報告と驚愕④ナンバード
迫りくる魔物の大群との報せ。
悪い冗談ではないかと耳を疑うがどうやら違うらしい。
昼食を取っている兵士を含め、食堂にいる者達は突如訪れた不測の事態に浮足立っている。
一部を除いて。
「うろたえるな!」
一喝する声が食堂に響き渡る。
皇帝は仕切り奥の特別区画から飛び出し、他の者等が注目している食堂入口に立つ。
そこで報告してきた兵士に冷静に話を聞く。
「報告ご苦労!
一体なにがどれだけ迫って来ているかわかるか?」
「はっ!物見の報告によれば空を飛ぶ魔物が帝都に向け飛来するのを確認。数は不明、外見的特徴と群れでの行動である事から『ナンバード』だろうとの事です」
「ナンバードだと……⁉
このタイミングでまた厄介な……!!」
苦虫を潰した様な顔で苛立ちを滲ませる皇帝。
同時に一層ざわつき始める一同。
「ナンバード?それは何だっぴか?」
神獣ことサンちゃんだけはピンとこないのか、何をそんなに騒いでいるのかと不思議そうに訊ねる。
「ナンバードは群生する鳥型の魔物で、凶暴で数は多いし小さくて素早いから厄介なんでありますよ」
「へー?そんな魔物がいるんだッピね」
「神獣なのに知らないんでありますか?」
――カチン
「ワレにだって知らない事はあるッピ!
神獣だからって全て知ってる訳じゃないッピ!!」
「ご、ごめんね。サンちゃん、怒らないで……?」
「ふん!」
ヘソを曲げた神獣。
身体の器が小さくなったからか、心の器も小さくなったのか、それとも元々小さいのか……。
「とにかく一刻も早く魔物は退治せねばならん。
住民には避難勧告と誘導を、兵士は戦闘準備だ!急げ!!」