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残すはたった42キロ。  作者: 高梨恋夢
天才ルーキー達
2/7

通信陸上開幕‼︎

無事県選手権が終わった。恋夢中の結果は下記の通りだ

3000m 志智39秒

1500m 山中28秒、関31秒、西原5分15秒、宮田 隆太〔ミヤデンリュウマ〕37秒、山中兄25秒、志智35秒。

やはり志智先輩は3000mの疲れがあったようだ。


恋夢中、グランド_。

「皆んな昨日はよくやった。1年生は入賞が2人と好成績だったな、この調子で他のやつも頑張れよ」

と平川先生はその後にメニューを言いタバコを吸いに行った。

ジョグをしながら関は考える。今自分より前にいるのは4人、そのうちベストがほぼ変わらないのは幹部と兎田の2人、しかし前回のレース展開を見てみると勝てる要素は無い…

色々と考えている内に今日の練習が終わった。


部室_。

「1年集合〜」

堀川先輩が1年生を呼ぶ。

集まる1年生。

「よし、お前らもう部活にも慣れてきただろう。そこでだこの時期になると…」

堀川先輩の話によると怠ける1年対策として来月にある通信陸上でベストが出なかったものは堀川先輩が言ったものを奢らなければならないらしい。

(この感じ前にもあったよな)

1年生全員がそう思あのであった。


維新補助競技場_。

毎週日曜日は部活が休みだ、そこで関はここでスポ少の頃の仲間と自主練をするのであった。

今日は珍しく松尾 奈似織〔マツオナニオリ〕が来ている。松尾奈は同じ恋夢中だが柔道部だ、身長165㎝、堅いよく生意気な顔だ。

「松尾珍しいな、最近はサボってたのに」

「いや、部活で来れんのんよ」

と仲間にいじられる松尾奈。


そうしている内に練習開始時間になった。

今回の長距離は5人関、松尾奈、阿部 晴海〔アベハルミ〕その他諸々。阿部は1つ下の後輩で最近調子がいい。

「今日は1000m2本行くか」

関がそう言うと松尾は少し嫌な顔をしている。

しかし関は見なかったことにする。いつものことだ、そうやって距離を短くしようとしてくるのだ。


そうして準備にかかる。関は先頭で3分ペースで引っ張ることにそして関、松尾、阿部以外は600mまで行く事になった。

「よーい、はいっ」

関が合図を出し走り出す5人。

関がきちんと3分ペースで走るが阿部が隣に来る。

先輩として格好をつけたい関は負けじとペースを上げる

「速いって」

怒ったような声で言ってくる松尾しかし関はその事に気が付かない。

そのまま上げて行って結局1番目は2分53秒で行った。

『はぁ、はぁ』

「速いっすよ」

そう言ってくるのは阿部だ。途中までついては来られたが700mで落ちていった。

そして少しいや結構怒っているのか松尾が今着いた。松尾はきちんと3分で行ったのだが…

「お、お疲れ。すまんな上げちまった」

「速い、て」

とまぁなんとか松尾の怒りは抑えられたみたいだ。

2本目は阿部も疲れたみたいで3分で行っても遅れてしまった。関は意地で3分で行った。

そうして自主練は思ったほどきつい練習になった。


部室_。

「はっきよーい、のこった」

堀川先輩と惣代が腕相撲をしている。

どうやらベストが出なさそうなので勘弁してくれと惣代が言ったところ腕相撲に勝ったら無しにしてやると堀川先輩が言ったらしい。

当然堀川先輩は力自慢がしたかったのだろう瞬殺で惣代に勝っている、そしてもう一回チャンスを与えてやると言ってた何回も腕相撲をやっている。

「何やってんだか」

河口がそう言う。

(いやいや、お前は関係ないからいいよな)

そう思う関。河口は通信陸上の出場条件を満たしていないので関係ないのだ。


そして6月ももう終わろうと言う時まで来た。部室に向かう関、そして部室の扉を開くと誰もいない。

「あ、期末試験期間中か」


恋夢中、グランド。

通信陸上まで残り2週間となった今日陸上部の雰囲気は2つに分かれていた。そうテストの結果が返ってたのだ。

1年生はそこそこ優秀らしい。男子の平均は420点、まぁ良いと言えるだろう。女子は…知らない。

2年生が結構やばいようだ。とくに宮田先輩はかなり。

3年生は…知らない。


そうして残り2週間に迫った通信陸上だがみんなテストの疲れで気合が入らないおまけに1週間以上走ってないので体力も無くなっている。

どうするか考えている平川先生。そこで考えついたのはこれだ

関たちに凄い圧力がかかる。いや、殺気を感じるまさかと思い全員先生の方を見ると秀子がこっちを見ている。

凄い目だ、まるで蛇が小鳥を食べる時のような感じだ。

「よし、気合入れて行くか」

そう言い今までが嘘くらい気合が入れて走る長距離であった。


試合前日_。

関たちは20分ジョグをした後に各自で合計が1000mになるよう流しをする。

しかしただ1人ジョグを続けている者が、西原先輩だ。

河口と同じく通信陸上に出られないのだ。

そんな西原だがある事を考えていた。





通信陸上、当日_。

県選手権から1ヶ月とちょっとが経った今日だが、関と山中はかなり成長したと実感する。

全員1500mの出場となる。

さらに前回はなかったが今回は予選がある。予選と決勝は日が違うのである程度スピードを出しても大丈夫のだが、この間いつもの自主練に行った時スポ少の先輩にあたる楠本〔クスモト〕コーチから予選の走り方を教えてもらっていた。

そして、関と同じ組みには村上、幹部、兎田、山中がいた。予選から同じ組み。すこし緊張が走る関であった。


予選終了_。

なんとか予選通過できた関。と言っても結果は以下の通り余裕だった。

村上35秒、幹部41秒、関42秒、山中45秒、兎田45秒…

かなり良い感じの予選だったと思う。スタートは突っ込み33秒ほどで入ったがそこからリラックスして行きラスト200mから少しずつ上げて100mで流し程度の感覚で走り少し体を刺激した。

他先輩たちの結果はこれだ

宮田35秒、志智27秒、山中30秒

長距離全体としては宮田先輩以外全員予選を通過した。


2日目_。

今日は何故か西原先輩が関たちのアップに付き合ってくれるらしい。そうして競技場玄関前に来たのだが、

「よし、じゃーアップするか」

西原先輩がそう言う。

山中は西原先輩とやらないと行ってどこかに行ってしまった。

「よしじゃー、ジョグから行くか」

その指示に従い一緒にジョグに行く関。そこに兎田も入ってくる。

「前回は惜しかったな」

兎田が話しかけて来た。

関はそれに対してあぁ、と取り敢えず返事をしておく。

「選手権では俺たち後もうちょっとってとこで負けてしまったけど今回は勝つぞ」

予選でも負けていたので次は勝ちたいところだ。

そうやって兎田と2人で喋っていたのだが

「あれ他に関のと一緒に走ってた奴いたのか」

「背はあれだけど一応先輩だよ」

兎田の問いかけに対し関はそう答えた。

「あ、そうなんだあははは」

「おいこら、なんなんだよお前は」

西原先輩は怒った口調で言う

そしてこれをきっかけに兎田と西原先輩が仲良くなるのはまた後の話だ。


そうして兎田も個人でアップに行って関たちはジョグを終わらせた。

「よし関、ここからが本番だ」

ここで西原が考えていた作戦が始まるのであった。


アップに戻ってきた関、陣地には平川先生がいた。

平川先生はかなり疲れている関のところに来てどうしたのか聞いた。すると関は西原先輩の指示に従ってアップをしたところ1000mを2分50秒で行ったらしい。

西原先輩はみんなに自慢している。

「はぁ、」

平川先生は西原の耳を引っ張り陣地から離れた。

そして平川先生はこう言った。

「心拍数がかなり上がったから大丈夫だろ、気合入れて行ってこい」


1500m決勝、召集_。

予選の結果でそこそこ良かったの何人かいた。

瀧口大化〔タキクチタイカ〕、剛田 公介〔コウダコウスケ〕2人とも高田中と同じ中学だ。

でこの組みのレーンはこんな感じだ

2レーン剛田、4レーン兎田、7レーン関、9レーン幹部、13レーン村上、16レーン山中。

関が気になるのはやはり近くにいる兎田と幹部。

この2人に前を塞がれては厄介だ。

そんな事を関が考えていると

「よぉ、おまえが関だな」

選手権と同じ感じでまたやって来た幹部

「おまえなー」

「頑張ろうぜ」

と言って元の位置に戻った。

(気が狂うぜ)

思わず笑みがこぼれてしまった関であった。


召集が終わりいよいよ中国大会への出場を決める戦いが始まる。

今までにない緊張が走る。

そしてスタート前の音楽がかかる。

《…1年男子1500m走、決勝です》

「オン、ユア、マーク」


会場が静かになる。研ぎ覚まされたこの感覚。関はすーっと息を吸いふぅーっと吐く。

不思議だスタートの号令からピストルの音が鳴るまでがいつもと違って長い。さっきまで兎田たちを警戒していたのが嘘のようだ、今は前に出ることしか頭にない。

スターターが少しピストルを下げた。

それと同時に関は目線を下に向ける、そして目をつぶりピストルの音よりも先に指先が動いた。


パンッ


『わぁー』

会場からの声援が凄い。誰が誰を声援しているかは全くわからないが皆んなが皆んな自分を応援しているかのようだそして俺は今この緊張感と共に新たな道に走り出そうとしているんだ。

関はスタートしてから2秒間そんな事を思っていた。

そしていつも通り先頭に立つ。

200mの通過32秒これもいつも通りだ。

いつも関の少し後ろにいる山中が今回は最初から先頭集団にいる。

200時を通過して少しリラックスをする関。その先に兎田が前に出る。

しかし関は焦らない。このまま兎田について行くことにする。そして1周目

色々な先生たちがストップウォッチを持ってタイムを言っている。

それを聞いて村上が飛び出した。





村上 正弘〔ムラカミマサヒロ〕_。

身長167㎝、ゴボウと言った感じの顔だろうか。彼は兎田、関の因縁の敵である。それは去年の田島陸上小学男子1000mの事だった。


残すはラスト1週。先頭は関、兎田が集団を離して前にいる。残り200mその時、誰が予想していただろうか。兎田を抜き、関を抜きそして2人を置いて前へ進む…


そして今、残す距離は違うもののその時と同じ状況が起きようとしている。

村上は差を開こうとする。それに関、兎田が付いて行こうとする。

大きく深呼吸しながら走る関、少し表情が苦しくなる兎田。2人の想いは同じだ

【2度も同じ負け方をするもんか】

今の関たちの心は頑丈だ。

しかしそんな2人の他に村上について来ているものがいる。それは幹部だ。幹部は今で倒れそうなくらいフラフラで汗の量がすごい。それでも幹部が付いて行く理由は関たちと同じようなものだ。いつも2番手と言われ続ける幹部にとってここで勝つに他ならない。

そして4人は1000mを通過する。

《只今、1000mを通過しました。1000mは…2分52秒》

いつもより早いペースで1000mを通過したがペースが落ちることはない。そのままラスト1週まで来た。村上は上がる。関たちは付いて行くのが精一杯だしかしこいつだけは違った。そう今まで姿をくらましていた山中だ。

山中が関たちを抜かし村上と並ぶ。

残り200mそこで結果がほぼ決まった。

幹部はスタミナ切れにより落ちて行くそして村上までもがペースを落とし関たちに追いつかれている。

山中は独断状態。残り100メートルまで来た。山中は勝利を確信した。そのままのペースで走り残りは50mをきった。40.30.20mゴールまでが早いそしてもう疲れ抔一切感じていない。

目をつぶり思いっきり腕を上げてゴールした。

そして目を開けるすると山中の目の前には関と兎田がいる。

山中は唖然としている。

関たちはラスト120mで村上に追いつきそして関と兎田が競りながらそのままゴールを目指していた。すると山中が目をつぶったラスト5mで2人は山中を追い抜いたのだ。

これで今年の中国大会への切符をつかんだのは関、兎田、山中であった。


表彰_。

1位の関、2位の兎田、3位の山中。

3人は横一列となり表彰台に上がる。決勝の結果は以下の通りだ

関4分23秒大会新 兎田4分23秒大会新 山中4分24秒大会新

村上4分27秒 幹部4分30秒 瀧口4分37秒 剛田4分40秒…

ちなみに2年生は

長尾4分23秒 入間4分24秒 岩崎4分24秒

これを見たら分かる通り1年生と2年生の差がないのだ。

その結果を知った関たちは来年への希望を持った。


恋夢中、グランド_。

今日も秀子の監視の下、短距離長距離は練習をしている。2週間前、通信が終わり先週市の大会が終わって次は中国大会に向けて練習する関と山中。2人は別メニューだ。

今日はショートインターバルをする。

今回中国大会に出るのは短距離が100mと200mそしてリレー、長距離が1500mとなっている。

短距離は女子、長距離は男子と極端に分かれている。

女子の方は元倉 致知・奈々 〔モトクラ チチ・ナナ〕の2人が個人種目として出場する。名前を聞いたの通り2人は双子だ。初めて見た人は2人の区別はつかない。しかし関はそれを初めて見ても分かる区別の方法を見出したのだ。


部室_。

「何だよそれは。」

堀川が大きな声で言ってくる

「それは…」

「えー?何だって」

次は河口が大きな声で言ってきた

(うるせーな、調子乗んなよ)

そう思いながら関は説明する

「実はな、致知と奈々の違いは顎にある‼︎」

先の話によれば致知は顎がスーッとしており奈々は顎がしゃくれていると言う。

これを聞いた皆んなはすぐさま元倉を見る。

顎を意識すれば全く違うとまではいかないが違う。

致知は少し可愛らしさがあるが奈々はどちらかと言うと大人っぽい。いや顎によってゴツく見えるのか…。

これにより来年から新入部員に致知と奈々が分からないと言う奴は居なくなった。


出発前夜_。

明日の支度をする関。

紙に持って行くものをメモして、それに従い荷物を入れて行く。Tシャツ、短パン、帽子、クリーム、スマホ、筆記用具、メモ帳…

支度は1時間くらいかかった。

そして最後にお小遣いを3万円程もらい23時に眠りついた。


翌朝_。

関の準備は満タン。

最終確認をし集合場所の新山口に行く。

集合時間は7時。その30分前に着いた。関は基本くるのが早いタイプだ。どんな試合も女子ほどではないが毎回くるのが早い。


一方山中は急いでカバンを持ち家を出る。

ギリギリ新山口について携帯で時間を見るすると

⦅10%⦆

携帯は確かにそう表示していた。バッテリーもない。

(終わった…)




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