第二話 自称精霊の提案
「何でお前俺の名前知ってんだよ!」
「まあそれはいいじゃん。」
良くないと思うのだが。でも今は提案の方に興味がある。ひとまずスルーするか。
「わかったよ...。で、その提案って?」
提案を受けるにしろ、受けないにしろ、その内容は聞いておかないとな。
「それはね、時間を巻き戻してこの事件で亡くなった人を生き返らせようって提案だよ。」
(は?時間を巻き戻す? それにこれを事件って。)
「それで具体的な話をするとーーー」
「ちょっと待った!聞きたいことがいくつかある。」
「ん、何かな?」
「時間を巻き戻すってそのままの意味か?」
「うん、そうだよ。時間を巻き戻して無かったことにしようってこと。」
「分かった。それじゃあもう一つ、お前今事件って言ったよな?それはどういうことだ?」
「ああ、それは今から話そうと思ってたんだ。」
「まず、今回のは事故でも何でもない。悪意を持って行われた事件だよ。」
「しかも、それを行なったのはこの世界の人間じゃない。」
「え?それはどういうーーー」
「その前にまず君はパラレルワールドって知ってるかな?」
「いや、知らない。」
「パラレルワールドっていうのは今君がいる世界とは違う、別の可能性の世界のことを言うんだ。」
「別の可能性?」
「そう、今君が知ってる世界は科学が発達してるでしょ?
でも、もしその発達に貢献した人がいなかったら?そして科学ではなく、魔法を発達させようとする人がいたら?」
「この場所はたまたま科学が発達し、色々な発明が起こった世界ってだけ。この世界以外にも世界は数えられないぐらいある。もちろん魔法が発達した世界だって。」
「これと今回の事件を結びつけると、一つの仮説が生まれる。それはこの世界とは別の世界の人間が何らかの理由でこの事件を引き起こしたってこと。分かったかな?」
「さっぱり分からん。」
「まじかーー。」
「まあ要するに別の世界があって、その世界の人間がこっちに来て事件起こしたってことだろ?」
「うん、それで間違いないよ。」
「だから君には次元を越えてそいつらを探してほしいんだ。そいつらがいなければこの事件は起きなかったわけだし。」
「大体の内容は分かったが、お前に時間を巻き戻したり、次元を越えたりする能力があるのか?」
「もちろんあるよ。ただ今の僕では巻き戻すほどの力はない。また僕は人間に直接影響は与えられない。だから君に今言った時間と次元を操る能力を分ける。そして君が次元を越えて黒幕を倒し、戻って時間を巻き戻して全て元どおりって寸法さ。」
「なるほど、でもそれって俺に力を分ける必要あるか?」
「大いにあるよ!僕の負担が減るもん。でも、今の状態で君が時間を巻き戻そうとすれば、負荷に耐えられずに君が爆発するんだよね。」
「まじかよ!危ないじゃん!」
なんつー力を分けようとしてたんだ、こいつは。
「まあまあ、しっかり鍛えれば大丈夫だから。で、どうする?受ける?受けない?」
考える必要はない。こいつらを救えるなら、あの日常を取り戻せるなら、俺は何だってやってやる!それに今の俺じゃあ何にも出来ないからな。こいつの提案にすがるしかない。
「ああ、受けるよ。どうせ今の俺には何も出来ないんだ。少しでも可能性があるならそれに賭ける。」
「うんうん、良かったよ。君が受けてくれて。よしっ、それじゃあ早速力を渡すよ。」
こうして俺はエリムの提案を受け入れ、力をもらうのだった。
連載2回目です!
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