表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
115/150

6-3 ガウス迷宮その1


地下迷宮に入った。地下一階。中はかなりの広さであり、悠々と進める。


マッピングはマリアに任せた。大体で構わない。迷うよりはましだからだ。


地下一階は冒険者が沢山いる。皆がある一方に向かって歩く。


熟練者は、地下一階を完全に把握はしているだろう。早足で、迷いなく進んでいた。


さて、どうするか?


「先ずは慣れるか。一階を満遍なく探索しよう。」

「そうして。初手からハードモードは嫌よ。」


マリアが言う。ビビには申し訳ないが、今はまず初心者のマリアが優先だ。


迷宮、ダンジョンといえば、魔物と宝だ。


ダンジョンの構造はわからないが、必ずといって、魔物と宝がある。何故だろう。


そんな疑問をしながら歩いていると、第一魔物が出現した。


木の魔物だ。ウッドゴーレムか?動きが遅く、ゆっくりと此方に向かってくる。


「ビビ、は待機。マリア、頑張れ。」

「え?私?」

「折角だしやってみな。あ、出力は最大な。」


革のリストバンドを装備しているマリアが、ウッドゴーレム目掛けて、発砲する。


バシュ!バシュ!と連射し、ウッドゴーレムに当てていく。命中率は申し分ない。


大きな穴を空けたウッドゴーレムは、倒れる。そして、木の枝に変化した。


「やった!!」


マリアが掛け値なしに喜ぶ。初めての討伐が嬉しかったのだろう。


「よくやった。」

「ま、私も練習してレベルアップしているのよ!」


胸を張るマリア。誇らしいのはいいが、油断大敵だぞ。


さて、きの枝を拾う。


「何だ、これ?」

「報酬、かしら?魔枝と呼べば良いかしら?」


多分だが、この枝を触媒に、ウッドゴーレムが生産されているのだろう。


回りを見回せば、通路には木の根がみっしりとある。この辺りは群生地か?多分だがわざと残している気がするので、そのままにした。


やはりだが、ウッドゴーレムがうようよといた。それに立ち向かう冒険者もいた。動きや連携がいまいちだ。多分だが、新米の冒険者だろう。得物の横取りがマナー違反なのは、ゲームで学んでいる。この場は新米冒険者に任せて、先に進む。


ウッドゴーレムが出現したら、マリアに全て任せる。だが、銃なので、距離を詰められると、焦りながら打っていた。


ジレンマだが、ここはマリアに任せたい。慣れは必要だし、今後は援護もしてもらいたい。


ジレンマはビビもだ。闘いたくて、うずうずしているのが、よくわかる。だが、この階の魔物は雑魚だから、ビビの練習にすらならない。


ステイ!と言いたくなるのをぐっと堪える。


距離さえあれば、マリアも悠々とウッドゴーレムを倒せるようになったので、下の階を目指す事にした。



地下二階。ここも満遍なく探索をする。ウッドゴーレムの出現や、大きな蜘蛛が出現した。


「ぎゃーー!!」


マリアは巨大蜘蛛に俺の後ろに隠れた。


「蜘蛛は、蜘蛛は駄目!無理!」


マリアは完全に戦意喪失だ。仕方ないな。


「ビビ、任せた。」

「はい!」


黒狼爪を手に持ち、果敢に突貫するビビ。相手の攻撃を何ともせずに、倒すその鮮やかさは、流石と言いたい。


「やっぱり、ビビは強いな。」

「ありがとうございます。ですが、手応えが。」


わかる。まだ雑魚の範囲だ。ビビを使うのは勿体ない。


「蜘蛛に慣れるために、マリアには頑張ってもらうか。」

「やだー!絶対に嫌ー!」


渋るマリアだが、ここはスパルタになり、蜘蛛の討伐を頑張ってもらう。


何回かやらせたら、震えながら此方を見る。


「も、もう良いでしょ!次に行きましょ!」


精神的に限界かな?この階は終了し、次の階に進む。




地下三階。


先程とうって変わった階層になった。ウッドゴーレムは変わらないが、石の魔物、ストーンゴーレムが出現する。動きは遅いが、とても硬い。マリアの水鉄砲が効かない位だ。


「駄目!効かないわ!」


何発も命中させているが、ストーンゴーレムはその動きが止まらない。


「ビビ。」

「はい、お任せを!」


ストーンゴーレムに対峙するビビ。攻撃をスライドで避けて、強力な一撃を見舞う。腹に大穴を空けると、ストーンゴーレムは石に変化した。


「マリア、頼む。」

「ん~、不思議な石ね。魔力?が宿っているみたい。」


魔力が宿って、ストーンゴーレムに変化をしたのだろう。


「次からは、ビビが先頭にしよう。マリアは後方で援護。だが、ビビの邪魔はするなよ。」

「わ、わかっているわよ!」


ここからは、ビビに任せよう。マリアは連携の練習もしてもらわないとな。


ストーンゴーレムとウッドゴーレムが襲いかかるが、難なくそれを打ち倒すビビ。マリアの援護がいらない位だ。これじゃ練習にならない。




「私には、何が足りないのでしょうか?」


休憩中にビビは俺に相談する。


「ビビは十分に強いよ。」

「ですが、ソーイチ様のような強さがありません。」


俺のはチートだ。本来の力とは違うものだ。


だが、ビビが本気で悩んでいるのも事実だ。こんな時に的確なアドバイスをしたいのだが、どうすれば良いのやら。


「ビビさんは、チート抜きでしょ?なら、チートを獲られれば良いんじゃない?」


マリアが言う。簡単に言うが、そのチートは獲たいから得られる物ではない。


「何か、ないかな?」


俺は考える。ビビの強さは十分に強い。それは人としてだ。もしかしたら、これ以上の強さは、別の領域なんじゃないのか?


チート。俺の持つ特殊な力。マリアも眼にチートを持つ。テラスは言わずもがな、だ。ビビは己の力だけで、ここまで強くなった。


どうすればいい?どうすれば。俺は深く考える。何かあるはずだ。ビビを強くする方法が。


ビビは格闘の力を持っている。持っていないのは、魔法?かな。


ゼフィーさんが見せた精霊魔法のように、この世界には魔法がある。その魔法がなんなのか、俺はわからない。


ゲームでは、精神力を媒体に、術を行使していた。この世界もそうなのか?


ちょっと集中してみるか。


正座し、目蓋を閉じる。暗闇に集中し、身体に巡る、気を探知する。


気はそもそも誰しもが持つ身体の脈だ。この気の運用で、強さが決まったりする事もある。


東洋医術では常識な気。俺の身体には膨大な気が巡っているのがわかる。この気を、ビビに感じられるだろうか?そうすれば、あるいは。


目を見開く。


「ビビ、黒狼爪を貸してくれ。」


手渡される黒狼爪。手に持ち、構える。


気の巡りを、黒狼爪にも伝わせる。中々にうまくいかない。


もう少し強くする。流れる気が、黒狼爪に伝わり、槍先まで俺の一部になっていく。黒狼爪の重さがまるで感じない。


俺は、おもむろに突いた。空気が裂ける位の音を立てる。


撫でてみた。空間が切れたかのような感覚を得る。


それと同時に、気の消耗を感じた。




「ビビ。申し訳ないが、少しだけ死んでもらうよ。」


俺はビビにそう告げた。







そう言って、俺はビビの心臓に軽く当て身を入れる。浸透撃の一撃。


ビビの心臓の鼓動が止まる、のを確認する。


直ぐ様に、また心臓に浸透撃を当てる。心臓の鼓動が始まった。



「な、何をやっているの!!」


マリアが激しく抗議する。もう事は済んでいる。後はしっかりと怒られよう。


「ビビ、わかるか?身体中に流れる何かが?」

「は、はい!わかります!身体に、何か伝わっています。」

「俺はそれを、気、と呼んでいる。」

「気?ですか?」

「その感覚を忘れるなよ。その気を練って力に加えるんだ。」

「気を練る。」


ビビは目蓋を閉じる。呼吸を整え、精神を集中させる。


「それを腹の中心に貯えろ。」


ビビがおもむろに、腹に手を当てる。そこに気を貯めるかのように。


「そうしたら、全身に広げるんだ。隙間なく。」


手を広げるビビ。何やら赤いオーラのようなものが、ビビから溢れてくる。


「それを維持しろ。集中を切らすな。」


オーラはゆらゆらとビビの回りを纏う。


「す、凄い・・・。」


マリアが驚愕する。ビビに秘めた力、気が解放された。



ビビが眼を開くと、真っ赤な眼で俺を見る。その瞬間、オーラは霧散し、ビビが倒れこむ。それを俺は受け止める。


「今の、力が、気、ですか?」

「ああ、そうだ。凄いな!一回で習得してしまったぞ!」


ビビは項垂れ、そして気を失った。抱き抱え、横に寝させる。


ビビの表情はとても晴れやかだった。






「さて、説明をしてもらおうかしら?」


御冠のマリア。それは般若を連想させる。


「ビビさんに危害を加えるなんて非常識じゃないかしら?」


いやー、こわいなー、がくぶるだー。


「本気で怒るわよ!」

「わかった、説明する。」



そして俺は説明をした。



「つまり一度、その、気?を感じさせる為に、ビビさんの心臓を止めたの?」

「俺が前の世界で、爺さんにやられた事を真似してな。これが一番感じやすいんだ。」

「だからって!危険じゃない!一度ビビさんを殺したのよ!」

「いやいや、一瞬だけだから。」

「失敗したらどうするのよ!」


確かに。だが、失敗するとは微塵も思わなかった。


「いいのです。マリア殿。」


ビビが目を覚ました。身体を起こす。


「駄目よ。安静にしていなくちゃ!」

「大丈夫です。ソーイチ様は私に一筋の希望を示してくれました。だから、そんなに怒らないで下さい。」

「でも。」

「いいのです。私の今があるのはソーイチ様がいるからなのです。」

「そんな事言われたら、何も言えなくなるじゃない!」


そっぽを向くマリア。本気で心配しての行動だ。言いたい事は山積みだろうが、ビビに言われたら何も返せない。


「ありがとうございます、ソーイチ様。私は何かを掴んだ気がします。」

「それは、良かった。」


ビビが立ち上がり礼をする。その表情は迷いのなくなった、いつもの凛々しいビビだ。


「これからは、気の習得だな。いつでも練り上げて、発動させれるようにしよう。」

「はい!」

「動けるか?」

「はい、大丈夫です。」


立ち上がるビビ。俺から見ても、力、気が充実しているのがわかる。


「魔法でも使えそうに見えるわ。」


マリアがそういう。気は、魔力に近いのかもしれない。その運用が、これからのビビに影響するだろう。


「さて、次に向かうか。」

「はーい。」

「わかりました。」

「はいはい。わかりましたよ。」


俺達は、先に進む事にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ