第14話 番外編 【ゴッドユグドラシル・オンライン】
ー2046年ー
田中 宇宙と橘 恵美は、幼稚園時代からの幼馴染みだった。だが、小学生になった途端、あまり話しをしないようになっていた。そんな時、宇宙はあるゲームにはまっていた。
ーゴッドユグドラシル・オンラインー
今年の最高のゲームと言われ、とても有名なMMORPGだった。そこで宇宙はとある少女と冒険をはじめ、2年間没頭してこのゲームをし、ギルドのメンバーもとても強い人々が集まってきて、その内に最高のギルドと言われるほど強くなっていた。そして、宇宙は、最初から一緒に旅をしていたのは恵美だとわかり、それなりに充実したゲームライフだった。
ー2048年、12月31日ー
大晦日イベントということで、ギルドのほぼ全員が集まり、イベントクエストを周回することになった。
「今日は、大晦日イベントということで、イベントモンスター【death fairy】が現れる。レベルは約90くらいと、俺達とは10ほどの差がある。余程のことがない限り、クエスト達成は簡単だろう。また、イベントクエストは何度でも受けられるため、報酬のレア素材の【死の精霊の羽根】を沢山入手し、防具を作れるほどの素材を集めるのが今日の目的だ。では行くぞ!」
「「「おぉーーーー!」」」
それから俺達は半日、クエストを続けた。皆、消耗していたが、このレア素材を取るためならと、一生懸命にクエストを続けた。
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「やったね。宇宙君。こんなにもレア素材が集まるなんて!」
「あぁ、そうだな。これなら5つ、6つは防具が作れるんじゃないか?」
「本当にそうだね。」
【死の精霊の羽根】は1人あたり合計300ほどあつまっていた。
「今日で2048年も終わりか...」
「長いようで短かったような感じだね。」
「ハハッ、本当だな」
「やはり、さすがだなぁ、宇宙さんは...」
ギルドのうちの1人がこちらに向かってきた。さっきまで賑やかだったギルドハウスの中は、現在シーンとなっていた。
...嫌な予感がする。
「何がだ?」
俺はゴツゴツとした肉体のプレイヤーに言葉を返した。
「いやぁ、いつも思ってたんですよ。こんなにすごいお方がギルド長なんて、幸せだなぁと...」
「あぁ、あり...」
「そのおかげで俺達は目立つことができない。最強になれないってな。だから俺達は決めたんだ。ギルド長と副ギルド長を潰して、大晦日とともにこのギルドを消してしまおうと。」
「なっ...!?、」
俺はいきなりの事に焦っていたのかもしれない。頭が回らなくなり、いつもの癖で強気になっていた。
「おいお前、状況わかって言ってんのか?」
「わかってないのは、どっちなんだろうな!」
恵美以外のギルドの全員が武器を構えて、俺の方を向いていた。その面構えから、嫉妬、怒り、の感情が湧き出ているのが分かった。
「おい、お前らまで...」
「宇宙君どうしよう。」
このゲームでは最大レベルは100、さらに強化するとなると、装備を強化するしかない。周りのプレイヤーは俺と同じ100レベルで、2対何十人となると完全に負けるのだ。
「恵美、やるぞ。」
「う、うん。」
「「はぁぁぁぁぁーーーーーー」」
その後の事はよく覚えていないが、2048年、12月31日に【漆黒と純白の翼】というギルドと、【漆黒の一流剣士】の異名を持つプレイヤーはこのゲームから消滅した。