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挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
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6-4 ガウス迷宮その2


地下四階。


ここでの主力の魔物は、ストーンゴーレムだ。それをビビがいとも簡単に討伐をしていく。


「何故か、突いた感触がありません。あの硬い石人形なのですが。」


気の習得で、ビビは以前よりも戦闘力が増したのだろう。だが、これからもまだまだ余地はある。どこまで強くなるのか、末恐ろしいが、楽しみでもある。


ビビの足取りが軽い。浮かれているのか?と思ったが、それは杞憂だった。


「罠が、ありますね。」


全員を足止めして、床を見る。其処らに落ちている石を投げ、誤動作させた。落とし穴だった。


穴の下には、スライムがうようよといる。落ちた冒険者はスライムの餌になったであろう。


倒す事はない。いや、手段がないので、そのまま放置だ。床にマークを付けたいが、それも無理だったので諦めた。


穴を飛び越え、先へ。


生き物系は蜘蛛と蝙蝠が出るようになった。これらはビビとマリアで片付ける。マリアも吹っ切れたのか、落ち着いて、狙いを定めていた。


「的がでかいから当てるのが簡単だわ。」


ようやく蜘蛛に慣れたのか、しっかりと弾を当てていた。


満遍なく四階を探索し、休憩にする。その間、ビビはまた気の練り上げを始めた。時間はかかるが、オーラを出すビビ。気の練り上げは完全にものにしたようだ。


「次は、解放だ。武器に気を流すんだ。」

「はい、やってみます。」


ビビは黒狼爪を持ち、構える。気を発動し、その気を黒狼爪に流し込む。


なかなかうまくいかない。手元には流れているが、槍先には届いていない。


「焦るな。ゆっくりで良い。」

「はい。」


脱力するビビ。オーラも霧散し、気を解除する。


地べたに座り込むビビ。まだ気の運用を習得したばかりだ。無理はさせられない。


黒狼爪は中々に気を流し込みにくい。逆に考えて、これは鍛練になるんじゃ、と考えた。


気の消費が激しいので、ビビの気の発動は、いざという時にだけ許可をした。本来ならもう少し余裕が欲しいところだが、そうはいっていられない。ここは迷宮だ。危険が一杯なのだから、使い所を見極める必要もある。


さて、休憩も終わり、いざ地下五階へ。



そこは、広い空間があった。そして大きな扉。


「ねえ?」

「間違いないな。」


ボス部屋にたどり着いた。






「これじゃゲームだな。」

「そ、そうね。嫌な予感しかないわ。」



初めてのアタックで、ボス部屋にたどり着くとは思っていなかった。大きな扉は、少しだけ開いている。


覗く前に、確認する。前衛がビビ、後衛がマリア。俺はテラスをフォローだ。ビビが危険になったら、手を出す事も伝えた。


皆が頷き、気合いを入れる。俺も手甲を装備する。


さて、行きますか。


扉を少しだけ開き、中に入る。


そこは大広間。回りには水晶らしき物が散乱している。とても明るい部屋だ。


真ん中には、何やら銅像がある。それも三体。姿はまるで悪魔のような形をしていた。


「よくぞ此処まで辿り着いた。強者よ、我が芸術の糧になるが良い!」


何処からか聞こえる声。そして、悪魔の銅像がパキパキと音を立てて、動き出した。



悪魔の銅像、ガーゴイルだろうか。その銅像は、ゆっくりと、此方に歩み寄る。


ビビが、真ん中のガーゴイルに一突きを入れる。ガゴッ!という音をたてて、大穴を空けた。


ガーゴイルの動きは遅い。簡単に避けられる。ビビが二体目、三体目に穴を空けて終わってしまった。


なんだ、簡単じゃないか。


そのあっけなさに、拍子が抜ける。ガーゴイルも沈黙しているし、このまま帰ろうと考えた。


「まだだ、まだおわりはせぬ!」


その言葉に、ガーゴイルの欠片が集まっていく。融合、合体し、巨大なガーゴイルとなった。


「わがさいこうけっさくだ。」


巨大なガーゴイルは、翼を広げて威嚇する。


だが、俺は何ともない。いや、皆がそうだ。


「かわいい。」

「大したことありませんね。」

「私も何だか平気なんですけど、なんで?」


恐慌に陥る事なく、巨大なガーゴイルと対峙する。


「ねぇ、(アリス)は使っちゃ駄目?」

「OKだ。しっかりと狙えよ。」


マリアに弩を持たせる。これならば、巨大なガーゴイルにも手傷を追わせられるだろう。


ビビが突貫し、強力な一突きを繰り出す。穴は空くが、直ぐ様に塞がっていく。

マリアも同じだ。弩の矢は、巨大なガーゴイルを突き抜け貫通するが、穴はみるみると塞がる。


「厄介だな。」


この巨大なガーゴイルの仕様に、俺は考えた。


「コア、あるわね。それも動いているわよ。」


マリアの鑑定が良い仕事をした。コアね。それを潰せば、この巨大なガーゴイルを倒せるだろう。


「まずは機動力だ。ビビ!脚を狙うぞ!」

「はい!」


その言葉に反応してか、左右に別れ、共々に脚を破壊する。倒れる巨大なガーゴイル。


「次は腕だ!」

「はい!」


腕を破壊し、動きを封じる。


「狙え!マリア!」

「任せなさい!」


弩を構え、矢を放つ。最大威力。強力な一撃が巨大なガーゴイルの脳天から身体までを貫通する。


矢の先には、黒い石が刺さって、これが粉々に砕け散った。


巨大なガーゴイルはどろどろになり、床に消えていく。


残ったのは、黒い水晶だった。



おればそれを拾う。何て事はない。ただの水晶だ。マリアの鑑定もそういっていた。


「おめでとう、つわものよ。このめいきゅうをとうはした。」


アナウンスが流れる。それを聞いて、俺達はハイタッチをした。


だが、ね。


「さて、一旦帰りますか。」

「はーい。」

「わかりました。」

「あー、疲れた。でも、達成感があるわね。」


各々思う所はあるだろう。俺も凝りがあるのを隠す。


「どうしたの、ソーイチ?」

「いや、何でもないよ。さ、帰ろう。」



俺達は、迷宮を突破した。






地下一階、冒険者達の帰還が相次ぐ。戦線離脱者が後を絶たない。ウッドゴーレムとの闘いで傷を追った新米の冒険者のようだ。


見た目的には軽症だろう。無理をしないのは良いことだ。


テラスはその冒険者を見て、動こうとしたが、俺が止めた。彼女が癒しを使ったら、騒ぎになるのは明白だ。この迷宮に入ったのだ。覚悟がある者が入るべき場所なのだ。怪我は自分達で治して欲しい。テラスが泣きそうな顔をしたが、どう考えても駄目な事は駄目だ。


今回、この迷宮で手に入れたドロップの品は、無限保管には入れていない。たぶんだが、買い取りがあると考え、無限保管の副作用が邪魔になると判断した。ただ、黒水晶は無限保管に入れてある。


袋を二つに分けて、ウッドゴーレムの枝と蜘蛛の脚、ストーンゴーレムの石と蝙蝠の羽、とで分けた。


出口。衛兵が此方を見る。


「どうだった?」

「はい、戦果はありました。」

「ドロップは?」

「これですか?」


ウッドゴーレムの方の袋を見せる。


「おお!凄いじゃないか!沢山あるじゃないか!」

「ええ、頑張りました。」

「ドロップはあそこの詰め所で換金をすれば良い。これだけあれば、昇格は間違いないだろう。おめでとう。」

「ありがとうございます。では。」


俺達は、詰め所でウッドゴーレムの枝が入った袋を渡す。


「こんなに沢山!では、換金をしますので、冒険者カードを提示して下さい。」

「はい。」

「Fランク?これだけの戦果でしたら、Eランクに昇格ですね。おめでとうございます。では、これをギルドに提示して下さい。あと、これが報酬です。」

「はい、わかりました。」


渡されたカードを持って、冒険者ギルドへ。報酬は銀貨で二枚だった。


「ああ、先程の方達ですね。どうでしたか?」

「はい、これを渡されました。」

「昇格カード?凄いじゃないですか!1日で昇格は中々にないですよ!」

「はい、頑張りました。」

「では、手続きをしますので、カードの提示をお願いします。」


そうして、俺達はEランクとなった。


「1日でランクアップ?本当か?」

「あのパーティー、女ばかりじゃないか!狼人はわかるが、ヒトが三人だろ?本当かよ?」

「何かイカサマじゃないのか?」


等々、散々言われた。俺の判断は間違っていなかった、と確信する。ここで、ガーゴイルの水晶を出していたらと考えると、問題しか発生していなかったな。ストーンゴーレムの石も出さなくて正解だった。


空き地に戻り、回りを確認してから、無限保管から小屋を出す。半日で銀貨二枚。なかなか良い稼ぎだ。


「それにしても、簡単だったわね。」


マリアが感想を述べる。それは色々と語弊がある。


ゲームでいえば、最強装備で、最初のダンジョンを攻略したのと同じだ。レベルも高い。なら、簡単に感じるのは当たり前だ。


「何を言ってるんだ?本番はこれからだぞ。」

「えっ?」

「ゲームでもあるだろう。裏ボスってやつ。」

「それが、あの迷宮にあるの?」

「あるね。あのアナウンスが証拠だ。誰かが見ていておかしくない。」

「つまり、先があるのね?」

「そうだ。」


マリアはやれやれといった表情をし、ビビは輝いていた。迷宮アタックはまだまだ続くのが嬉しいようで、やる気に満ちていた。


「明日またアタックするから、ご飯を食べて休むか。」

「そうね。今から作るわ。」

「手伝います。」

「ありがとう、ビビさん。」

「ソーイチ、おふろ。」

「わかったよ、ご飯を食べたら皆で入ろうな。」

「うん!」


今日の疲れをとって、明日も迷宮に入る。裏面があるのは確実だし、それを攻略しよう。


「さ、ご飯よ。」

「では、いただきます。」



夜、団らんを楽しみながら、明日の事を考えた。



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