4-26 男の意地(プライド)
ソーイチ視点です。
エクシリオス教との交渉も終わり、俺はケルト館邸に戻った。
玄関を開けると、テラス、ビビ、マリア、他にもヒルリー婦人やセバスと多数のお迎えに、俺は面を食らった。
「お帰りなさいませ、シュタイナー様、ロイド様、アオバ様。首尾はいかほどでしたか?」
「先ずは、父上に報告が先だ。セバスにも話をするからついてこい。」
「はい、畏まりました。」
「ロイドとアオバ男爵は寛いでいてくれ。父上に報告後、今後の対応を協議する。」
「りょーかい。」
「・・・。」
「アオバ男爵?」
「ん?あ、わかった。」
やばいやばい。考え事してた。
足早にケルト侯爵の元に向かうシュタイナー男爵とセバス。ヒルリー婦人も後を追っていた。
「さて、力を使ったから疲れたよ。少し休ませてもらいますか。」
「そう、だな。」
「どうした?様子が変だぞ?」
「ん、そうか?」
自分ではわからないが、相手にはそう見えるようだ。少し考え事をしているだけなんだがな。
「綺麗な奥様達に癒してもらえば、本調子に戻るだろさ。時間も出来たし君も休みなよ。あ!風呂に入るといい。それがいい。今すぐに準備させよう。」
ロイド男爵が気を使っている?そこまで俺は様子が変なのか?
「ただいま、テラス、ビビ、マリア。」
「おっかえり!」
「お帰りなさいませ。」
「お帰り。ね、大丈夫?」
マリアまで。俺の顔を覗きこんで、様子を伺う。
「なぁ、俺、変か?」
「どうしたの?何かあったの?」
マリアは不安そうな表情になる。
これはいけないな。回りはいいが、女性陣に心配をかけさせている。考え事は一度止めた方がよさそうだ。
「ね、お風呂だって!すぐに行こ!」
テラスに抱き締められながら、風呂の提案をしてきた。
「あぁ、そうだな。あっちの様子も風呂で話そう。」
俺はマリアの頬を撫で、微笑む。
マリアの表情に明るさが出たが、目が少し不安そうにしていた。
「大丈夫だ。心配ない。それにちゃんとあっちの出来事も話すから。」
「なら、良いわ。」
「さ、風呂に行こうか。」
俺達はケルト館邸ご自慢の天然温泉に向かうことにした。
★
サイコーです!さっきまでの俺、馬鹿みたい。
温泉の気持ちよさに、女性陣の柔らかさに包まれ、さっきまでの考えなんてどっかにいなくなってしまったよ。
今回の特等席はテラスになった。右にビビ、左にマリアだ。
今回は密着度が普段より強く、柔らかさが強調され、安らぎと興奮が同時にくるという、何だかわからない感情に戸惑いを通り越し、快楽となっていた。
テンションが上がった事により、マリアの不安は払拭されたようで、今は紅い顔して、身を寄り添わせている。
「それで、どうだったの?」
「ああ、そうだな。」
俺は彼女達の感触を味わいながら、ゆっくりと話を始めた。
「と、まあ、こんな感じで、最大の譲歩をもらったんだが、腑に落ちなくてね。」
「そっか。」
「ん?どうした、マリア?」
「いやね、ヒルリー様が、泣きべそ顔して帰ってくるから、慰めてやれって言っててね、いざ帰ってきたら、あんたは様子がおかしかったから、コテンパンにされたのかと思って。」
「まあ、その解釈で間違いはないな。ただ、ヒルリー様のその予見は凄いな。俺達の敗けがわかってたみたいじゃないか。」
いや、ロイドもシュタイナー男爵もそれはわかっていた節がある。それだけラフレ女史は大物なのだろう。知らなかったのは俺だけだったのかもしれない。
「落ち込んでいる?」
「いや、そうでもないな。ちょっと考え事をしていただけだ。」
「何を?」
「俺はこの世界、ここの主流には本当に無知なんだと改めて感じたよ。チートなんて力があって、調子にのっていたのかもしれないと思ってな。今回は交渉という流れだったからよかったけど、これが命のやり取りに発展する事だったら、ただ逃げる事しか出来ないんだなと思ったわけさ。」
「ん?あんたは強いじゃない?」
「つまりな、腕っぷしだけでは危険だという事さ。最低限の護身の知識しか持っていないのは、今後の危険を避ける事は出来ないんだよ。」
「私にはわからないわ。」
「郷に入っては郷に従えと言うが、その郷を知らないと従えないだろ?勉強不足が祟ったのさ。」
「それって大切?」
「今後の夫婦生活には大切だな。」
「・・・、馬鹿。」
横腹つねらないで下さい。くすぐったい。
「さて、皆から元気ももらったし、今後の事を話し合うか?」
「ねえ、励ましはしなくていいの?」
テラスは俺の顔を覗きながら聞いてきた。
「充分励ましてもらったけど?」
「マリアがね、夜の励まし方を教えてくれるって約束してくれたの。必要ないの?」
なにそれ?
「待って!それは今度ね!やったことないから、ちゃんと練習してからね!って何私言ってるの!」
「ヒルリーがね、夜の励まし方があるって言っててね、マリアがね教えてくれるの。」
ヒルリー女史ぇ・・・。さすがのエロスだな、と言ってやりたい。でも、ちょっと興味あるな。
「では、マリアさん。よろしくお願いします。」
「ばっ、馬鹿!」
風呂から上がり、足早に脱衣所に戻るマリア。耳まで真っ赤にしていたのは見えていた。
流石にからかいすぎたか。反省。
「さ、俺達も上がるか。マリアに謝らないといけないからな。」
「うん、わかった。でも、ソーイチは夜の励ましって知ってるの?」
「知ってるよ。今は落ち込んでないからまた今度な。」
「そっか。ちょっと残念。」
俺も残念です。
脱衣所にはマリアが待っていた。機嫌は治っていたし、お詫びといってはなんだが肌油で肌のケアをしてあげた。勿論、テラスとビビにもだ。吐息が艶かしい。これだけでもやる気が出るってもんだ。客室に戻り、体を休ませる。今日の緊張か疲れか風呂上がりかわからなかったが、急激な睡魔に襲われ、俺はそのまま眠りについてしまっていた。
★
「弛んでいるな・・・。」
怪訝なケルト侯爵。勿論、居眠りをした俺に向けての言葉だ。
「アオバ男爵への言及はさておき、今回はエクシリオス教の方が大事です。今後の方針を決めておきましょう。」
「うむ。」
ロイド男爵のフォローとか、明日は雨か嵐か。いや、そんなわけないな。普通にエクシリオス教の方が重要度が高いだけだろう。
ケルト侯爵の書斎で今回の顛末から、対応協議をする。罰金に謝罪品となかなかに手続きが多い。金貨の罰金は紙一枚と簡単だが、謝罪品はそうはいかない。金貨10枚も結構な額であり、食料品はもとより、雑貨、調度品とお手頃な品であればそこそこに揃えられる。
何が一番喜ばれるか。これが重要だ。
「決めるのはエクシリオス教の奴等じゃ駄目なのか?」
「加害者からの贈り物ほど、嬉しくない物はないだろ?エクシリオス教は謝罪という形をとり、謝罪品は俺達が渡した方が、先方も受け取り易いだろ?」
「ま、確かに。なんかおつかいイベみたいだな。」
「不謹慎だね。」
まずった。間に入るなんてしたことなかったから、つい本音が出てしまった。俺自身の心境の状態が良いから、被害者の心情を忘れてしまっていたようだ。これは反省。
「布、家財、食料品、道具類、あと減税も考えるか?」
「減らした税は誰が払う?」
「エクシリオス教の罰金から賄うのはどうだ?」
「悪くはないな。」
凄いね。簡単に汚職出来る状況なのに、しっかりした政治経済理念をしているじゃないか。君主制だからか?いや、ケルト侯爵の意思なのかもしれないな。
「運搬はどうする?かなりの馬車が必要になるぞ。これも罰金から賄うのか?」
「いやそれは、アオバ男爵の不思議な力で運んでもらうから、気にしなくていいんじゃない?だろ?アオバ男爵。」
「・・・仕方ありません。お任せ下さい。」
無限保管を使うつもりか。これ、性能上げる副産物あるから、あまり下手には使いたくないんだがな。だが、仕方ない。傷を癒す意味でもなるべく良いものを渡した方が、先方の気分も逸れるだろうし。
「アオバ男爵は運搬を任せて、俺とロイドは謝罪品の回収だな。ついでに罰金も受けとるようにするか。ラフレの手腕なら5日もあれば耳を揃えて準備するだろう。」
「んじゃ、ラフレ女史に連絡しますか。アオバ男爵も行くかい?」
「いや、今回は遠慮しよう。」
「ん、そうかい?なら、君は何をするんだい?」
「今回は悠々とさせてもらいたいと思っている。構わないか?」
「良いんじゃないか?しばらくは彼の仕事はないし、羽目さえ外さなければ。」
「良いだろう。許可する。」
つまり、余計な事はするな、という事だ。大人しくしているしかないのか?
「さて、俺は書類作成するからここら辺で。兄上も教団の締め付け任せるよ。」
「相手はラフレ女史だ。そう簡単ではあるまい。やってはみるがな。」
「では、解散。」
簡単に取り決めをして、俺達は各々の目的の為に移動を開始した。
中途半端ですが、今回はここで切ります。次回は未定です。申し訳ないです。




