第五十六話 ガッツの塔4階 VSコンバット
「四階にきたか、あとどのくらいなんだ?」
「もうちょいナノね」
塔の内部へ光を取りいれる穴から、フェリリが外へ出て、確認したようだ。
「それにしても、カゲヤマさん。サブクラスの技を使わないですね。チラチラッ」
「口でチラチラ言っても、秘密じゃぞ」
「なぜ、そこまでかたくなに……」
「わたしはピンチになったら、出しおしみはしないよ~」
通路の角を曲がると、敵の姿を確認した。
2メートル近い、巨大なコウモリがいた。
それは体中に、野球で使う木のバットをくくったコウモリ。
小さなバット、大きなバット。
数々のバットを胸の前へ、たすきがけにしばり、背おっている。
そして、羽を広げ――きゃしゃな腕で二本のバットをVの方向に広げ――かまえていた。
「コンバット LV六〇 HP五〇〇〇 BP四〇〇〇
傭兵の生まれ変わりだと信じるコウモリ。
悪バットの親戚らしい。
昔はバットをふると、暴力的な人間になるという偏見も多かったとか。
こいつは投げたりしてくるから、本来の用途と違う…… だってなの」
らしいってなんだよ。
フェリリの調べる情報って、かなり主観が入ってるな。
「よく分からないけど、強そうじゃのう……」
「そうですね」
へんな威圧感があるな。
なんだろうこれは。
コンバット LV六〇 HP 五〇〇〇/ 五〇〇〇 BP四〇〇〇
ヤキソバ LV二八 HP 六三八〇/ 六三八〇 BP三六八〇
カゲヤマ LV二八 HP 六一〇〇/ 六一〇〇 BP三四〇〇
ウェイブ LV二七 HP 五九〇〇/ 五九〇〇 BP三七〇〇
コンバットは、右手に持っているバットを構えた。
バットの先に穴があき、大量の小さなバットが勢いよく射出される。
ウェイブにむかっていくが、ウェイブは動かない。
すべての攻撃がヒットする。
「いたた~」
よろけるウェイブさん。
「マシンガンバット 一連携 複数回、単一判定
当たった対象に『自分BP+ヒットした回数×三〇〇』でこうげき 十回こうげき なの」
ウェイブに 二一三〇ダメージ。
「当たりすぎですよ。なんでよけなかったんですか」
「壁クラスは、当たるのが仕事なんだよ~。キャンセルチャージ~」
「たしかに、そうかもしれないけど」
よけるのが面倒だからって、当たったように見えるな。
「ブランクキャンセル、力の護符をヤキソバ殿。
ブランクキャンセル、守りの護符をウェイブ殿」
「キャンセルチャージ キャンセルスキル
次にキャンセル技を使う時に、BP+一〇〇〇 複数回使用で重複 なの」
ウェイブさんは、自分のBPがコンバットのBPより低いので、キャンセルできない。
なので、キャンセルチャージで次に繋いだのか。
「つぎの敵の攻撃を、キャンセルするから。
ヤキソバさんは、飛び込んで攻撃してね~」
「わしの札は、敵のこうげきに当たると撃ち落される。キャンセルした後で使うからのう」
「分かりました」
コンバットは持ってる太いバットに、体中にある小さなバットを、ひとつずつ入れた。
そして、こちらへ向け――かまえ、射出した。
「キャンセルハンド~」
発射されたバットは、力なく地面におち転がった。
飛びこむ俺。
「ブランクキャンセル、減小の呪符じゃ」
コンバットのBPが二八〇〇まで下がった。
俺は敵の右横に陣取り、技を使った。
「二枚おろし。すずめの涙突き。なで切り」
コンバットに 一六三〇ダメージ。
コンバットに 一三〇五ダメージ。
コンバットに 一二六六ダメージ。
コンバットは、俺の方を向いた。
「チャンスじゃ。ブランクキャンセル、減小の呪符」
札によって、コンバットのBPは二八〇〇まで下がった。
コンバットは、左手の太いバットを俺にむけ、射出した。
その時、俺の右手が光る。
俺はとっさに、技を使った。
「二枚おろし、キャンセル。キャンセルハンド」
俺の左手は勝手に動き、敵の発射されたバットは地に落ちた。
「続けて、すずめの涙突き」
八七二ダメージ。
コンバットをたおした。
「ヤキソバくんも、リムーブスキルが使えるの~?」
「これは、手が光ったときだけ使える、セレクトスキルで使ったんですよ」
「へ~」
技覚醒は右手が光っていたとしても、左手でスキルを使えるのか。




