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挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
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4-12 休養大事

 暑い中、如何御過ごしですか?体調管理にお気をつけ下さい。

 私は暑さで胃をやってしまいました。

 今年の猛暑はなかなかに厄介です。


 本日は1日休みにした。テラスの体調不良が原因だ。女性特有の体調不良や、妊娠を理由と考えたが、違うようで、


「疲れちゃった。」


と、疲労が蓄積されていたようだ。


 この際、今日は休養日にして、1日休みにしてもいいかと思い、各々自由時間にした。ただ、ゼノスの手の者や貴族の策略もあるかもしれないので、俺とテラス、ビビとマリアのペアを組み、行動する事にした。これなら有事にも対応出来るだろう。


 ブライアンが奉公に来たが、本日の休養を話すと、レンとイトの世話をするとの事。レンとイトも喜んでいるし任せよう。空いた時間に青葉流の基礎鍛練の初手を教えてあげた。

 初手の型だが、これで、下半身強化、体幹強化、柔軟性向上する大事な鍛練だ。単調だが続けて欲しい。


「これを続けるか辞めるかは、ブライアンの意思だ。これだけやっても強くはならないが、これをやらなければ、強くはなれない。」

「はい、頑張ります!」


 やる気に満ち溢れるブライアン。約束していた馬達の世話を終わらせた後に、鍛練をするという。頑張ってほしい。





 正直、買い物は済ませた後なので、マリアは出掛ける事はなく、ビビもテラスを看病したいらしく、離れない。つまり、いつもの通りの四人行動だった。まあ、自由行動だ。構いやしないさ。


 俺は、鶏卵、牛乳、黒糖等で、料理を開始した。病気?にはこれだよね。折角造ったのだから活用しないと。

 滑らかさを重視し、液体も裏ごししてからの調理。マリアはすぐにわかったようだが、疑問視する。


「どうやって冷やすの?」

「ああ、これさ。」


 無限保管から冷蔵庫を出す。無限保管に入れていたからか、高性能になったのは言うまでもない。

「れ、冷蔵庫?!」

「冷凍庫も造った。これで、マリアの料理の幅も広がるだろ?」


 震えるマリア。握り拳が怖い。


「おっと、鑑定は無しだぞ。これは俺達の生活を豊かにする道具だからな。」

「そうじゃない!そうじゃなくて!もう、ばか!」

 怒られた。喜ぶと思ったんだが、女心はわからん。


「もう、いいわ!私も手伝う!ビビさんも手伝って。」

「はい、構いませんが、何を作るのですか?」

「美味しいものよ。」


 にやけるマリア。流石に女子なのか、手際よく作り始めた。


「あんたはテラスちゃんの看病。それが一番の薬になるから。」

「ん、わかった。ここは任せる。」


 調理をマリアとビビに任せ、テラスの所に向かう。ベットルームだ。


 テラスは横になっている。俺に気付き、笑顔をみせる。


「大丈夫か?」

「ソーイチ。」


 両手を広げ、抱擁を求めるテラス。優しく抱擁すると、また眠りについた。抱擁のまま寝かせる。


 テラスの体調不良に病院とも考えたが、危険と判断した。単なる勘だが、ヒトではないテラスを病院へは、連れていきたくなかった。だから、必ず俺達が治さなければいけない。


 以前、ヴェルケスでも同じような事があった。少し休んだだけで回復したし、同じような症状だったので、介抱だけで回復すると判断した。


 一緒に横になり、テラスと添い寝する。寝ているのに離さないテラス。抱き枕になった気分だ。


 髪をいじり、頬をくすぐり、額にキスをする。


 回復を祈り、優しく抱擁をする。柔らかさが伝わる。良い香りが鼻をくすぐる。瞼を閉じ、意識をテラスに向ける。


 早く回復して欲しい。それだけだ。



 感覚が替わる。テラスを感じない。柔らかさ、温もり、香り。瞼を開けると、



 白の世界にいた。目の前に白テラスが微笑んでいる。





「感情があるんだな。」

「テラスが教えてくれました。」


 繋がりの事か?まあ、いい。


「今回は何の用だ?テラスを看病したいから手短にしてくれ。」

「はい、テラスの体調不良ですが、力の使いすぎを伝えたく思いました。」

「ん?力の使いすぎ?」


 テラスは力を使っていた?常時が?それとも、気付かない内にか?


「テラスの力は常時使われておりますが、ソーイチが側にいるおかげで、回復が間に合ってました。ですが、今回はソーイチの回復量を超える力を使ってしまったのです。」


 成る程。俺が回復元になっていたのもわかった。でも、どうやって?


「愛情です。気持ちや行動で、心の満ちたりが回復を促します。」


 つまり?


「ヒトには固有の愛情表現や行動があると思いますが?」


 確かに。つまり、テラスは回復も含めて、求めてきていたのか?


「ソーイチの極彩色の蓮から力を分けてもらうには必要な行為ですから。」

「もし、力を使いきったら?」

「消滅する可能性があります。」


 なら、問題ない。テラスに気持ちはあるのはわかっている。必要な行為ともなった。今更テラスを亡くす気は無い。


「ありがとうございます。」


 微笑む白テラス。


「なら、ビビの器回復も俺の蓮が使われたのか?」

「はい。」


 そうか。今更だが安堵が込み上げてくる。蓮の力は創造。修理修復もお手の物か。


 折角だ、色々聞くか。


「エクシリオスという神はいるか?」

「おりません。思念体ならあると思われます。」


「この虹石はわかるか?」

「魂の結晶体ですね。何に使われているかはわかりません。」


 わからない事もあるんだな。


「私はこの場とテラスの知覚からの情報しかありませんので。」


 この場は、白の世界か?それとも?藪をつつきたくなる。


「まあ、いいや。さて、テラスが心配だ。戻っていいか?」

「はい、また会いましょう。ソーイチ。」


 一抹の違和感を抱えながら踵を返す。視界がぼやけていく。白から黒へと徐々に変化する。柔らかい感触、良い香り、温もりの伝わりが戻ってくる。


 瞼を開く。テラスは先に瞼を開け起きていた。


「おはよ。」

「ん、おはよう。」


 キスをする。少し長めに、絡み付くように、唇を離すと糸をひいた。


「うれしい。」

「これからもいっぱいするから。」

「うん!」


 胸のなかではしゃぐテラス。頭を撫で慈しむ。



「ちょっと?」

「あ、マリア。おはよ。」

「おはようございます、テラス様。」


 ビビとマリアもきたようだ。


「あんたは病人に何をしてんのよ!」

「ん~、治療?」

「ばか!安静させなさいよ!」


 確かにその反応は当たり前だ。顔を真っ赤にしたマリアは怒りと羞恥が混ざったような複雑な表情だ。


 とりあえず、体を起こす。あれ、半裸になってる。いつの間に。だからマリアは怒ったんだな。納得した。


 さてと、


「出来たのか?」

「もう、服着なさい!ちゃんと出来たわよ。」

「なに?なにか作ったの?」

「テラスが好きになるものだよ。」


 マリアの作ったソレを持ってきた。


 少し色が茶色が強いが、黒糖の色だろう。グラスを器にソレがはいっている。

 テラスが手に取り、スプーンで掬って食べる。


「ん!美味しい!」


 プリンだ。


「こ、これは!」

「この世界でプリンが食べられると思ってなかった!」

「上手いな。」


 とろける甘さ。滑らかな食感。間違いなくプリン。甘い食べ物は元気になる。


「美味しいね、ソーイチ!」

「そうだな。」


 満面の笑みを浮かべ、プリンを頬張るテラス。元気になったようで何よりだ。


 あまりの美味しさに、空のグラスを見つめるテラス。なくなってしまったのが淋しいようだ。


「そうなると思って、テラスちゃんにはもう一個あるわ。」


 マリア、グッジョブ!渡されたプリンを喜び受けとるテラスは、今度はゆっくり味わいながら食べている。


 食べ物は人を、生き物を元気にする。腹を満たす、心を満たす。生きる糧となる。


「マリア、また作ってくれる?」

「当然よ。テラスちゃんが元気になるなら、また作るわ。だから、ちゃんと治すのよ。」

「わかった!ソーイチにいっぱい甘えるね!」

「?なんで、ソーイチさんが出てくるの?」

「説明させてくれ。」


 俺は白の世界の白テラスの話をする。俺の蓮の力でテラスが生きている事を。定期的に補充が必要な事を話す。ビビの器回復も忘れない。


「なんか、納得したわ。」


 呆れた顔したマリア。そろそろ俺のチートになれていただきたい。


「今日はね、みんなで一緒にいるの。私、元気になるね。」


 テラスの笑みが、マリアを微笑ませる。ビビは吊られて微笑んでいた。


 そう、俺達は一緒にいるからこその幸せをもらっている。当たり前の事ではなく、努力を忘れずに精進する事が大事だ。だからこそ、俺は考えなければならない。今の事を、今後の事を。



 夕食、お風呂、と終わり、夜の時間も行った。翼竜の件もあり、自重していたが、久し振りに感じる柔肌に愛おしさを感じずにはいられなかった。






 自室の工房で、俺は造る。


 今後の為に。来るべき驚異の備えの為に。


 マリアには怒られるだろう。だが、必要と感じた。


 手にする紫水晶。これを使う。


 作業は朝焼けまで続けた。


 完成間際だが、続きは明日にしよう。


 俺はベットルームに戻り、多少の仮眠をとることにした。



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