依頼
いつもご愛読ありがとうございます。
「王様とショーニさんの関係はなんとなくわかりましたが、なぜ呼び出されたんですか?
まさか、この漫才を見せるためじゃないですよね?」
「当然です、これはいつもの茶番《じゃれ合い》ですよ。
コムギさんと陛下、お互いを紹介したかったんですよ。そのためにこうやって時間を割ける様に口実作りの演技をしました」
「ああ、ショーニの考えはすぐにわかった。
それにショー二、オイル公爵両名から面白い人物がいると報告を受けて興味があったしな。
しかし『メロンパン』
あれは想像以上に美味かったぞ、いや本当に驚いたな!」
「ありがとうございます。
それにわざわざこんな機会を作ってもらってすみません」
「気にするな。
では改めて自己紹介をしようか。
おっと、堅苦しいのは嫌いでな。
口調はこのままでいかせてもらうぞ。
俺様がこのブーランジュ王国国王、イスト・フォン・ブーランジュだ。
よろしくな、コムギ。
俺様達は同門の仲間だ、遠慮しなくていいからな!」
「は、はい。
改めまして『パン職人』のコムギ・ブレッドです。よろしくお願いいたします」
「おう、よろしくな!」
ニカッと歯を出して笑顔で応える気さくな王様。
今目の前にいるのは為政者ではなく、知り合いの青年といった感じ。快活で話していて気持ちが良い。
「……しかし王様、うっかり素が出たら大変そうですね?」
「いやあ、本当に疲れるんだわ。
礼儀だの、作法だの、肩書きや形式とか苦手なんだよな」
「はぁ……確かに大変そうですよね、今日の会議とかも」
「だろ?
あんなんパーっと肩肘張らず、形式とかもどうでもいいし、結果が出せりゃいいんだからもっと前向きな話し合いをしてぇよ。
妙にアタマが古臭い保守的なヤツらばっかでイヤになんだよなー」
どうやら王様はどちらかと言えば革新的らしい。柔軟かつ現実的な思考と結果を重視するあたり、国をより良くしたいという意欲が伺える。
「王様はリアリストなんですね」
「あ、なんだそれ?」
「すみません、現実的かつ合理主義な考えをなさる人のことです」
「おう、なるほどな。
まぁ商人として働いてた時の経験が活きてるからだろうな。
――それにショーニらとつるんでた時が一番長かったし、楽しかった。
なによりも本当に多くを学んだしな。
今よりずっと居心地が良かったから、あの時の経験がなきゃ今のオレはねぇよ」
「(王様は今でもよく城を抜け出すんですよ、だからあちこちに顔が利くんです)」
こっそりショーニさんが耳打ちして教えてくれる。
なるほど。
貴族より民との距離の方が近い王様か。
きっと良い王様なんだろうな。
「で、だ。
コムギ、お前の力をもう少し見てみたいんだが……ちょっといいか?」
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