表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/66

第六十四話 VSゲッ光その2

 ゲッ光は、ひざまずく俺に影をかぶせる。


「グェッ、もっと戦い加減なやつだったら、面白かったのによ。まあいい、ロストさせてもらおう」


 俺を覆う影が、武器を振り上げる。


「ヤキソバくん!」「大丈夫?」


 声が聞こえる。誰だ?


「グェッ、なんだあ?」


 俺は声のする方向を見る。

 ララさんとリリさんだ!

 講師のあの二人が来てくれたのか!


 ――あの二人って、何をやってるんです?――

 ――この町で何か事件がおこったら、かけつける仕事です。普段ひまなんです――


 もしかしたら、ララさんとリリさんも、

 アークとライトのふたりみたいに、そういう仕事に従事してたのかもしれない。


「リザレクトヒール!」


 リリさんがマジックを唱える。

 しかし、発動しない。


「なんだ? マジックが出てないぞ」


 俺は、困惑した声をさらす。


「マジックなんて使えるわけないだろう……あのなあ」

「グェッ。ガリベン様、それより先はわたくしが」


 ゲッ光は遮った。

 なおも、リリさんはマジックを唱える。


「グェッ、おいお前。なんで誰も、助けに来てくれないと思う? お前が、凄い嫌われてるからか?」


 ゲッ光は、俺に問いかける。


「グェッ。実際そうかもしれねえけど、別の理由もある。第三者パーティは、まともに参加できねえんだよ」

「第三者パーティ?」

「グェッ、そうだ。自分のパーティ。相手のパーティ。そして、それ以外が第三者パーティだ。

 お前だって、パーティに人数を増やして、集団で、ひとりをボコれないって知ってるだろう?」


 そういえば講義の時に、そんな話を聞いたな。


「グェッ、第三者パーティはまともに技がでない。でたとしても、まともに適用されない。お前って、『なんでこんなに人がいるのに、誰も助けてくれないんだ』って思ったろ? 逆だよ、こんなに人がいるから、誰も助けられないんだよ」


 そういうことだったのか……


「グェッ、ひとり、ふたりなら、加勢できるかもしれねえ。

 だが、これだけ沢山の人間がいたら、スキルなんてまともに出ねえよ。

 そして、戦闘が起こったところでは、しばらくパーティを組みなおすことも

 テレポ系で逃げることもできない。お前はもう詰んでるよ」


 くっそ。

 まずったか。

 なおもマジックを使い続けるリリさん。


「グェッ……流石にウザくなってきたな。

 第三者パーティへは、こちらからもまともに、ダメージを与えることは出来ねえ。

 だがな。痛めつけることぐらいは、出来るんだぜ」


 ゲッ光は、ララさんとリリさんのところに、猛スピードで跳び向かう。

 刃を叩きつけるゲッ光、「きゃっ」叫ぶララさんとリリさん。


「グェッ、おい小僧。俺が目を離してるからって、逃げられると思うなよ? 俺らは人間よりも、遥かに早い足を持っているんだからな」


 ゲッ光は、首だけこちらに向けて警告すると、刃をふりあげる。


「ヤキソバ、ヤキソバ」


 フェリリが低空飛行で、こちらへ来てささやく。


「LPがなくなるまでは、ヤキソバは負けてないナノ。活動不能かいふく薬もってきたよ――ついでに高級薬草も。二人がやられてる間に、こっそり回復しよう」


 なにか、ララさんリリさんを、見殺しにしているような、そんな心持ちだが。

 まあ仕方ねえ。

 しかし回復したところで……


「新しい武器だよ!」


 ギャラリーから武器が飛んでくる。

 武器は俺の目のまえに落ち。

 土煙をあげる。

 今の声は――武器堂のおっさんか!

 変装してるが、声で分かる。


「おいゲッ光! そいつ回復してるぞ」

「グェッ! すいません、ガリベン様……」


 ゲッ光はこっちに向き直る。


「グェッ、本当じゃねーか。しかも装備が変わってる」

「BPが七三五〇まで、アップしてるな……」


 ガリベンは呆れ語りだ。


「グェッ、ガ、ガリベンさま大丈夫です。まだ俺の方がBPは上。楽勝ですよ」


 ゲッ光はこっちに跳ぶ。着地で舞う土煙。

 そのとき俺の右手が光る


「グェッ。よくも恥をかかせてくれたな。今度は復帰できると思うなよ。お前はロストだ」

「ヤキソバ。なんとか逃げようナノ」

「こいつらの足のはやさを、見てたろ。逃げるのはムリだ。やっぱ技覚醒で、当たりを引くしかねえ」

「まだやるナノか……」

「やるよ。やるしかねえからな」


 なんだ? この世界で強い技って。


――今のところ、このスキルは『どんな技でも使える』ってことが分かったナノ――


 ……たしかそう言ってたな……

 どんな技でも……


――世界が危機におちいったとき。この世界に、光をまとった人物がおり立つです。それが救世主です。世界のカギをにぎるその人は、世界をみちびき、やがて救うのデス――


「きゅ、救世剣!」


 ……辺りを静寂が包む……


「グェッ、グハハハハハハ。なんだよそれ。救世主きどりかよ。ガリベン様、聞いてました? 今のやつ」


 他のトカゲ二人も大笑する。


「聞いてたよ……なんでお前ら、そんなにテンション高いんだよ……」

「グェッ。小僧、アホだと思ってたけど、まさか、救世主きどりだとはな。救世主らしく英霊にしてやろう」


 アホはお前だ。

 攻撃されなかった分、一回分チャンスが増えたぜ。

 増えたは増えたが……次どうする?


 ――光をまとった人物が――


 ゲッ光が、俺にむかって振りかぶる。


「グェッ、十文字切り」


 やべえ!


「シャインブレイク! シャインソード! シャインスパーク! シャインビーム!」


 俺の手をおおう光が、剣に伝わる。

 光は針のように鋭く細かく散ると――

 剣を一回り大きく囲って、敵の脳天に叩きつけられた。

 敵の攻撃は弾かれる。

 見えた。

 BPが一七三五〇まで上がった。

 四七三〇ダメージ。

 よし、これ当たりだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ