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挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
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5-11 ドワーフ国の平穏な日々 その1


一日が過ぎ、俺は久々に小屋に帰る。久々の風呂で、今までの疲れを洗い流す。やはり風呂は最高だ。


もちろん、テラス達も一緒だ。密着が濃密なのは、寂しかったからだろう。


「ねえ、なに、これ。」


マリアが俺の元気な息子を指差す。いや、これは不可抗力だから。


「男は本当に辛くなると、元気になる時があるんだよ。」

「え~、本当に~?」


本当だが、今回は違う。そりゃね、美女三人が裸で密着していれば、誰だって立派になるってものさ。


「じゃあこれは、こうすればいいの?」


あれ、テラスさん?


「でしたら、私はこちらを。」


ビビさん?あれ?


「私も、する。」


マリアまで?



俺は、彼女達のご奉仕に昇天した。







ガベラの元で作った物の残りの作業を進める。後は微調整と紐付けだけだ。研磨もしっかりとする。


朝から始めたそれは、夜には完成を迎えた。


俺専用の手甲だ。ヒヒイロカネで作られた極業物。無限保管に出し入れも忘れない。


マリアの鑑定も、鑑定不能となり、伝説級(アーティファクト)を頂いた。痛い。頬をつねるな。


ヒヒイロカネの手甲は軽くて硬い。伝説級だし、これなら傷をつけるのも一苦労だろう。


大仕事の完了に顔が綻ぶ。満足感が俺を包み込む。


そして、完成をお祝いする肉パーティーが催された。大量に運び込まれた肉、肉、肉。ビビさん、よだれ出てますよ。


皆が満腹になるまで食べて、風呂に入り、愛し合い、寝る。幸せな一時を過ごした。







俺達は足りなくなった食糧を補充するために、買い物をする事にした。主に肉だが、野菜や果物も忘れない。酒も少々だが買わせてもらった。


観光も一段落。後は龍の(ドラゴンロード)の開通を待つだけとなった。


それにしても平和だ。


暗の一件以来、ドワーフ国は平和になった。空気も循環され、人々は思い思いに仕事をして、酒を飲み、寝る。それを繰り返す平和の日々。


俺達も、その平和に包まれていた。






龍の道が開通するまでは、やることがない。ならば、ここを拠点にして、旅費を稼ぐのも悪くはない。マリアの買い物で、手持ちが少なくなったのは事実だ。まあ、彼女は必要経費として考えているだろうが、金は一応潤沢にあった方が良い。


龍の道が閉鎖されている以上、客はケルトから来る貴族や商人である。また、東の大陸から来た冒険者も客になるだろう。前者は資金があり、後者は余り無いだろう。そうなると、ケルトの客を見つけるのが効率が良い。


だが、簡単にいかないのが商売だ。マリアも無謀と言うかもしれない。だが、何もしないで時を待つのはなるべくしたくない。俺は貧乏性なのかもしれないな。


さて、どうするか?答えは家族会議で決めるのが良いだろう。


「うーん、わかんない。」

「魔獣退治で生計を立ててみては如何ですか?」

「それなら、雑貨を作って露店で売る方が良いんじゃない?安全だし。」


三者三様。自分の考える範疇で最も良い案を出す。あ、テラスは、まあ、うん。



「ビビの案は額は大きいが、安定した収入は望めない、かな。いない訳ではないだろうけど、探すのに苦労する。マリアの案は安定した収入があるだろうから、マリアの案にしよう。」

「確かにそうですね。」

「うんうん。地道が一番よ。」


明らかに落胆するビビ。マリアは嬉しいのか満面の笑みだ。


「だけど、ビビの案を捨てる気はない。ギルドにちょくちょく足を運んで、情報を得て、いい獲物があったらやっても良いだろう。」


この言葉にビビは笑顔になる。マリアは、しょうがないわね、といった表情をして、この代案を賛成する。


となると、どうするか、だ。材料はこの前採掘した、銀に鉄がある。宝石もあるから、これらを使えばいい。インゴットにするにはどうするか?まあ、チートを使うしかないな。ガベラに頼る手もあるが、なるべく仲介者は入れない方が、コストを安く出来る。


まずは、商業ギルドで、商売許可証の発行だろう。これがないと始まらない。商業ギルドにお邪魔する。


商業ギルドは思いのほか広く、数多の人で一杯だ。ドワーフはもちろんヒトに獣人、エルフなどもいる。ここまで異種族の混在は初めてだ。


「ようこそ、商業ギルドへ。どの様な御用件でしょうか?」


受付嬢は、獣人だった。兎の耳がキュートな女性。笑顔を絶やさず此方を見る。


「商売に許可はいりますか?」

「それは店舗ですか?それとも露店ですか?」

「露店ですね。」

「そこで、何を御売りになりますか?」


そこで、マリアが変わって答える。


「アクセサリーが主の雑貨になります。」

「そうですか。では、技術をみますので、御売りになる商品を見せて頂けませんか?」


ん?そう来たか。何を見せれば良いだろう?


「櫛なんてどう?木製の櫛。」


そういえばあったな。


無限保管から櫛を一つ出す。


「拝見致します。」


まじまじと見る受付嬢。あらゆる角度から、普通の櫛を見る。


こういうのは結構ドキドキするものだ。駄物ではないのはマリアの鑑定でわかってはいるが、受け入れられるのはまた違う。


「はい。かなりの上物を拝見させて頂きました。この技術力でしたら、販売の許可を発行させて頂きます。」


ふー、よかった。


「では、銀貨十枚です。これは、一月の値段になります。」


月々の支払いか。こういう場合もあるんだな。


俺は銀貨十枚を支払う。この位は、簡単に稼げるだろうから、安い出費だ。


「では、此方が許可証になります。」


簡素な許可証に判子が押され、それを手渡す受付嬢。それを受け取り、無限保管にしまう。


「販売にあたり、何か注意はありますか?」

「そうですね。場所取りをする際に、トラブルになりやすい事があります。これは自己判断をお願いしております。また、販売の邪魔をする方々も存在しますから、注意して下さい。商業ギルドは許可を発行致しますが、トラブルの解決には仲介致しませんので、ご了承下さい。」


金を取って、責任は此方かよ。中々にあくどい商売をしているな。まあ、許可証があれば、胸を張って販売出来るのだから良いか。


「ありがとうございました。」

「良い商売を。」


商業ギルドを出て、次は冒険者ギルドを訪れる。ここでは、情報の収集がメインだ。


「いらっしゃいませ。どの様な御用件でしょうか?」


此方の受付嬢も獣人。猫?かな?


「私はケルトに連なるアオバ男爵だ。ギルドマスターに会いたいのだが、時間はあるかな?」


ここで、錫杖を出し貴族特権を使う。俺は登録が目的ではないからだ。


「は、はい!少々お待ちを。」


と言って、受付嬢は席を外す。回りを見ると、突然の貴族の登場に、その場にいる冒険者達がざわついている。


「貴族様が一体なんの用だ?」

「女をはべらせやがって。」

「だが良い女だ。一晩相手してくんねえかな。」


何やら言葉が聞こえる。最後の奴は顔を覚えた。手を出してきたら、絶対に許さん。


「どうぞ。御案内致します。」


と言って、受付嬢の案内で、階段を上がる。立派なドアに受付嬢がノックをする。「はいれ。」の言葉に、俺達はその部屋に入った。


ギルドマスターの部屋に入った。中は広く、調度品が揃ってあった。一人のドワーフが机の前に立っていた。


「俺はギルドマスターのグエンだ。それで、貴族様が一体なんの用件だ?」


厳しい目付きで此方を見るグエン。急な来訪に苛立ちがあるのだろうか?



「私はアオバ男爵。なに、大した話ではない。仕事の斡旋を頼みに来たのだ。」


その言葉に、グエンの片眉が上がる。


「斡旋?」

「そうだ。このビビが、魔獣退治でこの国に貢献したいと言ってな。出来れば叶えてやりたい。腕はかなり立つから、安心して回して欲しい。」

「・・・。」


この言葉にグエンはあからさまな怪訝な顔になる。貴族の道楽とでも思われたかな?だが、腕が立つのは事実だ。


「急に言われても、こちらの信用はないな。ならば、腕の立つ者と勝負をさせて、見極めれば良い。それならば不満はないだろう?」

「よほど自信があるようだな。ならば、此方に丁度良い相手がいる。そいつを倒したら認めよう。」


冒険者は実力主義。これは何処でも変わらないな。


受付嬢の案内で、ギルドの真裏に向かう。そこは訓練場となっていた。


若輩の者達が、一生懸命に訓練に励んでいる。なんというか、微笑ましさすら感じる。案内された先には、大きな声をあげる者がいた。


大きな体躯に剥き出しの筋肉。頭には一本の角。巨大斧(バトルアックス)を肩に担ぎ、訓練者に発破を掛けていた。


「あの方は鬼人、ですね。かなりの強者と見受けます。」


ビビの言葉に反応する。多分彼がその丁度良い相手なのだろう。


「貴様がギルマスからあった貴族様か!俺はムトー!この訓練場の教官、及び試験官をしている!」


言葉がデカイ。それに、無意識か威圧感も凄い。マリアが腰を抜かしちゃうだろうが。


「では、始めるか!ギルマスからは手加減無用と聞いている。誰が来るのだ?それとも全員か?」

「ビビ。」

「はい。」


ビビが前に出る。黒狼爪を持ち、ムトーの前に立つ。


「貴様は狼人か!それにその黒鋼!中々の手練れと見た!さあ、本気でかかって来い!」

「行きます!」


両者は武器を構え、対峙する。



勝負は一瞬で終わった。


ムトーの振り下ろす戦斧をビビは横にかわして、一回転しながら、ムトーの背中に石突きをぶつける。余りの勢いに、ムトーはぶっ飛んでしまった。


生きてる?


と思う位は飛んでしまった。壁にぶち当たり、瓦礫に埋もれる。


「ム、ムトーさん?!」


受付嬢がムトーの元に走る。中々の俊敏性だ。猫?だからか?


瓦礫をはね除け、ムトーが立つ。よかった。生きてる。


「やるではないか!」


全身から血を吹き出すムトー。見た目の割には元気のようだ。


「良いだろう!このムトー!貴様の実力を認める!」


この言葉に、見学していた訓練生から歓声が沸く。


「なんだ!あの女!一撃でムトーさんを倒したぞ!」

「ムトーさんを倒すなんて、何者だ?」

「ムトーさんも強いのに、なんなんだあの狼人は?」


思い思いに言葉を発する訓練生。良い刺激になったのを祈ろう。


「では、解散!」


この言葉に訓練生は散り散りになり、己の訓練に戻る。ムトーは手当てが必要だしな。


そして俺達はまたギルドに戻った。




「ムトーを瞬殺か。やるではないか。」


グエンは先程の硬い表情から一変、柔らかくなっていた。


「貴族の道楽、かと思っていたが、それは違うようだな。」


言葉を濁さないグエン。自分に正直なんだろう。


「それで、斡旋の事だが?」

「ああ、何か大きな仕事が入ったら、そちらに回そう。その時はよろしく頼むよ。」

「こちらこそ。」


さて、やることは終わったな。


「小屋に戻るか。」

「はーい。」

「わかりました。」

「明日からの準備が必要よね。」


俺達は小屋に戻った。







小屋に戻り、櫛を作る。明日からの商売の商品を揃える為だ。今回作る櫛は簡単に、そして、簡素な物にする。漆とかあれば、もっと良い物が出来るのだが、無いものは仕方ない。


一時間間位で一つを完成させる。今日は五個位が限界だろうか。徹夜はマリアから禁止されているし、そんなには作れなかった。


「種類が少ないな。」

「そうね。他にもあった方が見映えは良いわね。」


風呂の中で、作戦会議をする。マリアは商売に携わっていた商売人だ。目利き、鑑定眼も持っている。二人で、明日からの事を話合っていた。


「櫛以外に、何を作るかだが?」

「鉄なら料理道具、銀はアクセサリーね。宝石も使えばかなりの額になるわね。」


そうなると、製作期間が必要になるな。


「そうね。暫くは製作期間にしましょうか。私達は、相場を見て勉強するわ。」


だから、心を読まないで。


「それは構わないが、大丈夫か?」

「もう、心配性ね。ビビさんもいるし大丈夫よ。テラスちゃんは目立つからお留守番してもらうけどね。」

「そうだな。二手に別れて行動するか。」

「なら決まりね。」


風呂から上がるマリア。テラスとビビはまだ上がらないのは、多分おねだりだろう。だが、


「今日はお休みにします。」

「えー!」

「駄目、ですか?」


なんで君達はそんなに肉食なの?ほら、マリアがジト目でこちらを見ているよ。



今日はお休みです。お休みなさい。



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