第15話 【第一王都の最高級武具屋】
ー7月18日ー
現時点でクリアされた風扉は9つ。第10風扉は未だに見つかっていない。
「今だ!スイッチ」
「うん!」
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congratulation!
G:30000
ドロップ:なし
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俺と恵美は現在、429レベル。今確認されている中では最も高いと言われているレベルである。風井さんは、このゲームではレベルは無制限と言っていたがその反面、250番目の風扉のレベルがいくつかは全く見当がつかない。
「恵美、結構金が溜まったから装備を整えに行かないか?」
俺達はレベル上げに没頭しすぎて武器等を買いに行く事は第1風扉以来全くない。ポーションや転移結晶はレベリング前に大量買いするからなくなる事は無いのだ。そして現在の所持金は約2億7630万Gほどである。これは一週間前に二人とも【Gブースト(中)】のSupport skillを取得して、200×5×5で、5000倍になっているからだ。
「うん、そろそろ防具を整えたいなと思ってたところだしね。」
「決まりだな。」
アイテムから転移結晶を取り出して二人揃ってこう言った。
「「転移!【ウィクトーリア】」」
ー第一王都【ウィクトーリア】ー
この世界には25もの国があるそうだ。そして俺はNPCだと思っていたが、実はAIだったそうだ。通りで質問とかに的確に答えていたわけだ。俺達のいる国は【ウィクトーリア】。詳しそうなプレイヤーに聞いてみると勝利の女神という意味らしい。
何分か歩き、俺達は【ウィクトーリア】、最高級の武器防具店に着いた。
ガラスの扉を開け、店内に入ると、大きなホールの様な広さで、レッドカーペットが敷いてあり、台のようなところに武器等が並べられていて、全てガラスケースで覆われていた。
「いやいや、凄すぎだろ」
「なんか......場違い感があるよね...」
そんな話しをしていると、タクシードを着た結構イケメンのお兄さんが出てきた。
「い、いらっしゃいませ。今回はどのような武器をお探しでしょう。」
お兄さんはまるで接客に慣れてない感じだった。確かに店内にはお兄さん以外、人は見当たらない。
「あぁ、そうだな...ちょっと1回見て回りたいんだけどいいか?」
「かしこまりました。」
ガラスケースの中を見てみると、商品名と共にレア鉱石の名前も記載されている。値段はどれも数千万Gで、俺達ならなんとか買える値段である。風井さんに聞いてみたところ、店の商品は、日付がたつにつれ、どんどん豪華になっていくそうだ。また、レア素材を使い、鍛冶屋で作ってもらった方が意外と強くなったりするらしい。
「カナタ、これなんかいいんじゃない?」
彼女が指したのは黒い手袋...?一体何だろうこれは...。
「お、お客様、見る目がありますね。これは【The Magic Gloves】《ザ・マジック・グローブ》といって、これを装着することで、杖なしでも魔法を使えます。それは、叫んでもいいんですが、強く念じるだけでも出ます。しかも魔法を使う時の消費MPは半分になり、威力も1000倍となるため、知る人ぞ知る商品なんです。」
「おぉ、なんかすごいな...」
「でしょ?買ってもいいかな?」
「いいんじゃないか?」
ちなみに俺の所持金と恵美の所持金はほぼ同じで、二人合わせて5億Gを軽く超えてしまう。ガラスケースの中の値段を見てみると6000万Gだった。
「ありがとうございます!」
「あー、そういえばお兄さん。接客に慣れてないようだけど。この店ってあまりお客さんは来ないの?」
「えっ!?あぁーえっと...、はい。この店に来たのはあなた方が2組目ですから...」
「なるほど...。ちなみに最初に来た人達って誰ですか?」
ここに来るという事は、俺と同じくらいの冒険者......あるいは貴族だろう。
「それは...この国の王です。」
「へぇー、貴族だろうとは思ってたがまさか王様がいらっしゃったのか...」
俺はそう返すと、再びガラスケースを見て回る。
「おぉ、これなんかいいかもな。」
【『雷剣』サンダー・ライディーン】
「お客様これはライディーンという、レア鉱石の中でもSSクラスのものを使用しておりまして、特定の技が5つも使えるのです」
「なるほど...」
【フレイムカッター】的なあれか...
「一つ目は、放電、これは範囲攻撃ですね。二つ目は超電磁砲、これは剣を相手に向けて撃つことができます。三つ目はサンダーカッター、これは雷属性の斬撃が出るものです。四つ目は雷剣絶断これは雷を纏い、敵を必ず真っ二つにしてしまう技です。そして最後は終焉雷光これはフィールド上にいる全ての敵を倒すという技で、この技だけは1日に1回しか使えません。」
説明《説明》長っ!?あれなんかデジャブだ...。まぁ5つ'技が使えるのは分かった。値段は1億5000万Gか...
「ちなみに攻撃力は?」
「35000です。」
「買った!!!」
俺は執事の様なお兄さんにGを支払った。で、早速装備してみた。
「重っ!」
「大丈夫?カナタ...」
「あぁ、なんとか、じゃあありがとうなお兄さん!」
「はい、またのご来店をお待ちしております。」
俺はお礼をいい、店を出た。
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建物間の路地裏にてー
大きな岩に座っている、赤髪、赤眼の少女に男性プレイヤー達がGを渡していた。
「ツバキさん、今日の分のGです。」
「うん、....って少ないじゃないか。」
「「す、すいません」」
「そういえば、カナタっていう奴、知ってるか?」
「はい、確か...【Gブースト】っていうスキルを持ってる...」
「そうさ、【Gブースト(超)】という激レアスキルを持っていて、全プレイヤーの中で1番金を持ってるらしいんだ。そのカナタってやつから金を奪ってくれば、大量のGをゲットできるのさ。」
「なるほど、では我ら盗賊ギルド【グレード・チーフ】隊に、お任せ下さい。」
「いや、私も行くよ。カナタって奴はとっても強いらしいからな。」