5-17 次の街へ出発
朝の鍛練だが、ビビの要望により、段階を上げる事にした。とはいえ、基本は変わらない。基本をそのままに、負荷を追加したのだ。
俺もビビも、背中に重い荷物を背負いながら、きつい鍛練に励む。汗の滴る量が半端なくなり、ビビの薄着が尚更俺の下半身を刺激する。
眼福なのは良いが、邪念も生まれる。いかんな。
頭を振り、邪念を払う。集中して鍛練に励む。
しかし、何故だろうな。風呂は一緒に入っているのに、一向に慣れないのは、俺がスケベだからか?それとも、魅力的だからか?
永遠の謎にしよう。考えたって仕方ないな。
風呂に入り、朝食を食べ、出かける。そんな毎日を暮らす。
数日後だった。俺の小屋に客が来た。
「お久しぶりです。」
メイドのクレだった。
「どうしたんだ?何か用か?」
「はい、龍の道が開通しましたので、その報告に参りました。」
遂に開通か。結構長かったな。
「つきましては、アオバ男爵様へ、王子より手紙を預かっております。」
「手紙?」
どれどれ。
内容は、食事会の招待だった。
「わかった。招待を受けるよ。そう言ってくれ。」
「はい、畏まりました。」
と言って、クレが城に戻る。
「今日のお出掛けは中止。城から招待を受けたから、その準備をしよう。」
「はーい。」
「わかりました。」
「わかったわ。」
そんな訳で、城に行く準備を始めた。
夕刻、迎えが来た。レンとイトが馬車を引いていた。
「レン!イト!」
テラスが二頭を抱き締める。久し振りに会った二頭は元気だった。
「元気にしていたか?」
「さみしかったって。」
「ごめんな。」
二頭が眼をうるうるとさせていた。クレに任せっぱなしだったからな。今日からは一緒にいるとしよう。
「では、お乗り下さい。」
クレの行者だったが、ビビが手綱を握ると、レンとイトは喜ぶ仕草をした。久し振りだからかな。足取りも軽やかだ。
城に到着し、中へ。ムキムキの執事に案内され、広間に通された。
長テーブルに料理が無数に並んでいる。他にも客がいるようで、この国の有力者なのだろう、沢山の人がいた。
「晩餐会かな?」
「そうみたいね。立食みたいだし。」
マリアはまじまじと回りを見回した。
顔も知らない、名も知らない、だからか、此方に好奇な目を向けるのは仕方ないだろう。まあ、堂々としていよう。正式な招待を受けたのだからな。
此方は見た目な派手さはないが、洗練された衣装を身に纏っている。ウエストが緩くなるのは仕様だ。
回りは、派手な衣装をしているが、何故かダサい。古いからだろうか。
さて、好奇な目は、この格好もあると、自分に言い聞かせて、部屋の角で、時間を待つ事にした。
音楽が奏でられる。上等なクラシック的な音楽だ。一同は、壇上を見る。俺もそこに視線をずらすと、この国の王と王子が登場した。
威厳を纏った王が、手を上げると、音楽が止む。
「一同!今日まで、よくこの国を支えてくれた。無事に龍の道が開通したのは、一重に皆の力があったからだ。被害者には追悼を。だが、我々は生きねばならぬ。そして、・・・・・・・・。」
演説を始める王。その言葉は皆を讃える言葉だった。龍の道の開通には、どれだけの人が使われたかを示す。王族だけではない、臣下に貴族、商人と、数多の労力が費やされたのだろうな。
運ばれる飲み物。グラスに注がれたのは酒だ。それを手に、俺は王の演説を聞く。
「では、今宵は今日という日を祝って、乾杯!」
「「「乾杯!!!」」」
そしてまた音楽が奏でられる。今度は心が穏やかになる曲調の音楽だ。
「立っているだけもアレだし、食べましょうか。」
「そうですね。」
マリアとビビが、食事を開始する。逞しいというか、なんというか。
俺とテラスはその場に佇む。強い酒を口に含み、味を確かめる。
「どうした、こんなところで。」
俺に声をかけたのは、王子のギルガドグだった。
王子が声をかけたというだけで、回りからの好奇の目が変化する。
「これは王子様。全快おめでとうございます。」
「良い。だが、ドグと呼べと言ったよな?」
「いえ、この場でその名は呼べません。」
「確かにそうだな。」
はは、と笑う王子ギルガドグ。
「東への洞窟が開通した。お前達も東へ向かうのだろう?ならば送別を兼ねて招待した。今日はしっかり楽しめよ。」
「はい、そうします。」
「それと、この場には似つかわしくない話をするが、大臣は処刑された。その一味もだ。錬金術師は捜索をしているが、国外に逃亡したと思われる。もし、だ、その錬金術師の存在を掴んだならば、必ず連絡して欲しい。此方でしっかりと捕まえるからな。」
「はい、わかりました。」
王子殺害未遂の大臣は処刑か。まあ妥当だろうな。錬金術師はまだ見つからないか。そんなに簡単にはいかないか。その錬金術師はなにかを掴んでいる可能性もあるからな。もし、俺の方で会うことがあったら、話を聞かねばならない。
多分知っている。暗い楔の事を。
そう言えば。
「王子様は、魔神はご存知ありますか?」
「ああ、闇の神だろ。絵本とかに良くする出てくる。」
絵本の話か。ならば露店や店舗で売っている可能性もあるな。
「どうした?」
「いえ、私はそういう話には疎いものですから、気になりまして。」
「そうか?聞かせてもいいが、なかなか時間も掛かるからな。本を持ってきてやる。空いた時間にでも読むが良い。」
「ありがとうございます。助かります。」
「何、命の恩人なのだ。俺に出来る事は協力するさ。」
背中をパンと叩く王子。ドワーフだが、背丈は俺と同じくらいだ。少し違和感があるが、勝手に俺のイメージを押し付けているだけだ。
「では、またな。潰れるなよ。」
そう言って、王子ギルガドグは離れた。すると、目敏い商人や貴族が俺に近づく。王家に連なる人物と認識をされたのだろう。回りに人だかりができ、俺の行動の邪魔をする。
挨拶はいらないし、おべっかもいらないし。もう、うざったい!
邪険にする訳にはいかないから、適当に相づちして、適当に相手をする。おい!テラスには近寄るなよ!
ビビとマリアは、この状況を助ける気はないようだ。いや、ビビは食事に夢中で、此方を気にしていない。
少し揉まれたが、挨拶は適当にして、雑多から離れる。テラスの手を繋いで、心を落ち着かせる。
「大丈夫か?」
「うん。だいじょうぶ。」
テラスは微笑み返す。これだけで癒される。
酒を飲み干し、空のグラスを執事に渡す。他の飲み物をもらい、バルコニーへ向かう。
夜風が気持ちいい。少しの酔いを冷ます。
「どうしたの?黄昏て?」
マリアだ。手にはグラスが2つ。一つをテラスに渡す。
ビビも来た。食事は粗方済ませたのだろう。満足した表情になっていた。
「いや、色々あったな、と思ってな。」
「これからもだよ。」
「そうだな。」
「そうね、折角だし、乾杯しましょうか。音頭お願い。」
「そうだな。これからも一緒に楽しい旅を。」
「「乾杯。」」
グラスを合わせ、旅の安全祈願する。一気に酒を飲み干し、その強い酒を堪能する。って!
「あれ~、くらくらする。」
「ヒック!」
「何これー、あはははは!!」
あ、これは駄目だ。
俺は女性陣を休憩させる為に、部屋を用意してもらうのだった。
★
二日酔いのマリアを介抱し、1日遅れで、龍の道を向かう事にした。
「ごめんね~。」
頭が痛いのか、手で抑える。
この日は暇になったので、各所に別れの挨拶をする事にした。
ガストン、バルバ、ゼフィーさんにガベラ、グエンにムトーといった、様々な人に挨拶をした。
皆の口々に旅の安全を祈ってくれた。
今回も様々な人に出会った。次もまた良い出会いがあるといいな、と思ってしまう。
次は東の大陸。街はガウスの街だ。
龍の道を進む日を明日に控え、俺達は濃密な行為を致す。沢山の愛を頂き、沢山の愛を返す。
何度繰り返したかわからない痙攣を体感する。それでもまだ、彼女達を愛してしまう。
満足げに微笑む女性陣。俺も微睡みの中、柔らかな感触を味わいながら、心を満たしていった。
これで、ドワーフ国編は終了です。ここまで読んで頂きまして、ありがとうございました。
期間を空けまして、続きを書こうと思います。それまで、お待ち下さい。それではまた。




