違う
いつもご愛読ありがとうございます。
パン屋さんは模倣の連続が長く続く珍しい業界です、苦労もありますが、その分食べ比べが出来るという楽しさもありますね.
リッチが来てから一週間が経った。
彼はえへへ、、、と愛嬌のある笑顔でお客様から気に入られているようだ。
ウルはてきぱきと勘定や計算をそつなくこなし、リッチと共にハツラツとした笑顔で応対している。2人がいてくれて本当に助かった。
今日が一応『メロンパン』の店頭販売最終日なのだが、相変わらずというかむしろ列が日に日に長くなっている。
、、、時々王様も来てる。律儀に並び、前後のお客様と会話をしている、気付かれないのが不思議でしょうがない。
「コムギさん、ちょっといいですか?」
「ショーニさん?」
2人に目配せして、その場を任せる。
ショーニさんに連れられ商会のいつもの応接室でソファーに腰を落ち着ける。
「なにかありました?」
「いえ、今日が最終日じゃないですか、今後どうしようかと悩んでまして。」
そりゃそうだ。明日からは『メロンパン』をどうするか、実は決めてない。みんなてんてこ舞いで考える余裕がなかったからだ。
「うちの店で売りますよ、と言いたいところですがそれも今は散らかっていて出来ないんですよね」
そう、メロンパン専門店をやっていたので、今ベーカリー・コムギの中は片付けた備品を置くためにめちゃくちゃになっているのだ。
とても営業なんて出来る状態ではない。
「「うーん」」
ショーニさんと2人、悩んでいた。
すると
バン!!
応接室のドアが勢いよく開けられる。
「ショーニはいるか!?」
「あれ、王様じゃないですか」
「「また抜け出したんですか??」」
思わずツッコミがハモる。
「べべべ、べつにいいだろうが」
懲りないなあ。気さくなのはいいけど。
「どうしました?」
「実はな、問題が発生した」
「「いつもじゃないですか、ちゃんと仕事しないから」」
「ぐうっぬっ!!正論だが、そうではない。
コムギ、お前も大きく関わっているのだぞ。」
オレ??
問題とは一体?
「最近メロンパン焼いてばかりでなにもしてないですよ。」
「前に貴族が押し掛けてきたのを覚えているな?」
「ああ、はい。」
「あいつら、『メロンパン』を売っておるらしいのだ!これは由々しき事態だぞ」
「なんと!?」
由々しき、というかマネやライバルの出現は想定済みだ。材料は市場で揃うし、作り方もプロなら研究すればいつかはわかるはずだし。
気になるのは、、
「値段とか味はどうなんですか?」
「うむ、平民向けではなく、貴族向けに売っておるらしいから高い!
味はまあまあだ。
コムギの程は美味くないが、初めて食べる者にはたまらなく魅力的だろうな」
興味あるな、オレ以外が作ったメロンパン。
材料、配合を含めてどんな物なのか。
「王様」
「ん?なんだ??」
「そのメロンパン手に入りませんか?」
「んん??興味でてきたか?」
「はい、興味ありますね」
「わかった、用意しよう、ちょっと待てな」
手に入れたらみんなで食べ比べだな、貴族と平民で客層を分けて売るのは理に敵っているが、、。
そして数日後、王様自ら商会に例のメロンパンを持ってきた。
「これがそうだ、コムギどうだ?」
こ、これは、、!!
「、、、」
「どうしたのだ?」
「はっきり申し上げます。
これはメロンパンではないです。」
「「「「「えーーー!!!」」」」」
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