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親切な門番達

本日2話同時投稿致します。

太陽が照りつける下、周りの砂漠の砂を思わせる白っぽい壁に囲まれた、ほぼ立方体の建物。

その正面には、頑丈な扉が付いており、扉の前には10人程度の列が出来ている。

ここから見る限り、みな冒険者で、ギルドで出されている許可証を扉のの左右にいる男性達に提示しているようだ。

昼を過ぎた時間のせいか、私達の後ろには誰もこない。

列に並び暫くすると、私達の番になった。

扉の左右には壮年の男性が立っている。

「初めまして。君達はダンジョンに潜りに来たのかな?」

私達から見て左の男性が、問いかけてきた。

今までの人は簡単に通っていたので、きっとここを拠点にしている人たちなのだろう。

「はい。こちらが許可証です。」

ギルドで貰った許可証を提示する。

「うむ。見せてもらおう。……。よし、問題ないな。それにしてもその若さでC級か。俺達は引退する時にD級だったが、大したものだな。」

と男性が答えると、反対の右側に立っていた男性から、

「おい、ハーシム。余計なことはいいだろう。」

との声が飛ぶ。こちらはやや強面だ。

まあ、いいじゃないかという言葉とともに、ハーシムというらしい男性が続けることでは、彼らはハーシムとジャミルという名前で、長年この町や時折別の町のダンジョンに潜りながら、コンビで冒険者をやってきたらしい。

しかし歳を感じるようになった数年前からはギルドに雇われ、ダンジョンの門番をしているらしい。

「ところで運び人がいないようだが、ダンジョンアントの話は聞いているかい?」

とハーシムさんに質問される。

「素材の回収ということでしたら、大丈夫です。収納袋を持参していますので。」

と答えると、

「そうか。流石だな。」

と、ギルドでと同じような反応が返ってきた。


「なら繰り返しになるだろうが、ダンジョンアントの素材は貴重な上、放置すると危険を呼ぶ可能性がある。必ず回収をしてくれ。それとこれを。」

それはアミダクジのような物が書かれた紙だった。ただアミダクジにしては横の線が繋がり切ってなかったり、縦の棒が上は20本ほどだが、下に行くにつれ少なくなっているが。

「これは?」

と尋ねると、

「それはダンジョンの地図だ。」

なんと、と驚いたが、思えばここは数百年もダンジョンとともに生きてきた町だ。

地図くらいはあるだろう。

「これは幾らで購入できるのですか?」

地図があるなら買わない手はない。安全が金で買えるなら願ったりかなったりだ。

特に命がかかっているときは。

「いや、これは支給品だ。そのまま譲ろう。」

「よろしいのですか?」

これには今度こそ驚いた。

確か、地球ではかつて地図は貴重だと聞いたし、勝手にこちらでもそうだと思っていたが。

いや実際こちらでも地図といえば、ギルドなどの公共機関に置いてあるくらいで、本屋などでは見たことがない。つまり個人で所有するようなものではないはずだ。

まあ、ミリア師匠は持っていたが。

この大陸の地図を見せられた時は、随分と得意げな表情をしていたものだ。

っと思考が脇にそれかけた。

「まあ、外から来ると驚くよな。」

あっ、やはり驚くのが普通らしい。

「確かに安いものじゃないが、最近は共和国で版画とかいうのが出来てね。たくさん作れるようになったし、知っての通りギルドとしては、冒険者達には出来るだけダンジョンの中で死んでほしくないのさ。」

だからこういった部分に積極的に投資しているらしい。


「じゃあ、後ろもいないし、少し説明しようか。」

とハーシムさんが地図を指しながら、ダンジョンについて教えてくれる。

「ダンジョンは知っての通りダンジョンアントどもの巣なんだが、不思議なくらいに探索がしやすい。これは、人間が入ってきやすいようにダンジョンアント自体が学習しているかららしい。俺は学者じゃないからよく分からないけどね。」

その後も説明が続いた。

結論から言うと、ダンジョンは上下の行き来をするだけなら非常に簡単な構造だ。

まず建物に入ると地下へと続く階段がある。

これは人間が整備したものらしいのだが。

その階段を進んだ先、つまり地下1階は何もない大広間で、そこにもいくつもの階段があるらしい。

なんとこれはダンジョンアント達が土を削って作った階段だそうだ。

その内のいくつかは罠、ということはなく、どれも下へと続いていく。

「特に、降りてすぐ目の前の階段は1番下10階まで続いていてね。それが1だ。」

確かによく見れば、地図にも縦の線に番号が振られている。一段毎の通し番号らしく、2段目や3段目にもそれぞれ1や2が振られている。

また横の段は大体10段。つまりこのダンジョンは地下10階までということか。

「階段の横にも、数字があるから余程適当に歩かなければ迷子にはならないだろう。」

何というか、ダンジョンというものへのイメージが壊れそうだ。もちろん分かりやすいことに文句を言うのもおかしいのだが。

「階段はだんだん少なくなるからね。初めてなら、若い番号がいい。とはいえ、1とか2はほぼ一歩道だ。俺としては10番前後を勧めるよ。特にそこなら、地下5階あたりは面白いものが見れるはずだ。」

とはハーシムさんだ。


その他にも、ダンジョン内には小さく、人の通れない穴がそこかしこにあり、それがダンジョンアント達の通り道だと教わった。

何故かダンジョンアント達は、階段自体は使わないらしい。

「だから、危険を感じたら階段に逃げると良い。いわゆる安全地帯になっているからね。」

またダンジョンアントは、強靭な顎を持ち好戦的な性格で、下の階に行くほど、多くのダンジョンアントが出るらしく注意するようにも言われた。

ただし、もし魔道具を探すようならここのダンジョンでは、地下9階辺りでないと可能性は低い。

ハイリスクハイリターンはここでも健在らしい。


「よし、こんなもんかな。長くなったが、君たちの武運を祈っているよ。」

実際、本当にここまで長かった。

が、後はもう潜るだけ。

私達は親切な門番達に礼を述べ、建物へと足を進めるのだった。


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