第三話 次元を越えて
「よし、それじゃあいくよー。」
そうしてエリムが呪文を唱えると、俺を淡い光が包んでいく。光が増えるとともに俺の中に何かが流れてくる感じがした。
(これが力か...。)
しばらくすると光が徐々に消えていった。どうやら終わったようだ。
「はい、終わったよ。」
体を動かしてみる。特に前と変わった感じはしなかった。
身体能力の向上はないみたいだ。
「なあ、力を試したいんだけど何か出来ることはないか?」
「うーん、なくはないけど僕としてはやめてほしいかな。」
「どうしてだ?」
「さっきも言った通りその力は過度に使うと君の命が危ないんだ。だから、使うのならゲートの製作に使ってほしいな。」
「ゲートってのはこの世界と別の世界を繋げる魔法ってことでいいのか?」
「うん、そうだよ。力を使いたいのなら、今すぐゲートの作り方を教えるよ。」
まあ特にこの世界ですることはないしな。今すぐ行っても問題ないだろう。
「じゃあ教えてくれ。」
「わかった!それじゃあまずは手を前にかざして。」
言われた通り手を前にかざす。
「これでいいか?」
「うん、バッチリだよ。そしたら手に力を入れてみて。」
手に力を入れる。すると、俺の中の何かが手に集まる感じがした。
「出来たぞ。手に何か集まってくる感じがしたが、それで合ってるのか?」
「お、もう感覚が掴めてきたのか。なかなか早いねー。
じゃあ最後に心の中で『開け!』って命じてみて。」
『開け!』
その瞬間、俺の目の前の空間が歪み、それが穴となった。
穴の中は光に包まれ、何も見えない。
「よし!完成だね!」
「ああ、早速行くか。」
俺が行こうとした瞬間、
「ちょっと待って!」
エリムが何かの呪文を唱え始めた。すると、風に揺れる木や空を飛ぶ鳥がその動きを止めたのだ。これは時間を止めたのかな?
「時間を止めたのか。」
「そうだよ。時間を止めとかないと、向こうの世界に行ってる間にどんどん過ぎてくからね。僕の予想だと結構長いこと向こうにいると思うから。」
そんなに長くいるつもりなのだろうか。こっちとしては一年ぐらいで終わりたかったのだが。まあ仕方ないか。
「終わったのなら行くぞ。」
「あっ、待って待ってー。」
俺は穴の中に手を入れた。変な感じはしない。ただ手を伸ばしてる感覚だった。そして俺は全身が穴の中に入った瞬間意識を失った。
連載3回目!!
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