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挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
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6-5 ガウス迷宮その3


朝になり、迷宮に入る為の準備を整える。無限保管に入れるだけだから、簡単にそれは終わる。


「今日は捜索がメインだから、時間がかかるかもしれない。時間はあるし、ゆっくりと探索しよう。」

「はーい。」

「わかりました。」

「そうね。やりましょう。」


マリアが珍しく意気込んでいる。銃の扱いに慣れたのか、戦闘になれたのか、それは定かではないが、良い傾向だ。


無限保管に小屋を入れて出発する。今日は朝早くの出発だ。

朝早くだからか、人通りはまばらだ。冒険者の姿も少ない。これならば、迷宮にすぐ入れるだろう。


迷宮入口。少ない行列の最後尾に並ぶ。


順番はすぐにきた。


「おはよう。」

「おはようございます。」


昨日と違う衛兵と挨拶をする。冒険者カードを見せる。


「君達か?昨日の1日でランクアップを果たしたパーティーは?衛兵の間でも噂になっていたぞ。」

「そうですか。昨日は頑張りましたから。」

「今日も収穫期待しているぞ。」

「はい。」


衛兵に背中を軽く叩かれる。激励のつもりだろう。


俺達は衛兵に挨拶をして、迷宮の中に入った。






さくさくと地下五階に向かう。続きが存在するのであれば、地下五階に何かしら存在すると思ったからだ。


ウッドゴーレムにストーンゴーレム、巨大な蜘蛛に蝙蝠と、倒していく。基本はビビが行う。援護はマリアだ。


連係の練度はまだ甘いが、基本的に雑魚の相手だ。ここで練習して、本番に備えたい。


ドロップも忘れずに拾う。今回も、ウッドとストーンは分けた。数もそこそこ集まった。


さて、地下五階に到着した。


此処まで休憩なしできたので、一旦休憩に入る。


「さて、と。ガーゴイルの対処はわかっているから、油断せずに倒してしまおう。」

「コア狙いね。」

「そう。コアを破壊すればガーゴイルは怖くない。」


前回同様に、連係して倒してしまえばいい。弱点のコアはマリアに任せて、俺とビビはその援護をする。その戦術は変わらない。


ゆっくりと休んでから、巨大な扉を開く。


やはりだが、ボス部屋にはガーゴイル三体が並んでいた。


「よく来た。強者よ。我が最高傑作の糧になるが良い。」


いつものアナウンスを軽く聞き流し、ガーゴイルをビビが倒す。合体後も、コアを狙い、破壊して終了となる。


「やっぱり、二回目となると簡単ね。」

「そうだな。」


ドロップの黒い水晶を拾う。


さて、ここからだな。


「この部屋を隈無く調べるぞ。」

「はーい。」

「わかりました。」

「何が出るかしらね。」


回りを見回す。こういうのは、壁が怪しいのは、テンプレだ。ペタペタと壁を調べる。


「ねぇ、ここなんだけど、怪しくない?」


壁に出っ張りがある。それを指差すマリア。確かにあからさまだが、怪しいな。


「とりあえず、押すか。」


躊躇なく押してみる。地鳴りがなる。ボス部屋が揺れ、天井から砂埃が舞い落ちる。


警戒する。回りを見回す。


床の一部がゆっくりと開いていく。その床が開ききると、地鳴りも収まる。開いた床の先には、下りの階段があった。


「やっぱりあったな。」

「すごーい!」


隠し階段をみつける。この先が裏迷宮だろう。


「ドキドキするわ。」

「楽しみです。」


マリアとビビが、階段の先を見る。長い階段に見える。


「さて、行くか。」

「はーい。」


俺達は、隠し階段の先に向かった。







地下六階。今までの迷宮の作りとはまるで別物の空間が広がる。強いていえば、鍾乳洞のような洞窟になった。


「すごーい!」

「はい、少しだけ寒さを感じます。」

「足元が危ないわね。滑るわ。」


この洞窟を進む。マリアにマッピングを頼んでいるが、ここは一本道だった。


魔物との遭遇もあった。巨大な蜥蜴がいたのだが、バジリスクだろうか。毒霧の息を吐くのだから、いろいろ厄介な相手だった。


遠くから、マリアの水鉄砲で倒す。そして気付く。


「これは魔物というよりは、魔獣の類だな。ドロップに変化しない。」

「そうね。生物だったみたいね。」


マリアが鑑定する。この迷宮を住みかにしていた魔獣だった。


つまり、ここは魔獣の住みかだ。


周りを見回すと、バジリスクが俺達を囲んでいた。


「逃げるぞ!」


テラスを抱き抱え、この場を切り抜ける。ビビはマリアを担いでいた。


個体は大した事はないが、毒霧の息は厄介だからだ。全方位から毒霧をされたら、逃げ場を失い、餌食になってしまう。


ここは一旦退却をして、態勢を整える。追いかけてくるバジリスク。だが、動きは遅い。これならば簡単に逃げきれる。


「ビビ!」

「はい!」


態勢を整えた俺とビビは、テラスとマリアを後方に待機させ、バジリスクに向かっていく。


俺とビビならば、毒霧が吐かれる前に対処出来る。ここは、スピード重視の戦法を用いた。


一匹を確実に仕留め、また次の獲物に向かう。これを繰り返す。


半分を倒した頃だろうか。バジリスクが撤退を開始した。俺は深追いをする必要はない、とビビに言う。


バジリスクの死体を無限保管に入れる。


さて、対処は出来たので、先に進む。


先程あったように、ここは魔獣の住みかだ。様々な魔獣が蔓延っていた。


蜘蛛、蜥蜴、蝙蝠、蛇、百足、と様々だ。一つの個体は弱いが、群れを作られると大変だった。


邪魔をする魔獣は倒していく。ビビも眼を輝かせながら、敵を打ち倒す。マリアは、しっかりと援護をしていた。



地下六階は満遍なく探索をした。魔獣以外は何もなかった。穴があったので、その穴を調べる事にする。


すると、一つだけ、地下七階に繋がる穴を見つけた。


空中歩行で皆を運ぶ。安全にいくにはこれが一番だ。マリアもなれたのか、大人しい。


地下七階。


またもや鍾乳洞の作りの洞窟。外敵も変わらない。


こうなると、連係力が必要になる。迷宮の練習がうまくいったのか、効率良く倒せるようになってきた。


こうなると何故か楽しくなる。闘いに目覚めるのは、俺の信条には合わないが、皆で協力するのが楽しくてたまらなくなる。ビビも赤いオーラを纏って闘っていた。


俺達の強さを認識したのか、外敵は逃亡するようになった。


外的を排除したので、休憩に入る。小屋を出し、長めの休憩だ。見張りは必要なので、俺が見張りをする。ビビはオーラを出したので、疲れがあるからだ。無意識に出してしまったのは、仕方ない。ナチュラルハイになったのだろう。消耗は回復しないといけないので、寝かせる事にした。


ある程度の休息。その間は、暇になるので、櫛でも作る。簡単な櫛なので、3つ程作り、皆を起こす。


「さて、探索を再開するか。」


俺の号令に、皆が頷いた。






大きな扉がある。しっかりと閉じた金属の扉だ。先に進むには、この扉を開かなければならないようだ。


力を込めて、扉を押す。ギリギリと音を立てながら、少しずつ開く扉。人が通れるくらいは開いたので、その先に入る。


四角い部屋にでた。明らかに人工物の四角い部屋。白の石が積み重なって、部屋を形成する。


「この先に入るな。」


アナウンスが流れる。地下五階で聞いたものとは違い、子供のような声だ。



俺達は、そんな事を無視して先に進む。


「進むな!進むなぁー!」


何やら絶叫するアナウンス。どうやら此方を完全に監視しているようだ。


「進むんなら、こいつが相手だ!」


床から液体が溢れ出す。すると、それはみるみると形に変化していく。


その姿は、牛の頭、立派な角、筋肉隆々で二本足でたって、戦斧を振り回す。そう、ミノタウロスだった。



ミノタウロスは此方を見て咆哮を上げる。ビリビリと空気が震える。


どうやらこいつが裏ボスのようだ。


「ここは、お任せ下さい。」


ビビが前に出る。目の前の強者に刺激を受けたのだろう。ビビは対決を望んでいた。


「無理と判断したら、介入するからな。」

「はい。」


ビビは黒狼爪を構え、ミノタウロスと対峙する。ビビは赤いオーラを纏って、ミノタウロスに突撃をした。




その闘いは壮絶だった。



ミノタウロスは軽々と重い戦斧を振り回す。ビビに振りかざした戦斧。それを避け、ビビの黒狼爪の一撃を見舞う。


脇腹に穴が空くミノタウロスだが、その傷はすぐに塞がる。ガーゴイル同様だ。

ならば、コアを破壊すれば良い。そのコアをマリアが鑑定で探す。だが、


「手出しは無用です!ここは、私一人が!」


とビビが答える。コアの発見もビビ一人でやりたいようだ。ならば、やらせよう。マリアが心配そうにビビを見つめる。ミノタウロスの攻撃の度に、俺の腕を力強く握る。

テラスは信じているのか、相変わらずの笑顔だ。見守る、が一番良い表現だろう。


ビビの身体に赤いオーラが纏う。その瞬間、ビビの機動力が向上する。眼に見えぬ位に動き回るビビ。力では劣ると判断をしたのか、速度で翻弄する。


ミノタウロスが、乱暴に戦斧を振り回し始めた。大きな隙をついて、ビビはミノタウロスの脚を削る。片膝を付くミノタウロス。それでも、戦斧を片手で振り回し、ビビを寄せ付けない。


脚はみるみると回復し、また立ち上がる。


長期戦になる。と感じた。ビビは気の運用をして、ミノタウロスを圧倒しているが、相手は無傷の化物だ。コアを破壊しない限り、じり貧になる。


それでも、ビビは果敢に立ち向かう。戦斧をかわし、懐に飛び込み、槍の一撃を加える。何発も、何回も。


疲れが出たのはビビだ。オーラは弱々しくなり、いまにも霧散してさはまいそうだった。


そろそろ、か?


と思ったが、ビビに止められた。


「まだ、です。まだやれます。」


ビビは諦めない。諦めなかった。猛威を振るうミノタウロスの戦斧をギリギリで避ける。かすったねか、頬から血が出る。


「ビビ!」


叫んだのはテラスだ。かすり傷だが、ビビの怪我に敏感になるテラス。それでも、ビビは前を、ミノタウロスとの対峙をやめない。


ビビが咆哮をあげる。オーラを再び身に纏い、ミノタウロスに果敢に攻める。


頭を潰しても、腹に穴を空けても、傷が治るミノタウロスに、ビビは勝機を探していた。


ミノタウロスの動きが一時止まる。これを好機に、ビビが鋭い一撃を加えた。


流の足運び、柔の体捌き、そして、震脚からの螺旋の伝達。黒狼爪の先にまでオーラが伝わり、その一撃を強力にする。


今までにない強力な一撃に、ミノタウロスは腹に大きな穴を空けた。


そして見えた赤いコア。


ビビは流れのままに黒狼爪をコアに向ける。


俺が見せた浸透撃。床が震脚でひび割れ、その威力を黒狼爪にまで伝達する。


当てたかに見えたその一撃はかわされてしまう。


その瞬間、ミノタウロスの強力な振り下ろしがビビを襲う。


かわせないビビは、ミノタウロスの攻撃をもろに食らってしまった。


「ビビ!」

「ビビさん!」


テラスとマリアが叫ぶ。俺も限界だ。一歩前に進む。


土煙の中、ビビはミノタウロスの攻撃に耐えていた。受け止めていたのだ。


「がああああ!」


ビビが叫ぶ。受け止めた攻撃を流し、懐に飛び込むビビは、再びコアに槍の一撃を与える。


螺旋の動き。槍に捻りを加えたその一撃に、コアは粉々に砕け散った。







どうすれば勝てるのか?そればかりか考えていた。


相手の力は私よりも上。ならば、速さで勝負を仕掛ける。


攻撃は当たる。だが、それでも相手は倒れない。


どうすればいい、どうすれば。


ソーイチ様が見せた、型を思い出した。


流の足運び、柔の体捌き、剛の伝達。それだけではない。回転、いや、螺旋の動きだ。


私はその動作を織り交ぜ、相手に向けて槍を突く。今までにない大穴が空いた。露出するコアに、私はまた一撃を。


だがそれは芯を捕らえなかった。大技の連続に、相手は私に戦斧を振り下ろした。


これは避けられない。


私は咄嗟に、槍で受け止める。


重い一撃だ。身体に電流が走り、力を奪う。だが、負けない。負けられない!


「がああああ!」


私は相手の攻撃を受け止めた。受けきった。感じる力強さを全身で受け止めた。


流の足運び。

柔の体捌き。

剛の力に、螺旋の捻り。


それが昇華!


相手のコアを貫いた私は、勝利を確信した。







俺はビビを抱き締める。満身創痍のビビは今にも倒れそうだ。だが、BiViは倒れない。


ミノタウロスは液体になり、床に染み込んでいく。大きな角だけ残して消えていた。


「大丈夫か?ビビ!」

「はい、大丈夫です。」


立っているのがやっとのビビを支える。槍を杖の代わりにし、決して座ろうとしないその姿勢は、天晴れとしか言えなかった。


「ビビ!」


テラスがビビを抱き締める。その時に、癒しの力が発動した。みるみるとビビの傷が癒えていく。血塗れであったが、ビビの傷は完全に癒えた。


「ビビさん!」


マリアもビビを診る。怪我がないか、丹念に診る。テラスの癒しの効果で、怪我がない事を確認すると、胸を撫で下ろした。


「やりました。」

「ああ、良くやったよ、ビビ。」

「ソーイチ様の動きが、わたしにも出来ました。」

「ああ、凄かったぞ。」


たとえ傷が癒えても、疲労は回復しない。ビビを座らせ、テラスを隣に座らせる。


「がんばったね、ビビ。」

「はい、これでまた一歩、ソーイチ様に近付けました。」


ビビの吸収力は驚異的だ。俺の闘いを見ただけで、それをものにしていた。そして、気の運用もだ。黒狼爪の先にまで、気を流し込んでいた。気の解放もやりとげていた。


確実に強くなるビビ。俺もうかうかしていられない。


それはさておき、この部屋を俺とマリアが調べる。主に壁を。


ビビは安心したのか、眠ってしまった。テラスに任せよう。


そうこう調べていると、


「ねえ、このちいさな穴は何かしら?」


とマリアが俺を呼ぶ。


そこには拳大の小さな穴があった。俺はその穴を覗き込む。何やら赤い何かが見える。


「となると、この先に何かがあるな。」


スイッチらしきものはない。つまりだ。


「どうするのよ?」

「決まっているさ、破壊する。」


俺は、拳の一撃を壁に与えた。


壁一面がすべて崩れ、人が通れる穴が空く。


その先には、先程の白い部屋とは対称的な、黒い部屋に繋がった。



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