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挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
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5-4 現状を知る。


この酒の席は夜まで続いた。日の挿し込みがなくなり、辺りは緑色の風景になっていた。夜まで飲んでいたのだが、ビビは平気だが、テラスとマリアが完全に沈黙してしまったのだ。ここらでお開きになる。ガストンも樽を2つ空けるまで飲んで、完全に出来上がっていた。


俺がテラスを、ビビはマリアを抱き上げる。ガストンは千鳥足になりながら、家路についた。明日、会う約束をして。


俺達は小屋に戻った。夜なのに、クレが待っていた。


「お帰りなさいませ。」

「ただいま。今日はありがとう。」

「いえ。何かお申し付けはございますか?」

「今日はないかな。ご苦労様。」

「はい。では、また明日の朝、伺わせて頂きます。」

「お休み。」

「おやすみなさいませ。」


クレが帰っていった。レンとイトをしっかりと世話をしたようで、目が穏やかだ。悪いドワーフではないと確信した。明日も任せよう。


「さて、今日はもう寝るか。」

「はい、そうしましょう。」


小屋に入り、そのまま俺達は寝落ちした。





今日も鐘の音で目が覚める。ビビはいない。外で鍛練をしているのだろう。俺も身体を起こし、外に出る。


「おはよう、ビビ。」

「おはようございます。ソーイチ様。」

「さて、今日はやりますか。」

「はい!」


マスクを着用しながら、俺達はいつものように型を始める。ゆっくりと丁寧に。全身全ての筋肉を動かす様に、丹念にやる。


汗が吹き出る。身体が目覚めた証拠だ。次にビビと乱取りを行う。これもゆっくりと丁寧に。ビビの薄着に目を奪われそうになるが、それを振り払い、乱取りに集中する。


ある程度身体を動かしていると、クレがやってきた。


「おはようございます。」

「おはよう。早いな。」

「いえ、遅くなり申し訳ございません。」


深々と礼をするクレ。


「いや、構わない。今日もレンとイトの世話を任せる。」

「はい。畏まりました。」

「食事はとったか?」

「いえ、まだですが。」

「これから食事はだから、クレも一緒に食べよう。」

「い、いえ、そんな訳にはいきません。」

「いいからいいから。」


俺はクレを小屋に招き入れ、一緒に食事を始める。


「「「いただきます。」」」


「さて、大臣がやっている風の道はどうなっているんだ?進展はあったかい?」

「いえ、私にはわかりませんが、難航しているとは聞いております。」

(ドラゴン)は?」

「それも確認中との事です。」


やはりメイドには知らされないか。噂話くらいの信憑性しかない。


「やっぱり行ってみるか。」

「何処へですか?」

「その風の道。あと、吹き抜けの天井かな。」

「き、危険すぎます!」


慌てるクレ。俺の判断に驚くのは仕方ないのかもしれない。


「まあ、大丈夫だろう。龍が出たら逃げればいいし。」

「逃げるのですか?」


ビビさん?龍と対抗しようとしちゃ駄目だよ。


「この空気の悪さはやはり身体に悪いと思う。このままだと、小さい子供や老人に害がでる。なるべく早く解決をした方が良い。」


この国が何を考えているのかはわからないが、このまま見過ごすのは出来ない。


「で、ですが、風の道は大臣が立ち入り禁止にしておりますし。」

「まあ、此方には国王の書簡があるし、現状把握位は出来るんじゃないかな?」


気楽に答える。国王の書簡があるのだ。無視することは出来ない筈だ。


「で、ですが。」

「ま、先ずは行ってみるか。ガストンと会ったら行ってみよう。」

「はーい。」

「わかりました。」

「そうね。私達に出来ること、手伝える事があるかもしれないしね。」

「・・・。」


俺達の行動に無言になるクレ。いや、呆気にとられたのだろう。


「さて、行こうか。レンとイトを任せたよ。」


俺達は食事を済ませ、片付けはクレに任せ、出発した。







ガストンの家に着いた。今回はいたので、中に入る。


「さて、今日は何のようだ?」

「いや、聞きたい事があってな。」


俺は風の道や龍の道の落盤事故や、吹き抜け天井の蓋を聞いてみた。


「風の道を調べるのか?止めとけ止めとけ。大臣の兵隊に追い返されるのがオチだ。」

「だが、進捗位は知っても悪くはないだろう?」

「無理無理。あいつら頑なに道に入れたがらないからな。」

「誰かが行ったのか?」

「俺が行った。仲間を引き連れて。落盤事故の復旧を手伝う、と言ったら、追い返されたよ。兵隊は槍を此方に向けやがったし。」


うーん。なんか怪しい雰囲気になってきたな。


「龍の道は?」

「それも同じさ。大臣の兵隊が固めて誰も通そうとしないんだよ。こちとら、採掘も仕事なのに、それが出来なくなってきてるのさ。」

「難儀だな。」

「それに、空気が悪くなるから、鍛冶も行えない。一刻も早く風の道を復旧してもらいたいんだがな。」

「だから朝から酒を飲んでいたのですね。」


ようやく納得した。回りに煙突があるが、煙が出ていないのは、その為だったか。


やっぱり風の道に行った方が良いんだろうな。


「うん。いいよ。」

「行きましょう。」

「絶対に何かあるわね。その大臣も怪しいわね。」


流石に心を読まれるのは勘弁してもらいたい。


「本当にお前達は風の道に向かうのか?」

「ああ。俺達は国王の書簡もあるし、現状位は見せてくれるだろう。」

「国王様の書簡があるのか?」

「ああ。滞在許可だが、何かあった場合は便利を図ってもらう事になっている。」

「そうなのか?」

「とりあえず、城に行って、許可をもらおう。国王の命令なら、大臣も兵士も無視は出来ないからな。」

「なら、俺も行こう!仲間も集める。少し待っててくれ。」

「なら、酒場で集合しよう。許可が直ぐに下りるとは思わないからな。」

「わかった。酒場で待っている。」

「よし、じゃあ行くか。」


ガストンの家を出て、城に向かった。







城に入り(書簡を見せて門はフリーパス)、客間で待つ。ムキムキの執事に風の道、及び龍の道の侵入許可を伝え、国王から得るためだ。


顔色一つ変えずに、ムキムキの執事は了承し、客間をでる。暫くの待ち。


待ちぼうけを受けていると、急に扉が開く。客間に、複数人の兵隊が入ってきた。

入って来るなり、剣を抜き、槍を向ける。その中央には、恰幅のドワーフがいた。


「貴様等が道の侵入に関与しようとする輩か!」


なんだ!急に出て来てはいきなりだな。


「道はヒトが入るべきではない神聖な場所!それもあまつさえ国王に許可をもらおうとは、なんたる傍若無人の振る舞い!即刻立ち去るがよい!!このまま国から出ていけば見逃してやる!」


更に剣先を突き付けてくる兵士達。俺達を半円に取り囲んだ。


さて、どうするか。


「ビビはテラスとマリアの守りを。マリア、水鉄砲だ。」

「はい。わかりました。」

「やっぱりこうなったか。」


臨戦態勢に入る。此方も屈する気は更々ない。


「抵抗するのか!」

「あんたも良いのかい?一応俺は来賓なんだ。国王様の客になるんだ。その客に刃を向ける意味はわかっているよな。」

「たかがヒトの分際で吠えよる。」

「ヒトをなめると痛い目にあうぞ。」

「構わん。・・・殺せ。」


その言葉で、無数の兵士は、俺に刃を向ける。俺は無限保管から短棍を出し、構える。


兵士は死なせてはいけない。目標は、恰幅のドワーフのみ。


じりじりと間合いを詰める兵士。槍の間合いに入った瞬間に、頭に目掛けて突きが来る。


それをかわして、槍を短棍で叩き弾く。体勢を崩した瞬間に兵士の懐に入り、棍で腹に一突き。


くの時になる兵士。だが、まだ無力化していない。すかさず首後ろに短棍で当て身を入れる。ようやく気絶したので、次からはもう少し強めに当て身を入れる事にする。

ビビもわかっているのか、石突きの方で、兵士を殴っていた。マリアの援護は目潰しくらいしか役にたっていないが、それでもいい。あっちは大丈夫だろう。


俺は二人、三人と兵士を無力化していく。兵士達は鎧を着用しているが意味はない。俺の打撃は直接身体に浸透する。突かれた部分はへこむが関係ないな。


じわりじわりと恰幅のドワーフに近づく。兵士を向けてくるが、それを綺麗に捌いていく。どんどん縮まる距離に、恰幅のドワーフは顔色が青くなる。気がつくと、兵士は残り二人だけになり、この惨状に兵士達は逃げ出した。


「こ、こら、貴様等!」

「さて、どうする?」

「ひっ!」


顔面蒼白の恰幅のドワーフ。抜剣し、刃を向けたので、頭に一撃を加えた。かなりの衝撃に、恰幅のドワーフも気絶してしまった。


さて、吉と出るか凶とでるか。まあ、俺達は悪いことはしていないし、殺しもしていない。メイドは証人になってくれるだろう。俺はムキムキの執事が来るのを待った。



ムキムキの執事に事の顛末を話す。表情を変えずに、他の執事と共に、倒れた恰幅のドワーフや兵士達を片付けていく。


「さて、説明がほしいのだが。」

「私の口からはなんとも。ですが、我等ドワーフ国も一枚岩ではありませんので。」


派閥争いか?何処にいっても、人種が違っても、やることはかわらないのだな。


「これが許可証で御座います。」

「ありがとう。もし、また襲われた場合は排除しても構わないのか?例えば大臣とか。」

「構いません。国王の許可証ですから。」

「それを聞いて安心した。」


俺達は客間を出る。城を出て、待ち合わせの酒場に向かった。ガストンは飲んでいた。


「許可は取った。じゃあ、風の道に向かうとしよう。」

「お、おう。野郎共!行くぞ!」

「「おおー!」」


酒場の客皆が席を立つ。片手につるはしを担ぎ、急に真剣な顔つきになる。

総勢二十名。さながら炭鉱夫のような格好のドワーフが遅い足取りで、風の道の場所に向かった。



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