、昇天しそうなほどの緩みきった笑顔の彼女に問いかける。
「おーい!もしもーし‼」
「はっ‼
な、なんでしょう?」
「いや……、だから商会の場所はどこって聞いてるんだけど?」
「は、はい、そうでしたね⁉
商会はこの通りを真っ直ぐに進んだ街の端にあります」
「よし、わかった。
じゃあ行くとするか、いろいろ教えてくれてありがとう!」
「あ、私も一緒に行きますよ。
乗りかかった船ですから、商会まで案内します」
――ガラガラガラ、ピシャン!閉店‼
今日2回目のシャッター降ろしだ。
次こそはちゃんとお店を開けたいな。
「戸締まりよし!じゃ行こうか」
袋に詰めた大量のパン達を両手に抱え、道行く人に奇異な目で見られつつも、期待を胸に商会へ向かうのだった。
◇◇◇
「すまないね、一緒に運んでもらって」
「あんぱんをたくさんご馳走になっちゃいましたし、これくらいお安いご用ですよ」
なんだかんだ、女騎士さんに最後まで案内してもらうことになってしまった。すれ違う街の人達と彼女は親しげに挨拶を交わしている。
これだけ美人で親切なんだ、人気があるのもわかるな。
「着きました、この建物です」
到着時した目の前に、周りより一際立派な作りで明らかに大きい建物がまるで主張するかの様に建っていた。
――カランカラン……
重厚感のある両開きのドアを開けて建物の中へ入る。ここが件の商会か。
中にはイートイン、じゃないな。
テーブルと椅子がフロアの半分以上を締め、バーのようなスペース、と受付カウンターが並んでいくつかある。
バーと事務所が合体したと言う様なイメージが近いかもしれない。ただし全体的に焦げ茶を中心とした色合いで高級感があり、一流ホテルかと見まがう程の雰囲気だ。
「どこでドラゴンの話を聞けるんだ?」
「あ、はい、ちょっと待っててください」
彼女がパンの袋を持って、タタタとカウンターまでかけていく。
「――――……」
カウンターで彼女が受付嬢となにやら話し込んでいる。どうやら彼女はここにも顔が効く様だ。
待っている間、オレは周囲の人からじろじろ舐めるような目で見られ続けている。
たしかにトレードマークにしているコック服は目立つかもしれないが、あまりじろじろ見ないで欲しい。大量のパンを持っているからって、そんな獲物を見るような目で……。
実際には彼らが見ていたのは、コムギの服装、ピカピカ光る袋 (ただのビニール袋)そしてその中にうっすら見え、嗅いだことの無い、香ばしくも甘い香りを放つ《《茶色い何か》》だった。
「お待たせしました。
こっちです、ついてきてください」
パタパタと駆け寄る彼女に促され、奥の応接室へと通される。
「ここで待てばドラゴンの情報が手に入るのかな?」
「はい、たぶん」
――コンコン……‼
不意に鳴る、ドアをノックする音。
少し心臓が飛び跳ねるのを感じる。
――ガチャリ。
少し重みのある、華美ではないが作りの良いドアが開き、貫禄のある筋肉質で立派な体躯の男性が表れた。
年は恐らくコムギの少し上、40代中頃くらいだろうか。
しかし肌ツヤの良い、健康的な印象からそれより若く見える。
静かな笑みを携えながらも、眼鏡の奥でちらりと見栄隠れする鋭さを感じさせる視線と仕立ての良い服に身を包んだ佇まいが、彼を只者ではないと素人ながらに感じさせる。
「お待たせいたしました。
何の御用ですかな?」
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