ない!
パン職人は海外ではマイスターという制度がありますが、 実は日本にも「パン製造技能士」というのが国家資格であるんですよ。
気持ち良い日差しが窓から穏やかに店内を照らし、空を見れば雲一つ無く晴れた翌日。
氷の魔石のおかげで材料を保存する目処はついた。無事の帰還と魔石についてショーにさんに知らせようとしたが、どうやら取り込み中らしく会う事は出来なかった。
さて店のオープンに向け、次は『材料調達と市場調査』の為に市場へ行くとしよう。
これから色々必要な物が出てくるはずだし、仕入れ先についてなども把握しておかないと。
ガラガラとシャッターを締め、南にあるという市場へ向かうが、市場調査も兼ねてるので道すがら街の様子をじっくり見てみる。
整然と立ち並ぶレンガ造りの家々に、綺麗に整備された石畳の道、まるで中世ヨーロッパの街並みみたいだ。
……ただ、どこか街全体が寂しげな雰囲気に包まれている点がどうにも気になる。
市場に向かいながら、ゆっくりうろうろと街を散策しながら歩いていると
「ちょっとアンタ」
「はい?」
「そんなとこで何してんの⁉」
「え?」
「そっちはスラムだから近付くと危ないよ」
「スラム?」
「そうさ、見慣れない格好だね?
あんたよそから来たのかい?
スラムは危ない場所だから近づかない方がいいよ」
「はあ……。ありがとう……?」
スラム……馴染みが無いがあの反応からすると、そんなに危険な場所なのか。あまり近寄らないだろうけど、近づくなと言われると何があるのかちょっと気になるよな……。
だが今は市場に行くのが先決だ、先を急ごう。
◇◇◇
なんだかんだ寄り道してから市場に到着する。朝方出たにも関わらず昼前になってしまった。珍しい物ばかりで寄り道しすぎたかな……。
しかし、ここまで来る途中にパン屋がなかったのはチャンスかもしれない。
やっぱりパン屋も商売である以上、ライバルは少ないに越したことはない。
しっかりお客様を支持される様に商品展開やサービスの努力をすれば必ず結果は出るはずだ!そんな未来への期待を胸に抱きながら市場を散策する。
◇◇◇
――ふむふむ、果物、野菜は大丈夫そうだな。元いた世界に似た材料が多い。
見た事が無い物はチャレンジ枠で記憶しといて、後でゆっくり試していこう。
さて、あとは肉と魚だな。
良いのがあればいいのだが……。
よく使用するベーコンやソーセージ、白身魚は欲しいところだ。歩いてみてわかったが、想像以上に巨大な市場なので何処に何があるかわからない。こうゆう時はその辺の店の人に聞いてみるのが一番だ。
「すみません、肉とか魚ってどの辺にあります?」
「ああ、端の一画だよ、あの大きな倉庫がある辺りだ」
「そうか!助かったよ、ありがとう」
「あ、兄ちゃん、くれぐれも気を付けてな」
「……?」
気を付けて?どういう意味だ⁇
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