第10話 兄(大臣)は最後の最後でミスをする
「まさかとは思いますけど、国王ともあろうお方が、約束を破ったりはしませんよね?」
国民が元に戻ったからとか言って、約束を破るようなら革命を起こして、俺たちが直接王国を支配する予定だ。つまりは破る破らないに関わらず、俺たちの理想通りになる。
「──ふざけないでください。先の約束は国民が消滅したから結んだもの。今はもう意味がありません。」
やっぱりこの王は愚王だ。俺みたいな平民が考えた作戦も読めない程度じゃ、他の国々にも勝てないぞ。
「なら仕方がありません。ガーゴイル隊、速やかにこいつらを殺せ。」
俺は待機させていたガーゴイル隊に命じて、国王と、貴族を殺させた。
後は国民に革命を伝えればこの作戦は終了だ。
「シュバリエ、拡声魔法を頼む。」
「了解しました。広がれ、広がれ、魔の声を届かせるため。《ボイス》!」
◇
「──国民に告ぐ。我こそは魔王軍の大臣、ミラ・イースである!古き王は倒れ、この国は我々の傘下に入るのだ!」
俺の声には軽めの精神掌握をかけてある。この言葉を聞いたが最後、魔王軍を崇めるようになる。
──地味にえげつない魔法だ。
「ま、魔王軍だと?!」
あれ、効果が見えないな。さらに強めてみるか。
「我々に賛同するものには祝福を与えよう!だが、敵対するというなら、その者たちに死を与えよう!」
「うおおおおおおおお!ミラ様ばんざーい!」
「え、強めすぎた!弱くしないと・・・」
「慌てた声も最高でーす!」
あ、間違えて誘惑の魔法を使ってた。