転生一ヶ月、横紋筋融解症で死にました
注意:この作品でテンプレがゲシュタルト崩壊しかねません。
さて、異世界転生のテンプレとして赤ん坊に転生して、子供の頃から筋トレとかいろいろと頑張るというものがある。
今回はそのテンプレにちょっとだけ専門知識を加えて考えればどうなるのかをかいてみました。
その結果はこのダイナミック自殺したオトコです。
どんな作品にも当てはまるように描写やら固有名詞を略した作品なので、短めです。
もし面白ければシリーズの他の作品や連載小説の方も宜しく~
それでは本編をどうぞ~
とある男の話をしましよう。もしも異世界転生最速の自殺というチャレンジがあれば、彼は間違いなく優勝候補の一人である。
男の名前は戸有音駒、勿論プライバシー保護のために偽名です。
ええ?デジャヴ?気にしないでください。
音駒はゲーム脳とラノベ脳の合わせた様な頭をしている。強いて言うならそう、ファンタジー脳とでも言おう。まあ、ともかくそういう残念な頭をしている馬鹿であり、全く持って現実と幻想の区別がついていないやつである。
毎日幻想にどっぷりハマって自分に異世界の嫁がいると思い込んでいる異常者であり、コキコキと毎日その俺が思う理想の嫁(なお、毎日姿や性格、時には性別すら変わる模様)に対して自宅発電に勤しむ魔法使い候補である彼は紛れもなく社会不適合者であろう。因みにそのせいでいろいろと体の栄養が足りていないからか、痩せ過ぎるほどの体型をしている。
そんな彼は予定調合が如く急死を遂げてみせた。理由は自宅発電の衝動を抑えきれず、一晩ぶっ通しマラソンでいろいろと出しすぎたせいで過労(?)死……ではありませんでした
彼の死因は脱水です。体液を失いすぎましたね。
だが天とは実に不公平なものである。社会のために日々働いて過労死したものが数多くいるのに、何故かこんな情けない死に方をした馬鹿のこいつの方が転生の機会を得たのであった。
「こ、ここは」
何故か真っ白なシロすぎるテンプレのあの部屋……ではなく、色とりどりで大きさランダムな謎の渦巻き模様が雑に浮かんでいて目を開けるだけでも目眩がするような場所でした。
「うぇ、ぐぇ、おろろろっろろ」
心の準備なくそんなSANチェック待った無しの場所に放り込まれた音駒は虹色に光る汚いあれをだした。それはもう勢い良くだした。
そしてあれを出し続ける以上、目を閉じることもできず、その苦しみは無限に続く。
明らかに自分の体積以上のキラキラを出したのに止まれない音駒、どうやらここは精神世界なだけあって物理法則が聞かないようだ。
「アヒャヒャヒャヒャひゃ
よう吐くのう」
そしてテンプレの心を読めるお爺さん神(性格以外)が笑いながら登場した。神様の右手がパっ!と光った次の瞬間、周囲は何故か真っ白なシロすぎるテンプレのあの部屋なった。
その後はともかくテンプレの展開が続き。ドジで殺したお詫びでいせてん、なんかすごいスキル、なんかすごい成長率、なんかすごい鑑定とか相手のスキルを奪えたりとか、無限の容量の時間停止つきインベントリとかそういうのを揃えた音駒がなんかもうテンプレの地面から大穴を開けられて落ちてという形で転生を果たすのであった。
流石に最初からステータス無限とかは無理だったが同レベルの者の五倍のステータスを得た俺はもうチートで俺TUEEEEEで約束された勝利の人生を手に入れたようなものだとそれはもう心の中で限界オタクそのものである謎の叫びを繰り返して意識を失う音駒である。
お詫びの相手にあんなひどいことをするわけないだろうに、馬鹿な男である。さっさと死ねという神の隠された心音に気づかない以上、貴方はラノベ主人公ではなく直ぐに死ぬモブです。
目が覚めると何も見えなかった。
(え?なにこれ)と戸惑う音駒
でもすぐに眠気に襲われて為す術もなく彼の意識はまた闇に落ちた。
どうやらこの世界の赤ん坊はテンプレラノベのようになぜか生まれた瞬間から目が見える様な謎生物ではない模様。
さて、その後はテンプレ転生であることに気づいた音駒がテンプレのごとく美人の母に抱えられて、テンプレの如く授乳プレイを下心の満載でこなし、テンプレの羞耻プレイをテンプレて行くだけなので略します。
鑑定スキルとか魔力感知とか魔力操作とかいろいろとテンプレの能力をテンプレが如く試し、テンプレのように何故か誰もそれに突っ込まない(もしくは気づかない)という何やってんのメイドさんと突っ込みたいテンプレイベントの数々をこなすテンプレ主人公音駒改め、オトコ・トアル君。
最早テンプレのゲシュタルト崩壊である。でもこうでも書かないとネット小説三話ぐらいでは済まされない文章を直ぐに死ぬこいつのために書かなければならないし、そしてああ、テンプレだな知ってるから飛ばそう、と飛ばして読まない読者の出来上がりだよ?そんな無駄としか言えない事は流石にしません。
メタい話はさておき、
今、この自分がラノベの主人公だと思い込んでいる異常者はラノベ主人公特有のあの転生したあとの生活を自分でまとめるという読者がある前提の独り言を繰り広げている。流石はファンタジー脳。
でもね、テンプレ内容を全略するスタイルのこの小説で内容を書くわけ無いじゃないか~だから君の心音を読む読者はいない、そして君は自分で最高に狂っている独り言を心の中でする変質者です。
え?書けば変質者ではなくなる?知らんがな~
(そして、体も少しは動けるようになったから今日は筋トレをしようと思う)
お!終わったね~
何が終わった?も、勿論こいつの独り言だよ?(態とらしくフイと目を逸らす)
まあ、タイトルの病気を理解した方ならオチをすでに予想できたでしょうがそれでも一応はオトコくんの頑張り、見守ってあげましょう~
テンプレの小説で書かれた方法を習ってオトコは頑張ってその赤ん坊の手足を無理やり持ち上げては下げ、持ち上げては下げと四肢の筋トレモドキを繰り返す。その際、疲れたら疲労回復の魔法と治療魔法を掛ける。
それらが続くこと一時間、流石は死ぬまで自宅発電した精神の持ち主。
でも赤ん坊バディが持たないせいか、徐々に全身に気怠い感じがしてきた。
(流石に疲れたから後五十回やったら休もう)
そう決めて最後のひと頑張りをするオトコ。
(お前はもう死んでいるーーby作者)
さらには夜になって(どうせ寝るからもうちょっとだけ筋トレしとこう)と頑張ったオトコ。
さて、残り3日の命を1日にまで縮ませるとはこいつ、もしや赤ん坊転生後最速自殺をチャレンジしているのでは?と作者は思う。
次の日の朝、オトコは全身高熱に全身浮腫、心悸亢進などに襲われた。一晩オシッコしてなかった彼におかしく思い、見に来たメイドさんが慌てて医者を呼ぶも、テンプレファンタジーの医療水準では病因がわからず、十一時をもって心機能停止が確認されたオトコ。
幸いこの世界は子供が死ぬのが多く、それに沿った倫理観念ができており、一歳まで死んだ子供は神の元ウンタラカンタラで幸せな来世がウンタラカンタラで兎に角オトコの母は大して悲しむこともなかったとさ。
さて、オトコの死因だが、タイトル通り横紋筋融解症である。ざっくりいうと、筋肉の細胞が死んで中身が血液に出過ぎると毒になって腎臓に負担が掛かり過ぎて腎機能低下になる。治療しないと死ぬ。原因は筋トレとかお薬とか病気とかアレルギーとかいろいろ。他のは無視してもいいが、ここで注意すべきは筋トレだ。
治療魔法は壊した筋肉を治す。でもそれらの残骸は残る。さらには直した筋肉をオトコはまた壊す。
つまりオトコは自分で体内に毒を作っているのだ。
そしてその毒は浄化魔法とかキュアとかであっても治せない。なぜならその筋肉細胞の中身は本来人体に必要のものであり、血液にも最初からあるものである。
それを魔法で正しく取り除こうとする場合、それこそ人類の血液成分を正しく理解する必要がある。だから本来の治療方法は腎臓を薬で保護して自然にそれらを分解させるとか、時には血液の入り替えなどがいる。
勿論、本来ならこの病気で直ぐに死ぬ者は少ない。筋トレして数日後ようやく発症して治療を受けて直ぐに治るものもいる。ちゃんとした治療を受ければ死亡率はそうひどくない。
でもファンタジーの治療魔法のせいで本来ならありえない程の筋肉細胞が死んでいるオトコの場合、数倍の毒に腎臓が持つはずもない。一時間の筋トレのあとにはすでに余命3日、夜の筋トレで更に悪化して余命1日足らずとなった。
転生して赤ん坊から筋トレで成長チート?自殺です。さようなら~オトコくん~君はファンタジー脳を改めるべきだったね~
まあ、実際のところ「ファンタジーの人体は地球と違う」と言い張ればいいだけですがね。
でもさ~こういう作品って人体知識があるから治療魔法がすごいとかそういう設定も多いのよね~だから見ていて突っ込みたい時もあるの。これはそれを元にした作品。
それと、筋トレした事があれば横紋筋融解症に気をつけろと言われた事ぐらいはあると思うので、別に珍しい病気ではないよ。まあ、流石に学校で教わる常識よりは珍しい知識ですがね~
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