護衛
いつもご愛読ありがとうございます!
「「よろしくお願いいたします。」」
「どうも」
「あの……ショーニさん?
その……大丈夫なんですか?」
「ご安心ください。
男性の護衛は全て出払っていますが、彼女達は強いですよ。
なんといっても二人の職業は『守護者』ですから。護衛ならむしろ彼女らの右に出るもの
者はここにいませんよ」
「なるほど、それを聞いて安心しました」
「では具体的なお話をしましょうか」
眼鏡の奥に自信を光らせつ、本題に向けショーニさんが話を切り出す。
ここから先は他言無用です、と注意も忘れずに。
「まず、対象となる魔物は同じ草原にいます。
しかし、エスケープゴートは丘の近く、カウカウは拓けた場所と住み分けしてます。どちらも警戒心が強い魔物ので自然には出逢えないかもしれません。それに仮に出逢えたとしても、乳を手に入れるには捕獲しなければならないのですが、これも難しいはずです。
捕獲のためには、こちらにある『飼い縄』を首に着ける必要があるのですが素早いエスケープゴートや獰猛なカウカウ相手には中々骨が折れるかと……。そういった難易度もあり、やつらの乳は手に入りづらいんです」
「そういえば牧場って物はないんですか?」
素朴な疑問ながら、ここ異世界でもその存在がありそうなものだが。
「あるにはありますが、高級品ゆえに王族専用なのです。
大量供給が必要な民間向けにはないのですよ。もちろん民間向けにやればとても儲かるでしょうが、それだけの数を捕縛することや飼育管理する能力のある人間がいませんと……」
事業参入するにはハードルが高いわけか。
王族に伝手なんか普通無いから、そうなるとやはり狙うのは野生の方になるわけだな。
よし。
「じゃ早速行くとするか」
「また性急ですな⁉」
「早いに越したことはないだろう?」
「ええ、こちらとしても早い分いろいろありがたいですが……」
「じゃ決まりだな、そちらの2人も大丈夫かな⁇」
「「はい」」
「じゃオレはいつでも行けるから、二人の準備が整うのを待ってるよ」
軽く二人が会釈して準備のため退室する。
再びショーニさんと二人きりだ。
「つかぬことをお尋ねしますが、メロンパン以外の美味しかったパンもバターとやらがあれば出来ますか?」
「モノにもよりますかね。
なくても作れるパン、逆になければならないパンなど色々ありますから。
たとえば『クロワッサン』や『ブリオッシュ』とかはバターがなければ作れないパンですね」
「名前から察するだけでも興味深い。
さぞ美味なのでしょうな。
お作りになる際には何とぞ実食させて頂きたい、よろしくお願いいたしますよ!」
「もちろん、お客様に愛されてなんぼですからね、ぜひ召し上がってください」
「ちなみに、この間頂いたパンは商会の皆で頂きまして、とても好評で殺り合いになりましてな」
ハッハッハと上機嫌で笑っているが、殺伐とした響きがする。何が起きたか怖くて聞けない……。
――ガチャ
「お待たせしました」
「ご用意が整いましたので参りましょう」
カレン、シオンの二人が準備を終え、応接室に戻ってきた。
よし、行くとするか!
待ってろよ、魔物達。オレとバターのために‼
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