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挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
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3-1 新たな場所へ

日の出に合わせ、クコ村を出発する。村の入り口には村人が全員で出迎えてくれた。沢山の感謝をもらい、再開を約束する。


子供達らは泣きそうな顔をしながら、お手製の御守りを頂く。俺には木彫りの小さな剣を、テラスには花の冠を、ビビには木彫りの小さな槍だった。大人から道具を借り、急いで作ったようだ。出来不出来ではない、その心が嬉しい。大事にしよう。

村からは、荷車に積まれた大量の餞別を頂く事になった。小麦、藁、黒糖、布、干し果物等々。村の貴重な物ばかりとはじめは断ったが、受け取らなければ、村からは出さない!と村長婦人の言葉と村人の笑顔に負けてしまった。餞別を見て思考するが、不粋と気付いて止める。これが村人の気持ちなのだ。ありがとうございます、ありがたく使います。


荷車を引こうとすると、ビビに止められ、交代させられた。何故?と聞くと、

「私の役目です。」

との事だ。釈然としないが、任せる事にした。

テラスは痛みの為、荷車に乗せる。無理に歩かせる必要はない。藁がクッションになるだろう。テラスは生藁の匂いを嗅いでいる。喜んでいるようで何よりだ。因みに俺は徒歩だ。ビビは乗って欲しそうだったが、遠慮させてもらおう。


村人に別れと、再開を約束し村を後にする。子供達の大きな声が響く。大きく手を降り、俺達は東に進路をとった。







街道にでる。そのまま村が見えなく所まで歩き、荷車を1度無限保管に入れ、荷車、生藁だけを出す。荷車は丈夫になった。生藁は新鮮になったので、逆効果かもしれないが、しょうがない。クッションは必要だ。


ここでルートを考える。

北東のグレリオ市を経由して、そこから南のケルト市に向かうルート。

直で東に向かい、ケルト市に向かうルートだ。


街道ある安全な道のりだが、時間がかかる前者。

街道なく危険かもしれないが、時間が短縮される後者だ。


因みに、ビビは後者ルートでクコ村に来ている。15日間サバイバルとか、強者だ。


チートを満遍なく発揮して、一気に行くのもあるが、風情がないのでしない。折角の異世界なんだし、風景位は楽しみたい。


安全第一。前者にしよう。


前者ならば、たとえ野盗が襲ってきても、一蹴出来るだろう。食、住は充分だ。時間もあるし、ゆっくり行こう。だが、グレリオ市には入らない。たとえ他領の農奴であろうが、見棄てる行為があったのだ。グレリオ市の都合もあるだろうが、行く気にはなれない。用事が無い限りは入る事もない。途中で方向を変えてケルト市に向かおう。



気温、湿度、共に良好。天気も良い。

風の感触と共に草木の香りを伝える。

薄い水色から青になる空、緑の草木、草原、固められた土路の街道。

殺風景と言う人もいるだろう。だが、自然が生い茂るこの世界は、とても素晴らしく、清々しく、気持ちいい。


前の世界と変わらないな。


俺はそのように感じてしまった。

俺の住んでいた町は田舎で自然に溢れていた。道路はアスファルトだが、風景は似ている。出発して数刻、俺は緊張感なく、街道を歩いていた。







日も落ちてきたので、小屋を出す場所を探す。

平坦で目立たない場所だ。

場所を見つけ、火を焚き、食事の準備をする。

「すごいね♪楽しいね♪いっぱい色々な色や香りがあるんだね!」

テラスは笑顔ではしゃぐ。

確かに、自然豊かな風景には圧倒された。

「そうだな。」

俺はテラスの頭を軽く撫でる。

無限保管から溜め込んだ獣を一頭出し、捌いて、焼く。

調理器具が欲しい。

そう、鍋やフライパンが欲しいのだ。


丸焼きとかばかり食べているからか、バリエーションが少ない。もう少し充実させたい欲求がでる。


ケルト市で揃えるか。その為にも、


焼きをビビに任せ、俺は木材で半月櫛を造る。道具は造ってある。


焼けるまでに数個造れるのはチートだが、道具があると捗るのだから仕方ない。櫛なら大丈夫だろうと、無限保管にしまい、食事にする。


今更だが、ビビはよく食べる。

これから旅も続くし、体力は万全にしないとな。

食糧は充分あるが、森を見つけたら、狩りも考えよう。


頂いた干し果物を分け食べる。


口直しだが、甘さが疲れを癒してくれる。久々の果物の味が体に染みる。食事バランスもなんとかせねば。


まだまだ、頑張らなくては。


そう考えていると、テラスが寄り添ってくる。

「おいしいね♪」

「そうだな。」

笑顔のテラスに、笑顔で返す。ビビも微笑みながら、干し果物を味わっていた。



夜番は俺が先で、後半がビビにした。

ビビからは、全部自分がと言ってきたが、それは却下だ。しっかり寝て回復して欲しい。


風呂を焚き、二人に入ってもらう。疲れをとってもらいたい。テラスは俺と入れず落胆していた。今入って夜番は風邪を引くと言ったから、納得はしてくれた。もらった布を渡し、湯上がりに使ってもらった。


俺は夜番の間に、別な物を造ろうと考えた。



木材を細長い板状の物を用意し、ほぼ円状にゆっくり曲げる。固定の為に、枝豆の蔓の網の一部を使った。無限保管に入れ、出し、ほどく。軽く砥石で研磨して、

カチューシャ

造ってみた。


本来なら、粘りを出すために、多少の時間がかかるのだが、無限保管は有能だ。しっかりとクセが着いた。柄は木目だけのシンプルな形だが、今はこれで良しとしよう。

また、旅路の間に、スプーンやフォーク、皿、お玉とか、器具を造ろうかと思う。


カチューシャだが、少し多めに造り、テラスとビビにあげる事にした。顔を洗うときにでも使ってもらおう。




夜も更ける。焚き火の側で物を造り、思う。




平和だ。




物造りの時間を楽しみながら、俺はゆっくりと手を動かしていた。




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