第六十三話 VSゲッ光
「ヤキソバ! なにやってるナノ! やばいよ」
フェリリが背後から飛んできた。
あの部屋から来ると、みんなが危険だからだろうか。
「どうやって勝つつもりナノ?」
「技覚醒で、強い技を引き当てるしかねーよな」
「行き当たりばったりナノ……」
いきおいで、やっちまった感はある。
あまり、反省はしてないが。
マヤも、カゲヤマさんも、ウェイブさんも姿みせねーな。
愛想つかされちまったかな。
「LV三五。BPは剣込みで四四五〇だな……残念だ。久しぶりの戦いが、こんな奴とはな」
ガリベンは持ってる杖を振り上げ、まごの手のように、背中をかきはじめた。
「グェッ、ではガリベン様。小僧の始末は、このわたくしめに、任せてもらってもよろしいですか?」
「おお、好きにしろ」
「グェッ、ありがとうございます。小僧! ありがたく思え。俺が相手をしてやるぞ」ガリベンの取り巻き。三人の内の一人が、こちらに向かって歩み寄った。
「別に全然ありがたくねーよ」
「見て下さい! 勇猛勇敢な少年がガリベンに勝負を挑んでいます!」
数人が集像器をこちらに向けてしゃべっていた。
なんか報道陣が来てるじゃねーか。
少年っていうか、俺いま二十歳だけどな一応。
「グェッ、期待されてるじゃねーか小僧! みんなの期待を裏切るなよ?」
「ガリベンの配下 ゲッ光 LV一二〇 HP一〇〇〇〇 BP一〇〇〇〇
ガリベンの配下、自分から率先して動き、今の地位を得る。
仕事トカゲで無趣味。 なの」
「グェッ、なんだコイツ……なんで俺のことを……」
驚く、ゲッ光。
俺は武器を構えた。
それを見て、ゲッ光はにじりよった。
俺の右手が光った。
よし!
何か技を……
「ファイアーブレード!」俺は唱えた。
右手の光が剣まで広がり、武器が燃えた。
俺は相手に切りかかっていった。
「グェッ、十文字切り!」
敵の上部からの一撃で、俺の攻撃は弾かれた。
横切りが俺の腹部を痛打した。
ヤキソバに 三二六〇ダメージ。
ヤキソバに 四一〇七ダメージ。
ヤキソバ LV三五 HP 六八七/八〇五〇 BP四四五〇
「グェッ、おいおい。こんなものか、くっくっく」
また右手が光った。
今度こそ!
「全力切り!」俺は、いきおいよく飛びかかった。
「グェッ、十文字切り!」
敵の攻撃が俺の攻撃を弾き――二撃をくわえた。
ヤキソバ LV三五 HP 〇/八〇五〇 BP四四五〇
負けた……
「グェッ、もう終わりかよ。何か勝算があって、来てると思ったのにな」
くそっ。
俺は地面を叩く。
「グェッ、お前パーティ組まないで来ただろう? 誰も、お前を助けにはこれない。お前はもう終わりだ」
ゲッ光は、カカと大笑した。




