謁見
いつもご愛読ありがとうございます。
メロンパンの甘い香りは焼きたてパンの中でも一番魅力的だと思います。
街中にあるメロンパン専門店の前を通ると思わず足を止めてしまいませんか?
「どうかな、ちゃんと食べてもらえてるかな?」
ショー二さんやウル、商会から一緒に来た従業員数人と待合室で着席して待つがどうにも落ち着かず不安だ。
本来なら座り心地の良い高級な椅子に身をゆっくりと預けたいところだが、それどころではなかった。
いつものより美味くできたと思うんだけど、やっぱり口に合うかどうか心配なんだよな。エッグバードのタマゴは風味が強いのに、くどくなくて使いやすいから個人的にはすごい良かったんだけど。
メロンパンを作りつつ、インスピレーションが刺激されて、カウカウ、エッグバードの材料を使って色々試したくなって内心ウズウズしていたのは内緒だ。
あー……早く店に帰って試したい!
「コムギさん、ご安心ください。
『メロンパン』なら大丈夫ですよ、我々が保証します」
不安そうにしているオレをショーニさんが優しく微笑みながらフォローしてくれる。
「そうですよ!店長!
我らの『メロンパン』なら間違いないです。
この次は何にしましょうか、楽しみですね‼」
スタッフになったウルが乗り気だ。
最初の時に比べ、あまりに雰囲気が丸くなりすぎて、回りの元同僚達はそんなウルにまだ馴れてないようだ。
その証拠に――
「あの『狂犬』と呼ばれた副会長を手なずけるとは……」
「あのクールさに憧れてたのに変わりすぎだろう……」
と言った内容のひそひそ話を商会の人らから最近よく耳にする。
――コンコン
突如、控え室のドアがノックされる。
全員無言になり、姿勢を正し立ち上がる。
「ショーニ様、国王陛下がお呼びです。
――どうぞ、こちらへ」
ショーニさんが呼び出しを受け、軽く頷く。予想だにしていない呼び出しに皆がざわつく。
何故なら休憩時間にわざわざ呼びつけるなど《《余程の事態》》がなければあり得ないからだ。
「大丈夫かな……」
皆がざわつく中、ショーニさんがオレをちらりと見る。
「コムギさん、一緒にお願い致します」
「え、オレも?」
「はい。
『それ』も一緒に持ってきてください。」
「……わかりました。」
うぅー……緊張するな。
『これ』は実際どうなんだろうな……。
でもせっかくだ、やるだけやってみよう。
「じゃ、いってきます」
「「「頑張ってください‼」」」
◇◇◇
ウルや商会皆の応援を受け、長い廊下を歩く。
一歩、また一歩と踏みしめる、ふわふわの絨毯。足元が落ち着かない感じがするのは絨毯のせいか、それとも浮ついた気持ちのせいか。
どうやら会場は突き当たりの部屋らしい。
係の人が重そうに、装飾の施された両開きのドアが開く。
部屋の中に入ると、広い空間に貴族ならで高貴な雰囲気を纏う人達が長机にずらっと座り並んでいた。
上座にいるのが王様かな?
結構若い。
金髪碧眼の美しい顔立ち、外国人スターって印象だ。
歳はオレより下、20代だろうか。
横には執事の人がいる、なぜかすごい元気がないけど体調悪いのかな?
――あ、国王の右手側の席にアンさんの父であるオイル公爵が座っている。ふと目が合い互いに軽く会釈する。
「商会代表、ショーニ参りました。
こちらに控えますは、この料理を作った者でございます」
「コムギ・ブレッドと申します」
事前にショーニさんに教えてもらった通り、恭しく臣下の礼を取る。
「ショーニ、よくぞ参った。
初めて見る料理だ。非常に興味深い、のだが
1つ頼みがある。
……お代わりはないか?
この執事が毒見といいながら全部食べてしまったのだ。
まったくけしからん」
「誠にっ、申し訳ありませんっ‼‼」
だから元気なかったのか。
よほど叱られたらしい。
控え室から補充分を持ってきてよかったな。この反応から察するに『これ』の出番もありそうだ。
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