たまには子どもらしく
魔法拳士の夢もいいが、それだけでは人生つまらなくなってしまう。
せっかく友人が出来たのだ。
時には子どもらしく大いに遊ぶことも大切なことだ。
私はガインの街に来ている間、ラト師匠の買い物に付き合うか道場で修行をしている時間以外は、ほぼユニとテオの2人と過ごした。
この世界、もしくは地球の中世程度では子どもも立派な労働力だった。
道場に来ている子ども達も、道場に来る時間以外は大抵家の仕事の手伝いをしていた。
その中で、私たち3人は特殊な例で自然一緒にいる時間が増えたのだ。
知っての通りガインの街は、周囲を城壁に囲まれている城塞都市だ。
これは、エルバギウス大森林がすぐそばにあり不意の魔物の群れの襲撃に備えるためだ。
危険な立地ながら同時に魔物素材の一大産地でもあり、冒険者だけでなく商人の行き交いも多く、ゼルバギウス領どころかグラント王国内有数の大都市でもある。
魔物の群れの襲撃は、滅多にないが、稀にそういうことがあるらしい。
確か異世界モノではスタンピードとか言われる現象だ。
まあそういうわけで、城塞都市の宿命として使える土地には限りがある。
そのために遊びといっても、限度があるのだ。
ある日私たちは誰もいない道場で、ボール遊びをしていた。
布で作ったボールを使い、真ん中に立つ1人を残った2人が挟みボールをぶつける。要はドッジボールの最後の場面をイメージして貰えばいい。
ボールは随分圧縮されていて、当たれば少し痛い程度には硬くなっている。
つまりそれなりのスピードが出るのだが、ユニが真ん中に来た時はまさに圧巻だった。
いくら投げても当たらないのだ。
最後は私とテオが根負けし座り込むとユニは
「まだまだだ甘い」
と見事なドヤ顔をしたのだった。
あまりに悔しく、念力を使い縦横無尽にボールを動かすも、全く当たらずむしろユニを喜ばせた。
「もっとやって!もっと速く」
こんなに大きな声を出すユニを初めてみる。
顔を輝かせ笑う彼女に思わずどきりとさせられた。
ユニはこんな感じに体を動かすことと、昼寝を心から愛するそんな少女だった。
逆にテオは、体を動かすのは嫌いではないが、それより頭を使うゲームを好んでいた。
彼は特にゼルスというチェスのようなゲームが好きだったが、彼の家族はみんなあまり興味が無いらしく、私がルールを覚えてからは良くせがまれた。
「魔法使いを猟師の前に。これでルークの王様は動けないね。僕の勝ちだ。」
勝敗は半々くらい。ゼルスにおいては、私たちはちょうどいいライバルだった。
私に勝つと彼はにっこりと笑う。その顔はアイドルのようで、双子のユニを除けば、彼以上に可愛らしい顔を私は他に知らない。
そのことを、ゼルスをしている途中、手を考えるのに集中してポロリと言ってしまったことがある。
しまったと思った時はあとの祭りで、顔を真っ赤にしたテオはなかなか許してくれず、ラト師匠の用事が終わり、帰る間際にやっと許してくれたときは、心底安堵したものだ。
私たちの生活はこんな感じだった。
まずは疲れるくらい体を動かし、ユニが昼寝をしている間にテオとゲームで遊ぶ。この流れが、1つのパターンになっていた。
他には街を探検したり、街の中でかくれんぼをすることもあった。
振り返れば他愛のない日常だったが、3人で遊んだ日常は間違いなくかけがえのない宝物だった。
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