6-10 ガウスでの買い物
マリアが完全回復したので、当初予定していた情報収集に乗り出した。
この街、ガウスの東はウィズ大森林であり、とてつもなく大きな森林が広がっている。次の街に向かうには、この大森林を抜けなければならない。その為にも、情報は必要になる。ただ入っただけなら、遭難してしまうだろう。それは避けたい。まあ、俺だけなら、空を飛び抜ける事は可能だが、レンとイトもいるし、それは避けたい。
さて、情報収集の為に、冒険者ギルドに向かう。
この街にある大きな建物。ここが冒険者ギルドだ。朝だというのに、活気がある。
冒険者ギルドでは、様々な情報が飛び交ううってつけの場所だ。酒場とは違い、街の外の情報も得やすい。
「おはようございます。ご用件は何でしょうか?」
受付嬢が接待する。俺はウィズ大森林の先の街に聞いてみる。
「ガウスの街と公益のある街はないでしょうか?」
「ドワーフの国が主ですね。他には、ウッドバーグがございます。」
「それは何処にありますか?」
「ウッドバーグは森林の中、北東にございます。森林を抜ける中継地点のような街になっております。」
「中継地点、ということは、その先にも街が?」
「はい。ブルガンですね。大きな街で、公益を行っています。」
「そうですか。ありがとうございます。」
俺が礼をすると、受付嬢が質問してきた。
「あの、ウィズ大森林に入られるのですか?」
「はい、そうですが?」
「失礼ですが、ランクをお聞かせ頂いてもよろしいですか?」
「はい、Eランクですが。」
「そうですか。」
何故か落胆する受付嬢。俺達がEランクであるのが気に入らないみたいだ。
「Eランクでしたら、ウィズ大森林に入ることはオススメ出来ません。魔物や魔獣が多く生息しておりますし、何より危険です。」
「忠告、ありがとうございます。ですが、大丈夫です。彼女がいますから。」
と言って、ビビを見る。ビビはウィズ大森林の出身だ。彼女のサポートがあれば、森林を抜ける事は出来るだろう。というアピールをする。
「たかだかEランクで・・・。」
「何か言いましたか?」
「いえ!忠告は致しました。命の保証もありません。」
「はい、お気遣いありがとうございました。」
受付を離れる。
「おいおい、Eランクごときが、森を抜ける。とほざいたぞ!」
「狼人はわかるが、残りはヒトだぞ。魔獣の餌になる気だな。」
「やだねー、自分達を過大評価する奴等は。」
「良い女達だな。げへへ。」
さて、うるさい外野は放っておこう。買い物があるから、ギルドを出ようとした。
「ちょっと待ちな。あんたら森に入るんだろ?だったら護衛をつけないか?」
見ると、ヒトの冒険者が俺達に話をかけてきた。いや、その後ろには数名の男達もいる。パーティーか何かだろう。
「いや、結構だ。用事があるから失礼するよ。」
「おいおい、こちらは善意で話をしてんだぞ。」
「余計なお世話だ。」
睨むヒトの冒険者。威圧をしているつもりだろうか。
「ここでの私闘は現金ですよ!」
受付嬢が叫ぶ。
「私闘?俺達は善意だっていってんだろ?なあ、そうだよな?」
回りを見て、下品に笑う。不愉快で仕方ない。
「いらんお世話だ。そこを通せ。」
「んだと!てめえ!」
「邪魔だ!」
俺はヒトの冒険者もろとも、後ろの男共にも威圧をかける。殺気を向けた。
その殺気に当てられたのか、男共は身がすくむ。一歩踏み出すと、腰を抜かし、道を作った。
「ひ、ひぃ!!」
男共は、俺達から離れた。いまだに恐怖は抜けていないようで、こちらを恐怖の対象として見ていた。
俺は無言でギルドを後にする。
「だらしねえな!たかだかEランクに睨まれたくらいで。」
「ば!馬鹿野郎!あんなんEランクな訳がないだろうが!」
「おいおい。頭大丈夫か?」
「あの目、相当な修羅場を潜っている。俺にはわかる。関わったらどうなるか、考えたくねえ!」
「ま、まさかー。」
「ほ、本当か?」
ギルド内は騒然とした。
★
「やり過ぎたか?」
俺は反省をするが、それは意味がなかった。
「あんな奴等には良い薬よ。」
「はい、命があるだけマシです。」
と口々に話す。マリアの言葉にビビも便乗した。
「さて、買い物するか。」
「はーい。」
俺達は露店に向かった。
露店で、様々な道具や食糧を多めに買う。お金はまだまだあるので、気兼ねなく買う。お酒も買った。たまには飲む為だ。
「飲み過ぎは厳禁!」
マリアの一言にワインの酒樽一つだけにした。
さて、買い物も終了したので、レンとイトを迎えに行く。
「おお!アオバ男爵様。今日はどのようなご用件ですか?」
「そろそろこの街を出るからな。馬達を迎えに来た。」
「そ、そうでしたか!」
心なしか安堵するディル士爵。厩舎に案内され、レンとイトを迎えに行く。
「いいこにしてた?レン、イト。」
テラスがレンとイトに挨拶をする。テラスを見るなり、喜びを表すレンとイト。
ちゃんと世話をしていたのだろう。レンとイトは元気だった。
「とても良い馬達でした。別れるのが寂しいです。」
と、世話をしていたのだろうメイドが、レンとイトを見て涙ぐむ。
レンとイトも優しい目でメイドを見る。感謝を表しているようだ。
「世話になった。」
「はい!旅の安全を祈願致します。」
俺達はレンとイトを連れて、小屋へと戻った。
久しぶりに全員が揃う。レンとイトにはいつも留守番ばかりで申し訳なく思っていたが、レンとイトはそれでも俺達を主にしているようだ。
テラスが甲斐甲斐しくレンとイトの世話を始めた。俺も付き合う。マリアとビビは食事の準備だ。
小屋で、明日からの事を決める。先ずはウィズ大森林に入り、ウッドバーグに向かう。途中に、ビビの故郷があるみたいなので、挨拶に行っても良いだろう。
「何故、立ち寄るのですか?」
ビビの疑問に、
「ビビの心が晴れる為、かな。」
俺が答える。
故郷にトラウマがあるビビ。その凝りを取り除く為に寄り道をしても良いだろう。
「さて、明日は早いからな。早く寝るか。」
「だめ!」
「はい、寝かせません。」
「旅を始めたら、お預けだものね。わ、私は我慢出来るけどね!」
三人が詰め寄る。
「あ、はい。」
俺は三人の勢いに流された。
★
朝は早い。日の出と共に身体を起こす。ビビと朝の鍛練をして、身体の活性化を図る。マリアも水鉄砲の練習は欠かさない。
風呂に入り、汗を流す。朝食を頂き、腹を満たす。
小屋を無限保管に入れる。レンとイトは馬車の荷台を取り付ける。二頭とも元気だ。やる気を見せている。
厩舎を無限保管に入れ、準備万端だ。
「さあ、行こうか。」
「はーい。」
「では、参りましょう。」
「しゅっぱーつ!」
俺達は迷宮都市ガウスを出街した。
ガウス編は終了です。楽しめましたでしょうか?
時間をいただきまして、次の話を書かせて頂きますので、しばらくお待ち下さい。




