第十六話 頑固なくそ真面目君
気絶していたアランが目を覚ました。
「なあ、何で俺に決闘を申し込んだんだ?」
アランは何も言わない。
「俺、決闘に勝ったんだけど。」
基本、決闘に勝ったら相手より優位に立ってることになる。だから、それを全面に出して聞いてみる。もしかしたら話してくれるかもしれない。
「お前がシーナ様を誑かすからだ。あの方はお前に出会ってから変わってしまった。お前さえいなければ。」
なるほど。そういうことだったのか。こういう場合、俺が何と弁解しようと聞く耳をもたないだろう。だから、
「お前それを本人に言わないでどうする。俺に当たったところで何も起こらないぞ。」
「言えるわけないだろう。俺はあの方の従者だぞ。立場が下の者が上の者に意見なんて出来ない。」
うーん、こいつ変なところで頑固だな。いいだろ、少しぐらい。
「はー、お前めんどくさいな。いいだろ、別に。少しくらい意見したって、あいつは何も言わないだろ?そのことはお前が一番分かってるんじゃないのか?」
「...。」
「おい、どうした?」
「ちっ、お前に言われるとはな。いちいちムカつくやつだ。、、、礼は言わないぞ。」
「わかってるよ、早く行け。」
アランは走っていった。
あ、あいつの異能力について聞くの忘れた。
■ ■ ■
「シーナ様!」
「アラン、どうしたの?」
「なぜシーナ様はハジメにご執心なのですか?あいつのどこがいいんですか?」
「アラン、私が前に話したこと覚えてる?」
「それは身分格差のことについてでしょうか?」
「ええ、そうよ。彼はね私のことを初めて一個人として見てくれたの。王女でも、外見でもなく。それが私にとってすごく嬉しかったの。だからかな。」
彼女はそう言って笑う。僕が今まで見たことのない笑顔だ。
(やっぱりそうなのか...。)
「ありがとうございます、シーナ様。」
「ふふふ、なら良かったわ。あなたにはまだ分からないかもしれないけど、その内分かるわよ。」
悔しいが、俺が今ここにいるのはあいつのおかげだ。
だから、あいつのことは少しは認めている。少しだけだがな。
忘れてはいけないのは、俺はこの方に一生仕えると誓ったことだ。それは何があろうと変わらない。たとえ誰が敵になろうと。
連載16回目!
更新頻度が落ちています!ごめんなさい!
今回は王女の側近アランの想いを書かせていただきました。どうだったでしょうか?
これからも頑張るので、応援よろしくお願いします!




