第八話 入試に向けて
宿に帰った俺は少し早めの夕食を食べた(ちなみにお金はエリムからもらった)。
夕食後、部屋で明日の準備をすることにした。
入試の内容は座学と受験者同士による模擬戦だ。
座学は国語と数学と戦術の三教科で、エリムによると国語と数学は簡単で戦術は出来なくても大丈夫らしい。
どっちかというと模擬戦の方が点数が高いらしく、そっちに力を注いだ方がいいとのことだ。俺はそのために三年間も修行をしていた。エリムが言うには俺は同世代の中では強いらしい。
そういや夕方のやつらは制服を着てたな。明日の試験を受けるらしいけど、何でだろう。エリムに聞いてみるか。
『なあ、エリム?起きてるか?』
『うん、起きてるよ〜。どうしたのかな?』
そういや分かったことが1つある。エリムには俺がただ考えただけのことは聞こえないらしい。しっかり心の中で話しかけないとダメみたいだ。
『夕方のやつら覚えてるか?』
『うん、覚えてるけど。それがどうかした?』
『そいつら制服着てるのに、明日の試験を受けるって言ってたんだけど、何か知ってるか?』
『ああ、彼らは初等部の子だろうね。初等部に在籍してる生徒も中等部に上がるためには外部生と同じ試験を受けないとダメだから。』
『そういうことか。じゃああいつらは俺が受付してる時に俺を見つけたのか。』
『多分そうだと思うよ〜。』
『分かった。ありがとう。』
『は〜い。』
1つ謎が解けたところで今日はもう休むことにした。
シャワーを浴びて、明日の用意をしてベッドで横になる。
ベッドで寝るのは久しぶりなので、すぐに意識を失った。
■ ■ ■
翌日、予定していた時間通りに起きた俺は、朝食を食べて服装を整えていた。ちなみに服はこっちの世界に来た時にエリムが1着用意してくれた。夜はそれを着ている。
準備ができたので早速学校に向かった。
余裕を持って試験開始30分前に学校に着いたのだが、学校は人で溢れかえっていた。人混みをかき分け学校を進む。まず座学の試験なので校舎に入り、受験番号に応じた教室へ入る。
座学に関しては何の対策もしてないが、まあ大丈夫だろう。周りを見ると、それぞれ参考書などを持って最後の復習をしている。
少しすると、試験官と思われる人がやってきた。
「よし、試験1分前だ!各々持っている参考書などをしまえ!」
もう始まるみたいだな。
こうして俺の異世界初入試が幕を開けるのだった。
連載8回目!
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