第1話 【旅立ち】
ー2050年ー
今現在、世界中がVR技術を応用したAR技術と人体瞬間移動技術が注目されている時代。
中でも日本政府は《都市AR化》の計画を進めていた。
そんな中、宇宙研究機関NASAと、大手ゲーム会社の共同開発にて、地球と似た環境の惑星を丸々一つ使ったARMMORPG、《ウィンドゲート・オンライン》。略してWGO。販売前にして、計4万人ほどの行列ができていた。
一週間前から並んでいた少年、田中 宇宙は見事に行列の一番前に並んでいた。
何故こんなに行列ができていたのかは、初のARMMORPGなのもあるが、先着一名に配布される、ある激レアアイテムのシリアルコードがついてくるからだった。
このWGOは、単体のソフトではなく、人身瞬間移動技術とAR技術の掛け合わされた機械、《トランスファー》を使って遊ぶものらしい。ただし、惑星と惑星の間をテレポートするには重大な負荷がかかるのでベッドの上などで横になって使わなければならない。
田中宇宙も颯爽と家に帰り、急いでベッドに横になり、トランスファーを起動させ、目を閉じ《log in》といった...
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このWGOにまた、新たな少年が訪れた。ユーザー名は【kanata】。身長は170cm程度。性別はもちろん男。少し細めのプレイヤーだ。
「ここは...」
周りを見渡すと、どうやら街にいるようだった。左右を見てみると武器や食料を売っているNPCの商店街があった。周りの人たちの動作から空気中を指でスワイプしてあげると、
「おっ...出た!」
メニュー画面が開くことができた。文字の表記は日本語だった。その中から、設定→シリアルコードを開いて、さっき手渡されたシリアルコードを入力すると、【転移結晶~天空の部屋~】というアイテムが出てきた。
「早速使ってみるか...」
「ん?...これは...」
このアイテムの右上に?という記号が出てきた。タップすると、アイテムの詳細が書かれていた。
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転移結晶の使い方
転移結晶は普段、街と街の間をテレポートする際に使う。使い方は【転移 (行き先)】と叫べば行けます。しかし、行き先が指定されている結晶は普通の結晶では行けないレアな結晶です。その場合は結晶を持って【転移】と叫べば使うことが出来る。いつ使うかはあなた次第。
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「特典のシリアルコードでゲットできたのだから、安全だろう。」
「【転移】!!!!」
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「こんにちは!」
「え...?」
転移したら雲のフィールドに謎の女性のプレイヤー?と2人きりだった。
「私はこのWGOの研究の第1人者だった、風井 門と言います。まぁ、この世界ではGMをやっています。」
GM?まさか、ゲームマスターなのか...?!
「で、一番最初に買ってくれた君にはこのゲームについて話すとしましょう。」
チュートリアルのようなものかな?でもどうして僕だけが?
「実は、このWGOに来た人は、地球に戻れません。」
「...は?」
「まぁまぁ、では何故こうなったかというと、WGOの機械【トランスファー】は、惑星間を移動するための機械だったんです。しかし、こっちの惑星にはトランスファーは実在しないんです。とはいえ、今から作るとしても、約5万人もの機械を作るには5年ほどかかるでしょう。」
「おい、じゃあこの5万人は一体この世界で5年間も何をするんだよ。」
「もちろんWGOの世界を楽しんでいただきます。このゲームはレベル無制限で、武器の種類も無限大。死んでも実際に死なない。ただし、痛覚は存在する。そんな世界なんです」
「そして、5年間も待つのが嫌な方のためにいくつかトランスファーは作ってあります。」
「なら、それを使えば...」
「いや、そんなに数少ないトランスファーを一部のプレイヤーに与えても、この痛覚を感じるこの世界では、戦争になりかねません。また、これはNASAの実験でもあるのです。なのですぐにトランスファーを配る事は契約違反、つまり不可能なのです。」
「それって、やっぱり5年間待つしかないのか。」
「いや、一つだけ方法があります。それは、この世界のラスボスを倒し、ドロップを使って、トランスファーを作ることができればこのWGOを脱出する事はできます。」
「なるほど、でもなんでそれを全員にお知らせしないんだ?」
「それはですね。色々と問題が起こる可能性があるから...と言っておきましょう。さっき言った戦争もそうですが、早く脱出したいを一心に心が完全に変わってしまう人も出てくる可能性があるからです。」
「なるほど...」
「そこであなたには、一番に並んでいただいたので特典としてスキルを何でも一つ与えたいと思います。」
おぉ~~
「ではこの中から選びなさい。」
GMがスワイプすると、目の前にスキル一覧の表が出てきた。
「へぇーいろいろあるな、攻撃力増加に…防御力…」
楽になるスキルないかな~、そう思って居たら、丁度いいスキルを見つけた。
「これでもいいですか?」
と、GMに見せながら、指でさしたのは、【Gブースト(超)】だった。
「おっ...それは、敵からのドロップ金額が何倍にもなるスキルですね?!」
「そうなんですか?」
「そう、このWGOでは、無数の武器も存在してるので金は必ず必要になると思ういますよ。」
「なら、これでお願いします!」
「はい、ではあなたはそろそろあの【始まりの街】に戻らなければなりません。あちらのウィンドゲートから退出をしてください!」
「わかりました」
僕は言われたとおり、扉に入った。すると、さっきいたところにテレポートした。メニュー欄からスキルを押すと、【Gブースト(超)】が追加されていた。
「さぁ、ここからがゲームの始まりだ!」