素顔
「ショーニはな、俺様の兄弟子なのだ」
「は?ショーニさんが?
繋がりおかしくありません?
王様とショーニさんが同門なんて――」
普通に考えれば商人と王族が同門と言う事はあり得ない。あまりに取り巻く環境や境遇が違いすぎるからだ。
「俺様はな、まだ皇太子の時に昔からの習わしで身分を隠して3年ほど奉公働きしてたんだよ。
その時世話になった商会にショーニがいてな、いろいろ教わったのだ。
それからの縁だから……かれこれもう10年くらいか?」
「そうですね、立派になられて――……笑」
「……おい、いま語尾に悪意があったぞ?
絶対本心じゃ思ってないだろ」
「……オモッテマスヨ」
「おいいいいい⁉
隠す気ないだろ‼」
「サア?」
「表に出ろ!
今度こそ叩きのめす!」
そう言うなり木剣を取り出し、王様がショー二さんに威勢よく掴みかかろうとする。
――が。
ショー二さんが眼鏡の位置をゆらりと妖しげに直すと同時に、殺気が静かに王様へ向かう。その殺気に当てられた王様は、蛇に睨まれたカエルが如く、青褪め硬直している。
「ほう、やりますか?
いいでしょう。
なら、また『お仕置き』してあげますよ?
ちょうど私も腕が鈍ってないか心配だったんで、良い機会です。
――さ、陛下。
覚悟はよろしいですかな⁇」
「………すみませんでした、俺様が悪かったデス」
変わり身が早い。
あろうことか目の前で王様が土下座している。それ程までに恐ろしいのか、わずかに震えている王様をショー二さんは険しい顔で見下ろしていた。
「――いや、王様が土下座しちゃダメだろ‼」
「ナイスツッコミ!」
思わずオレはツッコんでしまったが、セバスさんがフォローしてくれる 、ありがとう!
まさか窓の外から見える中庭にいる貴族達は夢にも思わないだろう。自分達が談笑しているこの時間、ここ執務室では先程まで自分達が罵倒していた商人に主たる王様が土下座してるなんて。
もし、この光景が目撃されたらどうなる事やら……。
紹介して欲しいパン、オススメのパン、ご指摘アドバイスなども、ございましたら感想欄で教えてくださいね!
「続きが気になるな」と思っていただけましたら、
評価、ブックマークで応援をどうかお願いします!
※下にスクロールしていくと、「広告の下にポイント評価を付けるボタン」があります。