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いよいよ

いつもご愛読ありがとうございます。


ドライフルーツは砂糖があまり入らないパンの味のアクセントとしてよく使われます。

代表的なのはレーズン、リンゴ、オレンジですね。


みなさんは何がお好きですか?

「お願い!

 コレをこの値段で買ってください!

 どうしてもお金がいるんだよ!」


「うーん、悪いなあ。こっちも商売なんだ。

 これ以上は値をつけられないよ、すまん」


「くそぅ……」


 パッと見がリスのような印象を抱かせる獣耳の少年は13から15くらいの歳かな、上背は大人とあまり変わらないが幼さの残る顔立ちだ。

 後悔や無念さが露になる苦々しい顔で、彼は駆け出しその場から立ち去った。


「今のはなんだろ?あの子、獣耳だったし……」


 ふと抱いた疑問をカレンにたずねる。

 こうゆう時、質問出来る相手がいるのはありがたい。


「あれはたぶんスラムの子ですねっ」


 ――ああ、スラムがあるって言ってたな。

 なにやら危険だとかも。


「スラムってなんなの?」


 そういやスラムってよくわからないんだよな。言葉はよく聞くけど……。


「スラムはさっきの子みたいな獣人族や収入が少ない人達が住む場所のことですっ」


「危険なの?

 こないだなんかそう聞いたけど」


「いえいえっ、全然。

 普通の街の一画ですよ?

 ただ、見た目の違いと昔からの差別意識からそう思わない人達もいるみたいで、スラムって差別的な意味を込めた呼び方されてるんです」


 なるほど、差別意識はどこでもあるってことだな。それで呼び名も含めて住み分けしてるのか。


「気になるんだけど、その獣人たちはどんな生活をして、どうやって生計を立ててるの?


 よく考えたら市場以外で獣人はあまり見かけてないし、それ以外ではあまり見てないからさ?」


「スラムの人は基本的に狩猟や採集で生計をたているんですよ、市場で取り扱われているもののほとんどはスラムの人達が調達したものなんですっ。


 みんな家族とか集団で生活をしてるので、団結力が強く、家族愛の強い優しい人達ばかりですよっ」


「すごいな、それならスラムの人達がいなければみんな生活出来なくなるね」


「そうなんですっ!

 だからみんな持ちつ持たれつの関係のはずなんですけど、なぜか獣人は原始的だから下に見るという意識が昔からあってなかなか上手くいかないこともたくさんあるんですっ。


 私たちの商会には獣人の人がたくさんいますし、たくさんお世話になってて、みんな良い人達ばかりだし、良いところがたくさんあるんです。

 それをもっとわかって欲しいんですけどっ……」


 熱を込めた彼女の言葉は堰を切ったような強い勢いで止まらなかった。次第に涙を薄っすらと浮かべるほど感情を込めるあたり、思うところがあるのだろう。


「そっか、ちょっとイヤな気持ちにさせてごめん。教えてくれてありがとうね」


「いえいえっ、こちらこそ熱くなっちゃってすみませんっ」


 狩猟や採集のプロ達か……。

 なにかしら、もしかしたらお願いするかもしれないな。


「じゃそろそろ頃合いかな、ニックさんのとこに戻ろうか」

「はいっ」


 ◇◇◇


 あ、ニックさんの店の前にシオンがいる。

 隣にいる彼はショーニさん、一緒に来たのか。


「どうもお待たせしました」


「おおお‼‼

 コムギさん、貴方は本当に良い意味で期待を裏切ってくれる御方だ!

 見て驚きましたよ!


 これだけの、しかも若いカウカウを30頭も。シオンから報告は聞きました。

 すごい魔法を使えるとか。

 いや素晴らしい成果ですよ、これは……‼」


 嬉しいんだけど、誉められ過ぎてなんか逆に怖い。キラッキラの笑顔がまぶしいし……。芝居じゃないよな?


「おぅ、兄ちゃん!

 いい仕事させてもらったぜ?

 ほら、お望みのもんだ!

 この特殊な専用の金属缶に入れときゃ1週間は保つからよ。しっかり使ってくんな‼‼」


 ニックさんも達成感からか、満面の笑顔だ。最初の仏頂面はどこへやら。


「ありがとうございます」


「で、コムギさん。市場と私から一つご提案があるのですが、よろしいでしょうか?」 


 ショーニさんが先程までの笑顔から、商人の顔にキリッと変わる。


「はい、なにか?」


「単刀直入に、これらのカウカウを飼育したいのです。

 幸い『飼い縄』がちゃんと付いていますし、場所も街のスミに用意しましたので。

 乳やバターを商品化すれば間違いなく売れます!

 空前絶後の大ヒット間違いなしです、王室以外での供給は前例がないのですから‼


 もちろん、カウカウと乳は全てコムギさんの所有ですが、飼い葉等の管理費は商会で、乳絞りは市場の負担でと、みんなの共有資産としてぜひ取り扱い出来ればなと思いまして。


 乳やバターなどの売上代金はコムギさんに適正な額がしっかり渡るよう計算致しますので。どうでしょう……?」


 ふんふんと鼻を荒くさせ、興奮しながらショーニさんが提案する。

 なるほど、乳が安定して手に入りつつ、お金も入ってくる。

 一石二鳥だ。

 みんなで潤うなら、なお良し‼


「わかりました、それでお願いします」


「「「「よっしゃあああ!」」」」」


「革命が起きるぞー」

「歴史が変わるかもしれん!」

「太っ腹な兄ちゃんに乾杯だ‼」


 市場のあちこちでそんな叫びが上がる。

 やる気を満たした空気が震える光景に戸惑ってしまう。


「そんなにすごいの?カウカウの乳って」


「栄養価がバツグンなんですよ。

 精力的な効果ももたらしますし、高級品として需要が求められていた希少価値のあるものが少しずつでも出回りはじめるのです、経済効果は図りしれません。」


 なるほどな、まあなにはともあれ、これで乳が手に入った。

 これでバターも作れる。

 また一歩前進だ!メロンパン100個を作るまで。


 よーし!

 やるぞ‼

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