第6話 【風扉の向こう側】
「では今から1番目の風扉の攻略を始める!準備はいいか?」
「「「「「おぉー!!」」」」」
やる気は充分あるようだな。さっきよりも3人増え、合計20名で攻略をすることになった。
「ではまず前衛と後衛を決める。前衛は盾装備を装備しているそこのプレイヤー達8人が前衛だ。そして盾装備同士の間隔は約2人分くらい開けてくれ。そして相手の攻撃を弾いた瞬間スイッチで後衛の人はモンスターを倒してくれ。また、俺とかの遠距離攻撃が出来るやつはいるか?」
「はい、私がやります。一応魔法使いなので。」
「あぁ、頼むよ。えっと君は......」
「私はエミリンと言います。」
その少女は初期装備の上に赤のコートをまとっていて、まさに木の杖のような武器を持っていた。髪の色は茶髪。多分同年代なのだろう。
「他にはいないか...な?」
「じゃあこのふたりは後衛の一番前について、盾装備の間から敵を攻撃すること!以上が作戦だ!」
「カナタさんはやっぱりすげぇな。」
「あぁ、確か2DのMMORPGとかでもギルドの長をやっていたらしいよ!」
「.........」
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「それじゃ行くぞ、みんな準備はいいか?」
「「「「おーーーー!!」」」」
その声を聞き、俺は両手で風扉を開けた。ちなみに風扉は、縦約3m、横約2mくらいで、結構力を入れて押したけれど、ゆっくりとしか開かなかった。
「ここが風扉の向こう側か...」
中はまさに洞窟のようだった。少し暗くて、洞窟の中ではあまり音はしない。自分達の声と足音のみだけが聞こえていた。
皆緊張、または警戒しているのか、全く会話がない。確かに30レベル以下のプレイヤーばかりだが、まだボス部屋は見つかっていないので、そこまで警戒する必要は......
「何か......来ます!」
エミリンがそう言い放った途端、上から何かが降ってくるのがわかった。皆は一気に警戒し、陣形を整えた。
ドサッ!
モンスターの集団が降りて来ると同時に煙が舞い上がった。よくは見えないが、緑の人間のような形をしていて、棍棒を持っている。前にどっかで見たような気がする。
「こいつは.....ゴブリンだ!」
そうかゴブリンだ。昔やってたMMORPGでよく出てきた雑魚モンスター。ゲーム界でスライムの次に弱いと言われているやつだ。
俺は【フレイムソード】の特有の技、【フレイムカッター】を、エミリンは、魔法使いの初期技なのだろう、火の玉を繰り出していた。そういえば魔法使いは...
「一旦前衛はゴブリンを引き止めてくれ。」
「は、はい!」
俺はそう言うと、急いでメニュー欄を開き、送る→アイテム→MP回復ポーションを選択、10個に設定し、エミリンに送った。
「魔法使いはMPを使って魔法を出す、多分一番MPの消費が多いだろう。だから一応これを持ってて。」
「でも...」
「いや、いいんだ。俺はお金ならいくらでも持ってる。だからこのくらいはさせてくれ。」
「ぁ、ありがとう!」
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congratulation!
G:6000
ドロップ:木の棍棒
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戻ってみると、ゴブリンは倒されていた。というかレアドロップなんだろうけど棍棒はいらないな。
「皆、ごめん!少し離れてしまって。」
「いいっすよ。あなたは仲間の事を第一に動いたんだから。」
「本当にすまない。それでゴブリンは何体いた?」
「5体ですね。それとレベルは25でした。」
なるほど、1体1200Gか...
それにしてもみんな消耗は少なそうだな。ほぼ1分程度で終わるくらいの戦闘だったから、余裕だったのだろう。みんなの緊張は解けているように見えた。
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その後、20分ほどダンジョンを進めていったが、ゴブリンしか、出なくて、結構余裕に進めることができた。そして明らかに雰囲気の違う、高さ約5m、横約4mの大きな扉が現れた。
「おい、これって...」
「......ボス部屋のようですね...」