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パン屋さんをバカにしないで

「パン屋さんをバカにするんじゃない‼」


 我ながら大人げなく、声を荒らげてしまう。


「ヒィィィィ‼」


 目の前の女騎士が、オレの怒気を込めた迫力に気圧されたのか思わず後ずさる。


「――いいか!

パン屋はな、体力、根気、デザインセンス、計算力、探求心、ありとあらゆる能力が問われる大変な職業しごとなんだ!


――未知の味を探求し

――口当たりや噛み応え

――食材と生地の組み合わせ

――思わず手に取りたくなる見た目

――トングで持ったときの重量感

――いくらで売るかという価格計算

――どこにどのように置くかというレイアウトなどなど……考えたらキリがない程に、パンには職人達の情熱や努力、何よりもお客様への熱い想いが詰まっているんだ!


 それを子供でも作れるから、とバカにするのはパン職人として見過ごせん暴言だ‼


……はっ‼」


 いかん、言い過ぎたと我に帰る。

ついパンの事になると熱くなってしまうのはオレの悪いクセだ。

……いい加減直さないと。そう自省していると

「ごめんなさい、ごめんなさい!ごめんなさい‼」

と女騎士は頭が首から取れてしまうのではないかという程に凄まじい勢いでペコペコと謝っていた。


「い、いや……こちらも言い過ぎたよ、ごめん」


「申し訳ありませんでした。

パンにそれほどの情熱を注ぎ込まれているとは露知らず、知らなかったとは言え、無礼な発言をしてしまい……誠に申し訳ありませんでしたあぁ!」


「う、うん……。

謝罪はもういいですから」


 なんかさらに店先に人が集まってきたし、あまり騒がないでほしいな。

しかし、騒ぎを聞き付け集まってきた人達を改めて見ると今オレがいるここはやはり日本じゃないみたいだ。

その証拠に資料で見たような欧州中世位の服装や道具を持つ人達だらけ。

まさか……本当にここは違う世界なのかな?

もしくはタイムスリップしたとか⁉


「え、えーと……。

じゃあ、お詫びにってわけじゃないけど、この国や街について教えてくれないか?何もわからなくて……」


いきなり何を言い出すのか、と呆気にとられた顔をする女騎士さん。

ここがどこなのか聞きたい、いや。教えてもらわないと困る。

真面目な顔で彼女を見つめ、返事を待つ。


「……は、はい⁉

わかりました。

えぇと……この国の名はブーランジュ。

この街は首都パリスといいます。

本当にご存知ないのですか⁇」


「知らねぇぇぇ‼

やっぱり本当に知らないとこに来ちまっただ〜!?」


――まマまマ、まじか!

 一体何がどうなってこうなった⁉

 これからどうすればいいんだ⁉

 これは想定外過ぎる、どうしよう!わからん!


――……いや、まずは落ち着けオレ!


 わからんならわからんなりに、調べるなり、学ぶしかない。

今までだって試行錯誤で数多くの試練を乗り越えてきたじゃないか。

必ず何か手掛かりはあるはずだ。

店はあるんだ、パンを作れれば生活費も稼げるはずだ。

なんとかなるだろう。

とりあえずは色々と彼女に聞いてみよう。


「ここらで仕入れとか出来る場所ってどこにあるのかな?」


「市場のことですか?

市場なら街の南にありますが……」


よし!仕入れは期待出来る!


「水はどこにある?」


「この裏手に井戸があります」


よし‼諸問題はあるかもだが、とりあえず供給元はある。


「電気は?」


「デンキ……⁇

なんですか、それは?」


「………ガスは⁇」


「ガス……なんのことだかさっぱりです」


ああああああ‼

やっぱりかああああああ‼⁉


 見た感じ中世ぽい雰囲気だからそうじゃないかと思ったよ!

文明もまさかそのレベルとは……まずいぞ、電気とガスが無いとパン屋をやろうにもどうしようもないっ‼

 石窯以外のオーブンはガスと電気の併用、生地を捏ねるミキサーも整形補助に使うモルダーも全て電気を使う、ほとんどの機械が使えねぇーっ‼


――はっ!

やばい!冷蔵庫も冷凍庫も電化製品だ……。

このままじゃ食材の保管ができない‼

八方塞がりだ、一瞬でもなんとかなると思ったオレがバカだった。


「どうしよぉぉぉ‼⁉」

頭を両手で抱え、絶望感が去来する。

なによりパンの材料達が、パンになることも出来ず捨てる事になるなんてオレには耐えられない……。


「だっ大丈夫ですか?取り乱しているとこ悪いんですが、ちょっと……⁉」


「う、うっ……ぐすっ……」


「ええっ⁉

な、泣かないでください……。

なんだか私が悪くないのに罪悪感が出て困ります。

周りの方の目もありますし……」


「うぅ……だって、一生懸命育ててきた酵母、生地や珍しい食材達がみんなパアになるんだぞ?

この無念さときたら……絶望だ、この世の終わりだ……」


「食材の保管が心配なんですか?

それなら氷の魔石を使えばいいと思いますよ」


……魔石?なにそれ⁇

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― 新着の感想 ―
[一言] そういうスタイルでしたら非常に申し訳ない話なのですが、 「」の中で改行するとちょっと読みづらいです。 ───── 「いや、パンなんて誰でも作れるじゃないですか、なんなら子供でも作れます。…
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