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挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
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2-10 クコ村の武器 後編


 俺は、クコ村長と話し合いをしている。会議といっても良い。議題は村を守る為には?だ。


 沢山の質問を村長に問う。


 要点を纏める。


 村人がダグ市から逃げた場所。

 クコ村の東にある「グレリオ市」

 そこを納めるグレリオ男爵に、ロレウス府への亡命を嘆願。それは受理されず、ロレウス公爵の命で今のクコ村の場所を貰う。


 では、ロレウス公爵には会ったのか?

 会っていない。


 無税と自衛は?

 ロレウス公爵の命


 村の規模の指定は?

 何も言っていない。


 グレリオ市に入ったか?グレリオ男爵には会ったか?

 入れたのはクコ村長だけ。しかも、村を貰うときの1度だけ。その時に、グレリオ男爵に会ったらしい。


 これらで考えられる事


 クコ村の人達は棄てられた。グレリオ男爵によって。多分、ロレウス公爵はこの事を知らないだろう。


 グレリオ男爵も要注意決定だ。


 ダグ男爵からの暴力による妨害は?

 村人全員で対抗した。被害はあったが、事前の準備と決死の覚悟が相手にも損害を与えたようだ。


 他領での略奪行為となるからな。貴族権威は有効にならないだろう。ダク男爵も、上位のロレウス公爵とやり合う事は避けるだろう。


 王国軍による食糧徴収は?

 ダグ男爵の遣いと騎士風が一人、5人程の大男が来た。紙を拡げ、声を挙げたとか。


 確かに、王国軍なら逆らえない。本当に王国軍なら、だ。


 文字が読める者はいるか?

 いない。全員農奴で、文字の勉強はしていない。


 うん、ダグ男爵の策略だな。王国軍は嘘と考えて良いだろう。


 ドズワン帝国との戦争は?

 長年多少のいざこざはある。大規模戦争は起きてないが、徴兵は度々あるらしい。農奴は徴兵されない。


 つまり、正規兵は徴兵されていると考えて良いな。こちらとしては助かる。


 ダグ市からの難民はあるのか?

 最近はない。


 これは偵察が必要だが、砦か関所があるな。


 ロレウス府までの距離は?

 わからない。かなり遠いと考えられる。


 つまり、わからない。だ。



 周辺地域はこんなものか?


 次は村の事か。


 畑で栽培している作物全て。

 小麦、大麦、キャベツ、ブドウ。


 悪くはないな。しかし、よく栽培出来たものだ。


 肥料はあるか?腐葉土とか、腐葉土の榁とか?

 腐葉土はある。だが、製法が違う。発酵がない。


 聴いたことのある調味料。

 塩、樹蜜


 少な!いや、調味料は贅沢品か。


 酒は?

 飲んだ事がない。ワインは市民が飲んでいるらしいが。


 農奴だからか。辛い生活だ。



 空いている家、若しくは厩舎はあるか?

 畑の近くに、家が一棟、厩舎らしきものもある。


 よし、利用しよう。



 収穫まであと二月、何が?

 小麦。その一月後に大麦。


 微妙。ロレウス府までの距離次第か。



 よし!現状把握はこんなものか。


「村長の話を聞きまして、俺が感じた事を話します。」

 ロレウス公爵はクコ村を知らない。

 グレリオ男爵の独断と考えられる。

 ダグ男爵は収穫時期にまた簒奪する。

 王国軍はダグ男爵の策略、本物ではない。


「そこで、この村が生き残る為には?」

 ロレウス公爵の認知は絶体。

 グレリオ男爵には頼らない。

 クコ村を守る必要性を作る。


「が、あれば良いと思います。」

「絶望的ではないですか?」


 表情を暗くする村長。婦人もカタカタと震えている。


「村長、畑の近くの空き家に案内していただけませんか?あと、予備の鉄鍋ありますか?」

「は、はい。」







 空き家は充分な空間がある。囲炉裏があるのは幸運だ。厩舎は隣接していた。

 空き家を作業場に、厩舎は物置にしよう。


さて、

「これから行う事は秘密です。村の方は元より、貴族にも秘匿とします。良いですね?」


 皆の了承を得る。


 無限保管から「白い巨石」と「万力絞り機」と「枝の様な物」を出す。枝は結構ある。村長に存在を確認したが、見るのも初めてのようだ。


「今からあるものを作ります。しっかり覚えて下さい。」


 白い巨石の欠片を砕き、粉にする。これは鉄鍋を使って粉にした。水で溶かす。白い水が出来た。

 万力絞りを使い、枝から樹液を出す。かなりの量だ。少しの本数で、受け皿が一杯になったので、鉄鍋に移す。

 囲炉裏に火を着け、鉄鍋を置く。

 混ぜながらゆっくり樹液の水分をとばす。黒くなり、粘りがでできた。

 白い水を入れ、よくかき混ぜる。

 火から離し、よくかき混ぜる。

 その液体は、黒い粉の固まりになった。


完成。



 皆がキョトンとしてるので、欠片を渡し、舐めさせた。

「っ!」

「美味しい!」

「えっえっ?」

「これは!?」


「黒糖」だ。


 枝は、サトウキビの様な物だ。見た目は違うが、樹皮の並びが、妙に似ていた。舐めてみて、これを思い付いた。

 黒糖は、サトウキビと石灰水で出来る。ぶっつけで作ったが、成功して良かった。


「あの、これは?」

「これを、村の武器にします。直接ロレウス公爵に持って行き、認知と爵位ある方の統治をお願いするのです。」

「えっ?」

「大事な黒糖の製法は、この村の極々一部だけに伝え、貴族との交渉材料にするのです。交渉は命懸けになるでしょう。ですので、村長と婦人のみに伝えました。」

「確かに、これは凄い物です。先程の秘匿の意味、よくわかります。」


 村長は婦人と興奮を抑えられていない。


「次があります。外に出ましょう。」

「まだあるのですか!?」

「はい、畑の養分を作る榁です。」


 作業場から出る。テラスさんは出ないので、抱える事にした。



 ビビに、荷車を用意してもらい、山の土と村の腐葉土を持ってきてもらう。

 臭いがあるので、居住区から離れた畑の隣接地に、榁を造る。まあ、無限保管から出した小屋なんだけどね。床を取り除き、土と腐葉土と樹豚の血を少しだけ混ぜ、撹拌する。

 樹豚は生い茂る場所、サトウエダの近くにいた。 つまり、糞や骨、血は土の栄養になるはずだ。

 火を焚き、小屋内を温める。以上。

「これで発酵が進み、元気な土が出来ます。案配は任せます。」

「お任せ下さい。土には自信があります。この様な工夫があるとは、驚きです。」


 村長は嬉しそうだ。


「土が完成しましたら、サトウエダの作付をしましょう。穂先と根元があれば育つと思います。水分管理に注意をして下さい。」

「何から何まで、ありがとうございます。なんとお礼を言えばいいか。」

「いえ、ロレウス公爵との交渉があります。村長は私と交渉の練習をしましょう。」

「そ、そうですね。」


 さて、シゴクか!



 夜半まで続くシゴキは村長を涙目にさせた。



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