第十一話 強すぎる能力
初戦の相手を瞬殺した俺は王女に詰め寄られていた。だが、ひとまず次の試合を理由に逃げてきた。
次の試合は次鋒戦。こっちの選手はガイルという名前の貴族だ。魔法が得意らしい。対する相手は貴族ではないように見える。おそらくどこかの平民だろう。
「それでは...始めっ!!」
試合が始まった。
相手の選手は素早く剣で斬りかかる。なかなか良い動きだ。対するガイルは慎重に魔法の詠唱をする。どうやら魔法を使うときは詠唱するのが普通のようだ。俺は使わないが。
「我が手に宿りし炎の魔力よ、今形を成して眼前の敵を貫け! ファイアーアロー!!」
矢の形をした炎が相手選手目掛けて飛んでいく。相手はそれを軽々と避ける。が、ガイルはもう次の魔法の詠唱を始めていた。
「雷よ、大槌となりて迫る全てを破壊せよ! ボルテクスハンマー!!」
巨大な雷のハンマーが相手に突っ込んでいく。さっきの魔法で体勢を崩している相手は避けられずに直撃する。そのまま相手は吹っ飛び、倒れた。
「勝者、ガイル=クラスタ!」
正直ガイルがどのくらい強いかは分からんが、なかなかの使い手なんだろう。まあ、俺なら避けられるな。
その次もこちらが勝ち、一回戦は全勝で次に進んだ。
さらに二回戦、三回戦と俺は先鋒戦を瞬殺していった。
また仲間も強く、その2回とも副将、大将は何もせずに勝っていった。
俺はその間もずっと王女にどうやって勝っているのか、聞かれ続けた。王女はとても綺麗だ。それは国中の色んな人からすでに求婚されるぐらいに。そんな人に近づかれると、とても緊張するのでやめてほしい。
俺は何とか誤魔化そうとするが、もう逃げられなさそうだ。しょうがない、話すか、、、。
「えーとですねー、王女様。」
「シーナでいいよ。」
「じゃあシーナさん。僕が使ってるのは時間を操る魔法なんです。」
「時間を操る...」
「その魔法を使って勝ってたんです。タネが分かれば簡単でしょ?」
「そんな魔法最強じゃない!あなたどこでそんな魔法覚えたの?」
「それは秘密でお願いします。」
「教えてくれないのね。まあいいわ。そんな強い魔法、他の人には使わせたくないだろうし。」
「ありがとうございます。その代わりこれからの戦いも勝ち続けますね。」
「ふふっ、期待してるわ。」
「任せてください。」
こうして俺は順調に勝ち続け、決勝も無事勝って、模擬戦は俺たちのチームの優勝で幕を閉じた。
大将はシーナさんだったのだが、まさかの一度も戦わずに優勝したので、彼女の実力は分からないままだった。
俺は宿に戻り、自分の部屋のベッドに寝転んだ。明日は合格発表なので今日は早めに休むとしよう。合格できてると良いのだが。
そういえばエリムは今日全然話しかけてこなかったな。
俺が集中するためなのか、何か他に理由があるのか。分からないけど、明日また話すか。
こうして俺はベッドで眠りにつくのだった。
連載11回目!
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