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光の勇者と光の巫女  作者: プフル
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騎士 レナード・シルダ

レナード「ん…ここは…」



レナードはゆっくりと自らの意識が戻ってくるのを感じる

まず目に入ってきたのは見知らぬ天井だった

いや、見知らぬというよりもどこかで見たことがある気がするのだが思い出すことが出来ないといったところか

辺りを見回してみるとどうやらどこかの一室のようだ

そこでようやく自分はベッドに寝かされていたのか、と気付いたようだ



レナード「俺は確か…そうだ!」



寝起きで曖昧になっていた記憶が徐徐に戻ってくる



レナード「森で魔物の集団に襲われて、それで…」


ルル「助けられたんじゃな。あの人らに」ギィ


レナード「ルルじいちゃん…」



ドアを開けて入ってきたのはレナードにルルじいちゃんと呼ばれる村唯一の医者でかつ名医と呼ばれる老人であった

そうかここは病室か、とようやく理解する

昔骨折した時にお世話になったこともある部屋だ



レナード「あの日からどれだけ経った?」


ルル「そんな経っておらんよ。今はその翌日の夕方じゃ」


レナード「そっか…。それでも1日近くは寝てたってことか」


ルル「むしろその怪我でこんなにすぐ起きれたことにわしは驚いとるよ」


レナード「まぁ体力にはちょっと自信があるからさ」


ルル「ぬかせ」



ルルは笑いながらレナードに近寄ると、左腕を確認する



ルル「全く、無茶をしたものじゃ。食いちぎられとってもおかしくなかったわい」


レナード「そんなやばかったのか?」


ルル「あぁ、牙が骨まで届いとったぞ。ほれ、どうじゃ?痛みはまだあるか?」


レナード「つっ…!まだちょっと痛いかな…」


ルル「ちょっとなら大丈夫じゃな。ちゃんと動きもするか?」


レナード「あぁ、動くよ。問題ない」


ルル「ふん、自分の丈夫さに感謝せいよ」


レナード「へいへい」



ルルのお小言にレナードは苦笑する



レナード「エルはどうなった?」


ルル「今はお屋敷で休んどるんじゃないか?今回のことが相当堪えたんじゃろうて…」


レナード「そうか…」



レナードの頭に出血の量を見て焦っていたエルの顔が浮かぶ

あいつらしくない本当に心配していたんだろう様子が今となっては少しおかしくもある



レナード「会いにいかなきゃなんねぇな」


ルル「はぁ?今からか?お主もう少し自分の身体を労わるってことを…」


レナード「怪我は腕だけだろ?大丈夫だって」


ルル「そういうことを言っとるんじゃ…はぁ、どうせ聞かんじゃろうな」


レナード「よく分かってんじゃん」


ルル「くれぐれも無理はするんじゃないぞ」


レナード「あぁ。それと…」


ルル「ん?」


レナード「ありがとな、ルルじいちゃん」


ルル「…ふん、はよいけ」


レナード「照れんなよー」


ルル「照れとらんわ!」


レナード「うおっ、こえーこえー。じゃあ行くよ」



レナードはそう言って足早に病室を後にする

残されたルルが溜め息をつきながらもどこか嬉しそうに笑っていたことはレナードが知る由もなかった


―――――――――――――――


「お、レナードじゃねぇか!」


「あらあら、怪我はもういいの?」



ルルの家兼病院を出るとすぐそこを歩いていた夫婦に話しかけられた



レナード「いいわけないじゃん。まだ普通にいてぇよ」


「じゃあ大人しくしていないと…」


レナード「エルのとこに顔出さなきゃなんねぇからさ」



そう言うと夫婦はポカンとした顔のすぐ後にやれやれと腰に手を当てる



「まったくこいつは…」


「ふふっ、それでこそレナードね」


レナード「な、なんだよ…」


「なんでもねぇよ。早くエル様のところに行ってやれ」


レナード「分かってるよ。じゃあまた!」



その後も村中の様々な人から大丈夫か、怪我はもういいのか、と聞かれまくったレナードはいちいち対応してたら日が暮れちまう、と走って村人とは挨拶だけ軽く交わして走り抜けることにした

領主邸まではルルの家から走って5分ほどだ

村のみんなの心配はありがたいし嬉しいんだけどな、とレナードは嬉しい悲鳴に思わず笑みがこぼれる



レナード「ふぅ、ようやく着いた」



レナードが領主邸に着いたのはルルの家を出て20分もした後だった

何故か少し緊張気味のレナードはんんっ!と咳払いをして普段の自分を取り戻す



レナード「すいませーん!レナードなんですけ…」


エル「レナード!?」


レナード「うおっ!?」



ドアに手をかけようとした瞬間、逆に向こうからドアが勢いよく開けられる

レナードはドアとデコがキスする寸前でそれをなんとか避ける



レナード「おまっ、そんな勢いよく開けたらあぶ…!」


エル「レナードぉ!!」



最後まで言い切る前にエルがレナードの胸に飛び込んでくる

レナードもそれを慌てて受け止めるが、左腕が使えないので右手だけでエルの身体を支える



エル「怪我は?もう大丈夫なの?痛いとことかない?」


レナード「あぁ…大丈夫だよ。心配かけたな」


エル「本当だよもう…」



エルはレナードの胸に顔を押し付けたまま上げようとしない

恐らく今の顔をレナードに見られたくないのだろう



スウィフト「レナード君…!?大丈夫なのかい!?」



今度は領主のスウィフトまでが飛び出してきたようだ



レナード「ご心配をおかけしました。この通り、大丈夫です。まだ痛みは少し残ってますが」


スウィフト「今ちょうど君の様子を見に行こうとしていたところなんだ。無事…ではないようだが、よかった…本当によかった…!」



スウィフトの顔が安堵に包まれる

他人の安否をここまで心配してくれるあたり、スウィフトの人の良さが出ている



スウィフト「エルのために身を呈して戦ってくれたと聞いた。領主として、一人の親として、本当に感謝する!」


レナード「そんな頭を下げないでください。こっちが困ってしまいますよ」



レナードは、あははと本当に困った様子で笑う



スウィフト「君の治療費は私が全額補償しよう。他に何かほしいものとかないかね?なんでも帝都から取り寄せようじゃないか」


レナード「いえいえ。そこまでしてもらわなくてもいいですよ!特に欲しいものなんてないですし。あ、でもやっぱり治療費だけはお願いします」


スウィフト「欲のない子だ…。君は私らの恩人だ。何でも言ってくれていいというのに…」


レナード「んー、あ、じゃあ一つだけ」


スウィフト「ん、なんだね?」


レナード「今回のことで、エルをあまり責めないでやってください」



その言葉を聞いた直後、スウィフトは驚きに硬直していた

エルも顔をバッと上げて困惑した表情でレナードを見る



レナード「いやもちろんエルがしたことは危険なことだったし、もう二度とあんな真似はするなよ、くらいは言ってほしいんですが…」


エル「…」


レナード「それでも、こいつをそれ以上責めないでやってください」


スウィフト「…分かった。それが君の願いであるなら」


レナード「ありがとうございます」


エル「レナー…ド…?」


レナード「エル」



レナードは今は力なく自分を掴んでいるエルの腕を掴み、それをギュッと握るとエルに向かい合う



レナード「もうあんな危険な真似はしないでくれ。心配でどうにかなっちまいそうだったよ」


エル「う…ん…。ごめんなさい…」


レナード「それと、ごめんな。心配かけちまって」


エル「そんなこと…!わたしが、わたしのせいでレナードは…」


レナード「そうかもしんないな。でも、俺だって…慢心してたんだ」


エル「慢心…?」


レナード「『まとい』が使えるようになって、この村で一番強くなって、それで天狗になってた。もう誰にも負けないだろうって」


エル「…」



エルもスウィフトも真剣な面持ちで黙ってレナードの言葉を聞いている



レナード「でも、全然駄目だった。俺は魔物1匹満足に倒せない、未熟者だったんだ」


エル「レナード…」


レナード「エル、約束する。俺はもっともっと強くなる。お前が心配することがなくなるくらいに、強く、強く。ただお前を…守るために」


エル「わたしを…守るために…?」


レナード「あぁ、そうだ」


エル「でもわたし、いつもレナードに迷惑ばかりかけて、でもレナードはわたしに優しくしてくれて、でも、わたしは、そんなレナードに…何一つ…恩返しが出来てないのに…」



エルは涙を堪えきれず、その顔をぐしゃぐしゃにする



レナード「恩返し、か…。そんなもんしなくていい」


エル「え…?」


レナード「エル。俺は俺がしたくてやってるんだ。お前に何かをしてほしいからやってるわけじゃない」


エル「本当…?」


レナード「本当だ」


エル「でも、また迷惑かけちゃうかも…」


レナード「いくらでもかけろ」


エル「泣き言いうかも…」


レナード「いくらでも言え」


エル「また怒られるようなことしちゃうかも…」


レナード「それは直せ」


エル「む…ふふっ、なによ…もう。そこはいくらでもしろって言うとこでしょ」


レナード「はは、俺はそんなに甘やかさないぞ。知ってるだろ?」


エル「そうね…レナードは昔からそうだった…」



エルは涙をぐしっと拭き、改めてレナードの顔を正面から見る



エル「レナード・シルダ。わたしを、守ってくれますか?」



レナード「任せろ。俺を誰だと思ってやがる」



エル「わたしの騎士様、でしょ?」



レナード「はっ、分かってんじゃねぇか」



そう言った二人の顔は満面の笑みを浮かべていた

そして…



スウィフト「うっ…ぐすっ…あぁう…」



そんな二人を見ていたスウィフトが号泣しており…



ブレア「泣けます…涙が溢れ出しますよ、こんなの…むしろ泣かないやつの方がおかしい…」


ダンテ「歳を取ると涙腺がゆるくなって仕方ねぇ…」



号泣するスウィフトの隣にいつの間にかこれまた号泣するブレアとダンテが突然として現れていた

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