名乗り
「ぐぬぬ、、、
きさま!このワシに向かってその口の聞き方はなんだ!平民は平民らしく、言うことを聞けばよいのだ!!」
ウルは動じない。
ただまっすぐに相手の目を見つめていた。
正直腹に据えかねる想いはあるのかもしれないが立派にオレたちの、お客様たちへの姿勢を伝えている。
オレもウルの横に立ち
「店長のコムギです。
部下の失礼な態度、誠に申し訳ありません。」
「ふん、最初から言わねば良いものを。さあメロンパンを、、、」
「お渡しするわけには参りません。
パンは小さく安い手に入りやすいもの。しかしそこには我々の想いや時間が詰まっています。
お客様の美味しいと喜ぶ笑顔、毎日の生活によりそうのが我々の仕事なのです。
そして、それは1人占めしてはならない。
皆で分かち合うからこそ、より感動や喜びは大きく心地よくなるのです。
国王陛下もそんな民の小さな幸せ感じられる治世を望んでらっしゃいます。
それがわからないあなた様がたに売るわけには参りません。
どうか、お引き取りください。」
「ふん、ならば仕方ない。
痛い目に合わないとわからないようだな、やってしまえ!」
キャアアアアア!
悲鳴が響き渡る。
まずい!
武器を持ったヤツらが襲いかかってくる。仕方ない、まずは逃げるか!!
ぶわっ!
ウルを抱きかかえ、空に逃げる。
「ふぅ、、危なかった。」
「あ、、あの。店長?
もしかして、今我々は空を飛んでませんか?」
「ん、飛んでるけど、大丈夫?ケガない??」
「はい、大丈夫ですが、恐いです。」
「剣は恐いよな、どうしよう。」
「いえ、そうではなく、、」
しかし、まずったな。
これは目立ちすぎる。とりあえず降りよう。
下にいる人たちが、全員見てるし。
よっ、と。ふぅ、やっぱり飛ぶのは疲れるな、ウルを抱えていたし。
「な、なんなんだ、きさま!
ええい、かかれぇ!!」
とりあえず動きを止めよう、他のお客様の迷惑だ。両手で地面に触れて、床が凍るイメージを強くする。
パキパキパキ、、、
彼らの足下を凍らせ、全員の動きを止める。
これで安心だ。
「きっきさま、、、一体何の職業だ!?
なぜそんなことができる!!」
「オレは《パン職人》だ!!」
いつもありがとうございます。
久しぶりにちょっと異世界らしく能力を描いてみました。あまり戦闘表現はありませんが。
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