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うどんとそば

自転車にブリザード

作者: むあ

すみません、出来心です。11月にはできてました、卒論に煮詰まっているから小出しにしただけです^^;

むあさん(作者)は今日も元気です。






「サイトーちゃんっ」

「うわぁっ!寄るな触るなへんたぁい!」




「みや!」

「!?」


 私が思い切り突き飛ばした相手は、面白いくらい遠くに飛んで、別な男の足元に転がりました。

 その足元に突然転がってきたものを、その男の革靴が捉え……



「み・や・ちゃん?」

「……」

「どういうことか、説明してくれるよね」



 自転車の横に立っている男の周りには、ブリザードが吹き荒れている――ように、私、斉藤みやには見えました。






【自転車とブリザード】






 エリート街道まっしぐらの男、関弘武(せきひろむ)。私、斎藤みやは、そんな彼を偶然拾い上げ、介抱をした結果、不思議な同居生活を始めることを余儀なくされました。不思議な同居生活は気が付けば3か月たっておりました。



「サイトーちゃん、相変わらず会社じゃブリザード吹かせてるよね」

「なんの話ですか」

「だっていつまでたっても敬語のままだし?それにせっかく同居してるのに、手も出させてくれないし」

「発散したいならお店でどうぞ」

「ひ、ひどい!さすがの俺でもそんな節操なしじゃないよ」

「節操なしだからこうして3か月いるんじゃないですかね」



 私のキングサイズのベッド(お姫様仕様)は私専用です。しかし毎夜、「おやすみなさい」とソファで寝ているのに翌朝には真横にいるゆたんぽは節操なしです。あったかいからいいけど。でも、精神的にダメージをくらっていますけど。



「関さんこそ、他の女性にはブリザード対応ですよね」

「お、サイトーちゃんはとうとう俺の特別対応に気づいて“おちて”くれるかな!」

「おちません。そんな地獄には落ちません」

「……サイトーちゃんは今日は室内でもブリザードを吹かせてくれるね……」

「自転車操業ながらもつつましく、大学で借りてた奨学金を返してる25歳です。余計な出費を増やす居候(おともだち)にかまっている暇はありません」

「だからー食費はいれてるじゃんかぁ」

「……




 関さんは、居座る気満々で、次第に彼の私物が私の部屋にあふれてきました。そしてある日、関さんは私にこんな提案を持ち掛けたのです。


「家賃折半するから、広いところ引っ越さない?」

「HA?」


 思わず外国人になってしまいました。


「ほらね、だってこの部屋の中だとゲームするのだってご飯食べるのだって寝るのだって全部この部屋じゃん?本当はリビング、ダイニング、キッチン、寝室、トイレ風呂別じゃないと僕暮らせなくて~」

「じゃあさっさと出てけこの居候が!」



 炬燵の中で寝転がる男を私は何度か足蹴にした後、キッチンに行きました。あいつの顔なんて見たくもないです、なので、キッチンにある電子レンジの上にある携帯と財布をもって、家を出ました。



 それがすべての始まりだったように思います。



―――



 私は腹を立てて、ちょっと頭を冷やしてきますとひんやりとする初冬の夜に、外へ出ました。1人暮らしをしているマンションはあまり大きいものではないので、すぐに敷地内を出て、生活道路沿いをてくてく。自転車の鍵ももってこれば、距離の遠いところにもいけるのですが、カギは部屋の中です。


「あぁーもう、腹立つ」


 私の私生活はもっと安寧したものだったはず、だと私は思います。エリートさんはエリートさんらしく、言ってたような素敵な3LDKでも4LDKでも大きなマンションで暮らせばいいんです。そう思いながら私はコンビニに入りました。


「らっしゃいませー」


 「い」の音が聞こえないぞ、店員!と思わず悪態をつきたくなったけれど、それはやめました。だって完全な八つ当たりだということはわかっているからです。意識し始めた関さんとの生活は、いろいろな意味でストレスにあふれていました。



 まずは関さんがお風呂上りにやたらと半裸で歩いていること。目のやり場に困っていると、ふざけて抱き着いてくるのですから凶悪犯です。それから、こたつを占領すること。あのでかい図体がこたつを占領すると私が入れないのです。一度入ろうとしたら、なぜか関さんの左右の膝の間に座らされ、こう後ろから抱き着かれているような格好になったので、瞬時に顎を頭突きしてやりました。いい攻撃だ、といい倒れてしまった関さん、ざまぁみろでした。私も痛かったんですよ、頭頂部。



「あれ、斉藤ちゃん?」


 そんな考え事をしていると、ふと声をかけられました。振り返ればコンビニの中から、誰かが出てきます。とりあえず太ましい……じゃなかった、大柄な男です。誰だ、こいつ。


「覚えてない?俺、増田だよ。中学の頃同じクラスだった!」

「あー……ごめん、私名前覚えるの苦手で」

「中学の時もそうだったね。斉藤ちゃんお久しぶり!」


 相手は私が覚えていないことを聞いても、特に気にしないようです。まぁいいか。適当に相槌を打っていると、積もる話もあるからと、マンションに送ってくれるというのです。


 太くて怪しい男だけれど、いざとなればマンションの近くの交番で助けを求めればいいかと、私はのんびり構えていました。



―――



 そして今です。襲い掛かってきたふと……もう面倒だから、ただのデブをとりあえずどけようにも、体重差がさすがにありすぎて逃げられません。手入れもされていないばさばさの唇が近づいてきて、私は思わず目をつぶりました。


 脳裏にエリートさんが浮かんだのは、私だけの秘密です。





「みや!」


 男が私から離れました。その瞬間私は男の急所を蹴り上げ、思い切り突き飛ばしました。その体は思いの他飛距離を記録し――― 革靴の男性、関さんの前に転がりました。


「そして冒頭に戻るのです」

「何ノ解説カナ、ソレ」




 気づけば近くの交番からやってきた警察の人が、男を連れ去っていきました。なれなれしくお尻触られたし、痴漢ですよ、たとえ相手が私を知っていたとしても同意なしのあれです、痴漢です!そして私は事情をを聴かれ、解放されて……



 腰が抜けました。不可抗力で、仕方なく関さんにおぶわれて家に帰るのでした。

 ちなみに、関さんが使った私の自転車は、翌朝、関さんが、放置したところから回収してくれました。






 かくして。私はその翌々日に、このあたりの治安や物価上昇の問題、水光熱費を含む家賃の折半割合といった条件、通勤時間の短縮と通勤費用の削減というメリットなどなどを盛り込まれた、関さん特製「そうだ引っ越そうプロジェクト」のプレゼンテーションを受け。そして何より、ペット可能物件で最高のお部屋が見つかったので、斉藤みやはお引越しを決意しました。




「引っ越しは来月でいいかな」

「関さんの荷物がやたらと増えただけですから、私はいつでもかまいません」

「なら再来週」

「え?」

「来週でもいい?でも、サイト―ちゃんは来週、契約社員から正社員になれるかどうか決まる、重役さんとの面接があるよね?大丈夫かな?」


 そうなのです。関さんが来て3か月、そして現在の会社に契約社員として勤めて2年。まさかの正社員へと課長さん部長さんから推薦をいただき、今度そのための面接を受けるんです。その面接が間近に迫っているのです。



「来週は、無理ですね」

「じゃあ再来週」

「はぁ」

「やった!じゃあまた明日から、面接対策しつつ荷物の片付けしようね~」










 私、斉藤みやは、何か間違っているのでしょうか。間違っていたのでしょうか。

 大家さんとも円満に話はつきましたが、結局、この家を引っ越ししても……




「あれ、関さんとこのまま長期シェアルームになる感じじゃないですか、これ」

「当然!だってサイトーちゃんが嫁ぐ気になるまで待つんだもん」

「……」



 HA?




「そろそろ実家にも顔出さなくちゃね。あ、でも俺一人であんな怖い両親のところいけないから、一緒に来てほしいな、み・や・ちゃん」

「……」

「う、うぁぁぁ……サイトーちゃんごめんごめん、謝るから許してもうそのブリザード吹かせつつ人を殺せそうな凶悪な目つきで睨ま……ぎゃぁぁ」






TO BE CONTINUED?















お読みいただきありがとうございました。もっと表現力豊かになるよう、精進しなければなりません……

次はサイトーちゃん、ペットを飼う、的お話になります、お楽しみに!

(といいつつすでにこちらもできあがっていますが、小出しにさせてください)

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