第4話 兄(大臣)の魔法
「この世界に満ちる大気よ。鋭利な刃となれ。我が目の前の敵を切り裂かんがため。《氷刃》!」
俺は暗黒竜隊隊長のシュバリエに教えてもらった詠唱で魔法を使ってみている。随分と簡単なもので、俺でも使えている。
「すごいですね。ランクAの魔法ですよ。」
シュバリエの話では、ランクEからランクSまでの6段階でランク付けしているらしい。
ちなみにミラは魔法はランクS、剣では最高ランクの第零階冒険者に相当するらしい。
「ならランクSの魔法も使えそうですね。《終焉をもたらす深淵》とかどうですか?」
「なんだそのヤバそうな魔法は。」
◇
どうやら俺は大臣になったことで、魔法の適正がかなりあがったようだ。そのなかでも、人心掌握系統の魔法がすごいことになっているらしい。
「ミラ、いま侵略してるのはどこだっけ?」
「リザリア王国の最も南東の町、ストフだよ。それで、お兄ちゃんには大臣として領主と話してきてもらうんだ。」
魔王軍の外交官ってところか。こっちが戦争を仕掛ければ、あちらに勝ち目はない。よっぽどふっかけない限りは有益な関係を築けるだろうな。
「領主がむちゃくちゃなやつだったら宣戦布告してきていいからね。」
「出来るなら戦争は避けてくるよ。」