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挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
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2-3 村人の歓迎


 現在、この村ではささやかながら宴が行われている。

 主賓は俺達だ。


 巨大熊撃退の勇者様と回復師様が村の危機を救ってくれた!と崇められていた。


 正直、歓迎はかまわないが、崇めるのは止めてほしい。




 巨大熊の撃退後に、村の村長が状況を把握の為、周りに色々聞いていた。


 俺達の来訪、若者の傷の手当て、巨大熊の襲撃と撃退を話す。

 ただ、周りには俺が魔法で巨大熊の頭を飛ばしたように見えたみたいだ。

 正直、石を投げただけ、とは言えない状況になってしまったので、そのままにした。


 少し落ち着いた俺は、巨大熊を村に贈与と、しばらくで良いから体を休ませる為に滞在を、とお願いしたら、恐縮され、逆に歓迎された。







 村の女衆が、巨大熊のモツ鍋を全員に振る舞っている。久々の贅沢なのだろう。その光景は、村人全てが笑顔でモツ鍋を掻きこんでいた。子供達が、お腹を真ん丸になるまで食べていたのは、微笑ましかった。


「こんな活気は久しぶりです。村の長として感謝いたします。」


 俺の隣には、村長がいる。歳は40代位で体格の良い男性だ。


「いえいえ、此方こそ、こんなに歓迎していただいて、恐縮します。」

「何をいっておりますか。勇者様がいていただかなかったら、村は全滅しておりました。本当に感謝しております。」

 村長は頭を下げ、感謝の意を表していた。


 俺は少し複雑な気持ちになった。


「頭を上げてください。滞在や貴重な食料の他にも、衣料品や雑貨も提供して頂いたのです。私達は十分感謝を頂きました。」


 モツ鍋の準備の間に、テラスの衣服や下着や靴を分けてもらった。ワンピースに太めの腰布、裾は少し短めだった。少し小さめかラインがわかる。ノーブラがけしからん。それに外套も頂いた。

 因みに、テラスの食事は干し果物を食べていた。モツの臭いが駄目らしい。うん、熊はクセがあるよね。


「いやいや、この程度、大した事ではありません。滞在中に必要な事がありましたら、私に何でも言って下さい。」

「あ、はい、ありがとうございます。」


 村も大変なのに、義理難い人なんだな。


「滞在中は私の家の客間をご利用下さい。多少狭いですが、寝る分には十分ですので。」

「何から何まで、ありがとうございます。助かります。」

俺が頭を下げると、村長は慌ててしまった。







 宴もたけなわ、俺達は御暇させてもらった。


 今は、客間にいる。


 そう、テラスと二人きりだ。



 だが、甘い空気ではない。

 テラスは、怯えている。

 俺の雰囲気を感じとったのだろう。


「さて、テラス。話せる事は全部話して欲しい。」


 俺の言葉に、テラスはビクつく。


「俺の事、テラスの事、この世界の事、色々疑問がある。話せる部分で良いから、話して欲しい。」



 そう、この世界に来てから、違和感があった。


 俺自身、巨大熊退治の時のあの力、精神面の変化、あと、若返りだ。俺は20歳位に若返っていた。また、この世界に来たときや、巨大熊の時に恐怖心が薄れている事を挙げた。


 テラスに関しては、読心が出来なくなっている事、白い世界のテラスとは性格や言動が違う所だ。


 この世界の違和感は、あえて言わなかった。テラスの表情が青ざめていたからだ。



 無言が続く。



 暫く様子を見たが、テラスはプルプルと震えるばかりで、何も話してはくれなかった。



 これでは質問ではなく、尋問だ。


 俺は深く息を吐き出し、

「怯えさせて悪かった。これからの生活の為と思っていたが、俺は焦っていたようだ。」

 俺は頭を下げる。



テラスは左目に涙をためながら、俺を見る。


「今日はもう寝よう。これからの事もあるし、ゆっくり休んで、それから話し合おう。」

 俺は笑顔でテラスにそう告げ


「おやすみなさい。」

 と言って、ベットに寝転がった。


「おやすみなさい。」

 テラスのか弱い声を聞いて安心したのか、すぐに寝落ちした。






 白い世界に立っていた。


 テラスもいる。


 俺は溜め息を出してしまった。


「説明してくれるんだな?」


 俺がそう言うと、


「はい。」


 白い世界のテラスは答えてくれた。



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