静奈Side②
遅くなってすいません!!
夏風邪を引いてしまい、なかなか書いてる時間が取れなかったんです……!
これからは投稿ペース上げていくのでどうぞよろしくお願いします。
目を開けて直ぐに飛び込んできた光景は、大きな椅子に座る、冠をかぶったおじいさん?のような人とその傍に立つ長髪のおじさんだった。
見た感じ、ここはどこかの城の様で、多分玉座の間か何かだろう。
こんな所映画やドラマの中でしか見たことが無い。
もし本当にお城だとすると、あそこに座ってるおじいさんは王様か何かだろう。
辺りを見回す。
ずっと手を握ってたから美咲さんは確実にいるけど、お兄ちゃんの姿が見えない……
周りの人達も自分の状況に気がついたのか、段々と慌てだした
そこで、王様らしき人の横に立っていたおじさんが声を発した。
「突然の事で驚いているかもしれないが、少しだけ話を聞いて欲しい。まず、手始めに私は隣に居られる皇帝陛下の側近を務めさせていただいております、ゲーテ・ルッコマーノと申します。以後お見知りおきを。」
このゲーテと名乗ったおじさん。
何を考えているのか、口元はニヤけており、いやらしい目でクラスの人たちのことを見ていた。
私はこの人の目に恐怖を覚えて、咄嗟に美咲さんと繋いでいる手に力が籠る。
「さて、ではまず現在の皆様の状況の説明から……今現在、皆様方は元いた世界から別の世界、この世界に私たちが召喚した状態になります。我が帝国の優秀な魔術師達が作り上げた、異世界転移の魔法によってね。」
この人が何を言っているのか分からない……
別の世界?召喚?異世界転移?
……じゃあここは地球じゃないってこと?
だったらお兄ちゃんは?どうしてここにいないの?
常識では有り得ない事を数多く言われた私は混乱し始めてしまっていた……
私の中で、沢山の『なぜ?』がグルグルと回っていると、教室にいたうちの1人の男子が言った
「じゃ、じゃあ僕達は元いた世界には帰れないのか!?」
その質問を受けて、ゲーテさんは一瞬目を細め、その男子生徒を見つめた後口を開いた。
「これから話すことなのでもう少し待っていただければ良かったのに……まぁいいでしょう、さっき出た質問に関してですが、正直に申し上げますと、現段階でもう一度世界を移動することは不可能です。」
……不可能。
その言葉が私の中に深く刺さる。
理性では、こういう時こそ冷静にならねばいけないということは分かっているのに、心はどんどんパニックに陥っていく。
ダメだ、今取り乱したら重要なことが聞けない……
落ち着くんだ……
大きく深呼吸する。
すると、さっきまで固まっていたはずの美咲さんが私の耳元で
「あの人の目は信用しちゃいけない人の目をしてる気がする。全部を信じるんじゃなくて、聞いておくだけにしておいた方がいいかも……」
と囁いてくる。
急に喋りかけられたのでビクッとしてしまったがゲーテさんには気づかれていないだろう。
私は美咲さんの方を見て、コクリと頷く。
「は!?そんなことして許されると思ってんのかよ!!さっさと俺たちを帰せよ!!」
また別の男子が叫ぶ。
1人が騒ぎ始めたことによって固まっていた周りもこの状況の深刻さに気がついたのか騒ぎ始める。
「はぁ……皆様は話を聞いていらっしゃらなかったので?先ほども申し上げた通り通り、現段階で世界を移動することは不可能です……が、それは今回皆様を召喚させて頂いた理由でもあります、魔王が帰還方法を知っているらしいので、魔王から聞き出せれば帰還することができます。」
呼び出すことは出来ても帰すことは出来ない。
でも、返す方法は魔王が知ってる……
「そこで、勘のいい方なら気づいておられるかも知れませんが、皆様には魔王の討伐を行っていただきたい。」
そこで、ゲーテさんが話し終わったタイミングで王様のような人が声を発した
「突然呼び出してこのようなことを言うのは大変心苦しいのだが、我々ヒューマンは今、魔族によって滅ぼされかけている状況なのだ……だからどうか頼む。魔王を討伐し、我々を救ってくれ……!」
魔王の討伐?
いまさっきまで争いとは無縁の平和な場所にいた私たちに戦えと言っているのかこの人は……
「そんなの無理に決まってるじゃねぇか!!」
2番目に叫んだ男子がもう一度叫ぶ。
するとその男子の反応を見て、ゲーテさんは不思議そうな顔をしながら……
「なら皆さんはどうするのですか?確かに呼び出したのはこちらですが魔王から帰還する方法を聞く以外に皆さんが世界転移をする方法はないのですよ?」
「……」
ゲーテさんのその言葉に反論が見つからないのか男子は黙ってしまう。
「少しみんなで今後について考える時間をくれませんか!」
そこで、今まで大人しくしていた美咲さんが王様とゲーテさんに言った。
「ええ、いいですとも。今後のことを話さなければいけないのはこちらも同じなので、私の方は明日にしましょう。各自部屋を用意しているので、本日はそちらに泊まって頂きますようお願いします。あと、この世界には『ステータス』というものが存在するので各自で確認しておいてください。念じればステータスは確認できますので……では。」
そう言ってゲーテさんと王様は奥の部屋に向かった。
それと入れ替わるようにメイドさんが来て
「ご相談が終わりましたら私にお声かけ下さい。皆様のお部屋にご案内させていただきます。」
と言い、お時期をしながら退出して行った。
「じゃあ、話し合いを始めましょう——」
こうして30分ほど話し合い、みんなで魔王を倒して地球に帰ろう、という事になった。
ステータスはまだ周りに知られるのもどうか、という話になったので各自が部屋で確認することにした。
メイドの人に声をかけて、一人一人部屋に案内してもらった。
美咲さんとは部屋が隣同士だったからいつでも話は出来ると思う。
話し合っていた時にも思ったけど、誰もお兄ちゃんのことを気にしてないんだよなぁ……
美咲さんはお兄ちゃんが居ないこともしっかりと気づいてたから他のクラスメイトの人達が薄情なだけとかそんな感じなのかな?
まぁ先にステータスとやらを確認してみないとどうしようも無いんだけどね……
「ステータス!」
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name「シズナ ニイザキ」
Lv 1
種族【ヒューマン】
HP:100
MP:150
STR:20
DEX:20
AGl:20
INT:20
LUK:45
ATK:25
DEF:25
異能
【思想世界】【聖女】
スキル
【聖属性魔法】【棍棒術】【体術】【魔法技能上昇】
【異世界言語】
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私がステータスと言うと、目の前に半透明な薄いスクリーンのようなものが現れ、私自身のものと思われるステータスを映し出した。
一般的にこれがどのくらいの強さなのか分からないけど、「外に出たら死ぬ」ってほど弱くもないと思う。
まぁその辺も明日話してくれるんじゃないかな?
お兄ちゃんのことはこれから探すとして、今日はもう寝よう。
なんとなくだけど、お兄ちゃんは絶対にこの世界に来てる気がするんだよね……
「これっ!」ていう確証は無いんだけど、何となく、なんだろ……妹の勘ってやつ?それでお兄ちゃんは居るぞー!みたいなのがわかるって言うか……
だから自由に行動出来るようになるまで、せめてこの世界の情報を色々と手に入れてからお兄ちゃんを探しに行こう。
ま、それじゃあおやすみなさい。
朦朧とする意識の中書いたので、誤字・脱字があるかもしれません。
見つけた方は報告なりして頂けると幸いです。
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本来なら今回でSideストーリーは終わらせる予定だったのですが、少し難しくなったので、もう1話分に分けさせて頂きたいと思います。
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